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【速く走るポイント】股関節をムチの様に動かす;大腿部の角速度と走行速度

どうも、さかもとです。

先日、スプリント学会のオンラインセミナーに参加しました。
その際参考文献に挙げられていた論文を読んだので
まとめていきます。

※今回はセミナー後のアウトプットの様なものです。

参考文献はこちら
↓↓

こちらは
スプリント速度において、大腿部の角速度との関係を調べたものです。

コーチングはもちろん、トレーニングを考える上でも
非常に参考になるなと思います。

概要

被験者は計40名(男性20名、女性 20 名)がボランティアとして参加
1 回のテストセッション中に最大未満および最大の
さまざまな走行速度で40 メートルのランニングトライアルを実施。
線形および角運動学データは31 ~ 39mから収集された。

結果

ACはレクリエーションアスリート/BDはスプリンター(ともに男性)

※画像上の赤点線よりも上が股関節屈曲を、下を伸展を意味します。

全体として、左右の足が交互に股関節屈曲・伸展をタイミングよく
起こしていることがわかります。
より高い走行速度は、より高い周波数とより大きな大腿角運動の振幅の合計によって達成され、その結果、より大きな大腿角速度が得られると。

AとBを比較します。
レクリエーションアスリートより、スプリンターの方が
屈曲方向の角度が大きいことがわかります。
ただ、伸展していないということではなく
屈曲角が大きくなる一方で、屈曲域からの伸展運動は
当然起こっています。

CとDを比較します。
トップスピードになると、スプリンターは
屈曲伸展の振動幅大きく、コンパクトになっています。
明らかに時間幅が短いです。
これは、ピッチが高いことが推察されます。

走速度が増大するにつれて、接地時間は減少し、大腿部の角速度は増大。
Bでは、速度の増加に伴い、よりピッチの向上が見られたことを示します。

大腿部の角運動学に関しては、一般に、速度が速いほど、周波数が高く、大腿部の角運動の合計振幅が大きくなるという特徴あり。
速度範囲全体にわたる角運動の増加は、大腿屈曲の増加と大腿伸展の増加の両方によるもの。

まとめ

スプリンターほど、大腿部の角速度が高いことがわかりました。
言い換えると、大腿部の角速度を高めることが
走速度を高める一つのテーマになりえます。

論文タイトルにもなっている
‘whip from the hip’ (=股関節からのムチ動作)

論文の一文に
otential applications of these findings for performance improvement in human sprinting are intriguing. Coaching cues such as ‘whip from the hip’ have been popularized by some well-known practitioners, emphasizing a vigorous scissor-like action of the thighs.
というものがあります。

日本語にすると
人間の短距離走におけるパフォーマンス向上へのこれらの発見の応用の可能性は興味深いものです。「股関節から鞭を打つ」などのコーチングのヒントは、大腿部の活発なシザース動作を強調するもので、一部の有名な実践者によって普及しました

股関節を起点に、左右の大腿部をいかに速くシザースさせるか。

シザース動作

この論文でも
「大腿角速度の増加は、高速走行の運動学的要求に適合するために必要であるだけでなく、より速い速度をサポートするために必要なより大きな質量固有の垂直力にも寄与することを示唆しています」と結論づけられています。

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