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「転職の軸」の明確化で迷う人は、2つの面に分けて考えよう

転職にあたって「転職の軸をはっきりさせましょう」「あなたの今回の転職の軸を教えてください」などと言われることがよくあります。2023年1月から新しい会社に転職した私も例外ではなく、転職活動中にそのようなことを聞かれる度に割と場当たり的に自分の「転職の軸」を答えていたのですが、転職活動が終わった今、考えがまとまってきたのでこれを書いています。

これを書いてるのは誰なのか?

業界歴8年ほどのシステム開発者(プログラマ)です。IT業界内で転職をした個人的な経験から、求職者の目線で書いています。採用担当者の内心などについては推測が大いに含まれていますので、予めご了承ください。

そもそも転職の軸が明確になると何が嬉しいのか?

なぜ「転職の軸」を明確にしなければいけないかと言うと、

  1. その求人を志望するか、志望の順位はどのくらいか判断するため。また、自分に合った求人がどれなのか転職エージェント等に判断してもらうため。

  2. 志望している企業の面接官や人事担当者に納得してもらうための説明可能性

という2点となると筆者は思います。

1.は「求職者としての判断のため」で、2.は「採用側の判断のため」です。転職の軸にはこのように複数の側面があり、両者を区別せずに考えた場合、求職者である自分の利害と採用側の利害の板挟みになって考えがまとまらなくなる可能性があります。この二者を切り分けて考えたほうが、すっきりと「転職の軸」を考えることができるでしょう。

会計の分野では、自社の経営判断のための「管理会計」と(最終的には)税務署に見せるための「税務会計」というものがありますが、考え方としてはそれに似ているかもしれません。

ぶっちゃけ、転職の軸は明確に決まっていなくてもいい

「転職の軸」を明確化する趣旨の記事でこんな見出しもなんなのですが、前の章で書いた「求職者のための判断のための転職の軸」については、極端な話、明確に決まっている必要は無いと思います。

「条件は、今より良い会社。以上」なんてキャッチコピーで宣伝してた会社もありましたが、転職先を選ぶにあたって色々な条件を見て総合的に判断するという意味で、ある意味真理なんですよね。

筆者は当初転職の軸を明確化するに当たって「年収」とか「企業カルチャー」とか、何か単一のパラメータを想定しなければいけないのかと思っていましたが、仕事選びの判断として単一のパラメータを想定するのは無理があります。例えば「年収さえ高ければ企業カルチャーやハードワークは気にしない」とか、逆に「楽な仕事であれば年収は全く気にしない」ということは、現実的ではありません。

年収も上がって興味のある内容の仕事で、自由時間も多くてカルチャーが合う会社に転職できれば最高ですが、あっちを立てればこっちが立たず、というふうに複数の条件の狭間で悩むのが現実です。 そのように悩む中で 「何に課題があって転職することで解決したいのか」 「各条件の優先度はそれぞれどの程度か」 「各条件で、これを下回ったらそこは志望しないというラインはどこか」 といった多面的な判断基準を持てていればそれでよいと筆者は思います。

また、転職活動を進める中で業界や自分の気持ちに対する理解が進んだり転職の戦略が洗練されてくることは当然のことです。ですので「転職の軸」は時とともに変わっても全く問題ないと私は思います。

でも、説明はできた方が良い。

さて、ここまでは「自分が求職者として判断するため」の転職の軸の話でした。転職の軸の二つの側面のうち一つ目の「求職者の判断のための転職の軸」については明確に決まっていなくてもいいと書きましたが、二つ目の「採用側の判断のための転職の軸」については一言で説明できるようにしておくことをオススメします。

なぜ二つ目の側面の採用の軸は明確に一言で言い表せるようにした方がいいのでしょうか?それは採用担当者が理解しやすくするようにするためです。では、なぜ採用担当者に採用の軸を理解してもらう必要があるのでしょうか?そもそもなぜ採用担当者に転職の軸を話さなければいけないのでしょうか?

採用担当者が求職者の「転職の軸」を知りたがる理由

それは、採用担当者が「納得いく転職をしてほしい」と思っているからです。採用担当者はなぜ求職者に対して「納得いく転職をしてほしい」と思っているのでしょうか?採用担当者が博愛の心を持っていて親切だからでしょうか?それもあるかもしれませんが、採用担当者は「採用するからには会社に定着して欲しい」と思っているのです。

端的に言って、採用にはお金がかかります。私の聞くところでは、採用しようとする従業員が年収300万円であれば、およそ100万円ほどのコストがかかるようです。また、採用したからといってその社員がすぐに利益を出せるわけではなく、新しい環境での仕事を覚えたりして立ち上がるのにある程度の期間がかかり、その間は新人から得られた利益よりも人件費の方が多くかかることになります。十分な利益が生まれないうちから離職されるようでは大赤字になりますし、どうせイニシャルコストがかかるのであれば長く働いて欲しいと思うのが当然です。ですので「採用しても長く働いてもらえそうにない」と判断されれば採用担当者としては採用をためらってしまいます。そういった理由で、採用担当者は求職者のニーズを面接の場で聞き出そうとするわけです。当然、求職者がはっきりと答えられなかったり、採用担当者が理解できなかった場合は採用を不安に思いますので、簡潔にわかりやすく説明できる必要があると、筆者は考えるのです。

いわばキャッチコピーのようなもの。だからこそ

以上のように、「転職の軸」の二つ目の側面とは採用担当者に「納得のいく転職をしてもらえそうだ」と思ってもらうためのコンセプト・キャッチコピーのような性格があります。ですので、転職の軸の第二の側面が第一の側面と完全に一致している必要はありません。ただし、あまりにも本心とかけ離れた内容にしてしまうと、思ってもいないところで「ウチに入社してもあなたにとって納得のいく転職にならないと思うので、見送らせていただきます」とお祈りされてしまう恐れがありますので、その辺りはよく考えることをお勧めします。(例:本当は現職の残業が多すぎるのが嫌で転職を希望しているのに「成長を求めて転職活動を希望しています」と本心と違う説明をすることで、「ウチに来ても成長させてあげられそうにない」という理由で採用見送りになる)

ちなみに、転職の軸の第一の側面については時とともに変わっても問題ないと説明しましたが、第二の側面もまた、時とともに変わってよいと筆者は考えています。ただし、同じ会社の一次面接と二次面接の間に変わってしまった場合「どういった考えのもと転職の軸が変わったのか」「変化した後の転職の軸に照らしても納得いく転職になるという根拠」を説明できるように考えをまとめておくべきでしょう。

おわりに

今回、自分の転職活動を通じて感じた「転職の軸」の明確化の難しさとその解決方法を、転職活動中や転職を考えている方にシェアすべく記事を執筆しました。最後までお読みいただきありがとうございました。あなたの転職活動に微力でも貢献できれば幸いです。

この記事で何か得るものがあった方、「転職の軸」について独自の考え方があるという方はぜひ記事にコメントしてみてください。それでは。

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