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「月まで三キロ」

今年読んだ本の中で一番良かった本です。

「月まで三キロ」(伊予原新 新潮文庫)です。

伊予原さんは,初めて読んだ作者さんです。6編の短編が収録されていますが,どれも味のあるしかも涙腺がゆるんでしまう,感動本でした。

伊予原さんは,東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻されたそうです。その知識や経験が6編に見事に取り入れられていてます。例えば,月,雪の結晶,アンモナイト,地球温暖化,素粒子などです。

読んでいてハッとさせられた部分です。「アンモナイトの探し方」から一部を引用します。

富美別町は,三笠市と夕張市にはさまれた小さな町だ。
この一帯がかつて炭鉱で栄えたという話は,塾でちらっと聞いたことがある。夕張市などは今や財政破綻の状態だということも。ただ,塾の講師はこうも言っていた。覚えておくべきなのはそんなことではなく,日本の石炭の輸入先第一位がオーストラリア,二位はインドネシアだということ

「アンモナイトの探し方」(「月まで三キロ」)

自分がまだ感動する心を持っていたことを再確認できました。

こういった感動を大切にすることで,情が深くなるのだと思います。

教師には「知」だけでなく,「情」も必要なんです。

心の元気がない時にこの本のページをめくりたくなると思います。

よかったら,読んでみてください。