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パラフィン紙本

友人のKくんから紹介してもらった『古本大全』(岡崎武志 ちくま文庫)の中に「パラフィン紙と至福の時間」という話が出てきます。
パラフィン紙と聞いて実物が浮かぶ人はどれぐらいいるのでしょうか。
昔の岩波文庫岩波新書や高価なハードカバーや箱本(箱に入った豪華な本)にはパラフィン紙がブックカバーとして使用されていました。
元々は,ほこりや手垢がつかないようにするために使われていたそうです。
しかし,本1冊1冊に薄いパラフィン紙をつける作業はとても大変だったと思います。
こんなところに昔の人たちの本に対する愛情を感じます。

岡崎さんは,こんなことを書いています。

「自分の所有物であるかどうか不安な本を,パラフィン紙をつけることで,自分の手になじませ,がっちり確保する儀式のようなものだ。そこで初めて,買って来た本が自分の本になったような気になるのだ。」

「古本大全」(p72)

ここにも本に対する愛情を感じます。

昔と比べて本に対する愛情が薄れているように感じます。