久々に呉智英さんの本
久しぶりに呉智英さんの本を読みました。
大学時代から「大衆食堂の人々」「現代マンガの全体像」(情報センター出版局)「バカにつける薬」「言葉の常備薬」双葉文庫)などを読んできました。今回読んだ本は,「日本衆愚社会」(小学館新書)です。この中で呉さんが,体罰について書かれていたので紹介します。
「体罰論議は,一見,教育の方法論を巡るもののように見えながら,本質的にはそうではない。(中略)体罰の本質論は,教育の方法に関わるものではなく,教育という制度に関わるものである。(中略)義務教育とは,政治と同じように,普段は見えにくいが統治の上に成り立っている。まず,否も応もない強制がある。義務として学校へ出てこなければならない。教室を教室として成り立たせなければならない。授業妨害だの,学級崩壊だの,教育統治の不成立に対して体罰はありうる。」
呉さんの言うように,教育は統治の上に成り立っているのだから,体罰がなくならない理由もわかります。
「教育は統治」という新たな視点をもらうことができた超刺激的で挑発的な本です。また,呉さんの知識の豊富さにも驚かされます。フランス革命のきっかけとなった,バスチーユ監獄襲撃の真実を知らなかったことを西洋史を専攻していた自分を恥じました。猛省です。