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峠の。。。。

とあるインターの降り口に

まつたけ

とひらがなで乱雑に書かれたボードが目についた。

そこから山を登る事になるのだが、

暫くすると

まつたけ

とまたお世辞にも上手いと思えない
ボードが飛び込んで来た。

何気に目に止まったのだが、

また

まつたけが目に飛び込んで来た。

くねくねと登る山道は低速で登るしかなく、

注意!

とか 

減速!

とか必要な注意喚起のボードが書かれているのだ。

そこに

まつたけ

と注意喚起されているのだ。

注意! 減速! まつたけ!

まつたけ! 注意! 減速!

もうスピードに注意してるのか、
まつたけに注意してるのか 
訳が分からなくなってくる。

そんなまつたけに注意を払っていると、
もう、まつたけがどこにあるのかと
探さなければならなくなる。

ここはまつたけの生産地かどうかなんて
もうどうでも良いのだ。

山を越えて、素敵な場所へ行くのに
もうまつたけを求めにこの山を登っているのだと
使命感すら芽生えてくる

注意!

まつたけまで
あと100メートル

道路標識が、
まつたけを注意喚起していた。

50メートル

どんな
まつたけかを楽しみにしていたが、
小屋の形跡があっただけで、
ボードのまつたけの残像だけが、
バックミラーに映っているだけだった。

実は、別荘地のお客様の元へ
ケータリングに出向いたのだが、
食事を終えて何気ない話しをしていると、
"明日の帰りにまつたけを買って帰ろう"
とご夫婦で話していたのだ。

その時、まつたけ に敏感だった私は
思わず まつたけ と口ずさんだ。

帰りに買って帰るんだよ。
峠のまつたけね!

おー 名前までつけてもらって
まつたけよりも
まつたけの品格と愛着を感じるではないか。

よく買ってしまうんだよ あのまつたけね!


商売は工夫ひとつでたくさんの売り方が出来るのだ。
山を登るその先だから、ボードがとても役に立った訳であるし、一定間隔にすり込み作業のある名称にも
とても意味がある。
"冷やし中華"
でもきっと冷やし中華を求めてしまった事だろう。 

情報とは見方ひとつでとても
楽しいものでもあるのだ。

販売する事は、商品だけ動く物ではない
その商品にどのような情報が積み重なり、
どのようにしてその商品にたどり着くのかが
もっとも重要なのだと。

あるリサーチ会社が、
購入理由を調べた所、

商品価格
商品のアフターサービス
商品価値
商品の販売方法

どれが一番重要だったのかとリサーチしたら
圧倒的に販売方法、販売ストーリーだったのだ。

ここで理解しておきたいのは、
どのような販売方法を取っているのかが、
最も注目する点であるし、
商品価格でも、商品価値が
一番でもないと言う点だ。

いくら商品価値が一番であっても、
自分にそぐわない売り方では購入しない。

いくら安くても商品は買わない。

購入後にアフターケアされても買わないのだ。

今ならタンスをもう一つプレゼントされても
買わないのは納得なのだ。

人はその商品にたどり着くまでとても心が躍り、
その踊る心は商品の愛着度と必要度が増すのだ。

販売員が
まだ売れ残ったソースがあるのだが買いませんか?
と声をかけられたのならば
ソースが欲しいのではなく、
販売員が気の毒だから買うか、販売員の努力を認めて購入するのかどちらかだ。

商品は、お客様の期待を最初から裏切る様な
提案をしてはならないのだ。

薦めるのと、売り込むのとは違う。
知らせるのと、買わせるのは違う。

どれを選んで販売するのかは自由なのだ。

少し大げさに まつたけ を紹介したが、
どんなまつたけなのだろうかと
ETCのゲートを通った際には微塵にも
想像していなかったあの時に
まつたけはここに生えるのだろうか?
まつたけは焼くか??
まつたけごはんか?
なんて想像した時間を
車内に充満させたところなんて
学ぶべき事が沢山あるし、現にうちのお客様は
常連であるし、しっかり稼いでいると推測する。

チャンスをものにしている訳で、
ストーリーも演出している。

まだまだ私達にも出来る事はあるのだと
そんな可能性を感じた。

店舗名も看板を出していない私にとって、
冷やし中華とボードに書いて出す事は皆無なのだが、
人に伝えるストーリーは、
まだまだ沢山ありそうだ。。。




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