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自動車開発の想い出 その3

走行テストの内容

守秘義務に触れない程度で説明します。一口にテストと言っても、様々です。ベンチテストといって、エンジン単体でテストする部署。実走してオートマのミッションだけをテストする。耐久テストといって、長距離を決められた走り方で走る、そのほかにもたくさんあります。
私が所属していたのは、耐久走行のテストをする部署でした。テストコース内を決められた順序、決められた速度で走る。路面も砂利、石畳、舗装もあれば、カーブの道もある。
もちろん、外周の一番スピードが出せるコースも走ります。その設計上の最高速度は220km/hだったか、忘れました。
とにかく、最初は怖くて仕方がありませんでした。いくら一定以上の技術を持っているドライバーだからと言って、様々な目的や速度で走っているからです。測定機器を載せながら走っている車、軽自動車も走れば、高級車も走る。
そして、オートバイ。とにかく速い。おそらく、230km/h位?で走っているようなオートバイと混走しながらのテスト。それも決められた走り方を出来る限り維持(もちろん安全最優先)しなければなりません。
変な走り方や、危険に繋がる行為が目につけば、クレームが入ります。
その中でも、大型バイクのテストライダーは一目置かれていました。
オーバルコースは、高速走行で飛び出さないようにコーナーはバンク(坂)になっています。確か角度は40°だったか、41°だったかその位です。スキー・スノボのゲレンデで30°の傾斜を上から見たら崖のようですが、それよりもっときつい傾斜です。
そして、一番外側にはガードレールがぐるっと一周あり、そこから1mか1.5m位内側には、「これ以上入ると危ないですよ」という意味の黄色いラインがあります。
一般道の追い越し禁止の黄色いラインと同じです。大型のバイクはその黄色い線をまたいで走るのです。それも200km/hを超えたスピードで! 180km/h位で走っていても、空気を切り裂く音「シュルシュルシュルー」とカン高い音で、あっという間に抜いていきます。夜に走っていてバンクに入ると、遠心力で車体が沈みます。それで、センタースタンドが路面と接地して、「チィッ、チィッ」と火花を上げながら、走り抜けます。
見ていてこちらがひやひやします。もし、居眠りでもしてハンドルを外側に切ってしまったら…などと考えます。みんなテストライダーの事は尊敬していました。本来、私の希望はそれだったのですが…。
バイク好きの方がこれを読んだら、興味を持つと思います。機会があれば、別のメーカーのテストライダー(元)の知り合いの話も書きたいと思います。
テストライダーの中には日頃のプライベーターとしての成績が評価されて、ワークス入りした人もいました。
所属していた部署の車のテストは三交替でした。冬は暖かいと眠たくなる。夏は昼間に寝つきが悪い。夜勤の初日、日中遊んだ後にそのまま出勤する人もいましたが、私はしませんでした。もし、眠気でも出て事故を起こしたら大変だからです。
私は事故は起こしませんでしたが、たまに事故はありました。そうすると、部署総出で対策を考える。それでも起きてしまうのが事故です。

当ブログはテストドライバーの経験も生かして啓発に携わった特許製品
マジ軽ナットを知って頂くために、過去の経験も含めて書いています。
自働車やオートバイを永く楽しむヒントになりましたら幸いです。
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