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自動車開発の思い出 その5


  いろいろな品質検査をしました

耐久走行テストの交代勤務が体に合わず、平常勤務に替えてもらいました。
しばらくは日勤で耐久走行テストや定期メンテナンスのメカニックをやっていましたが、そのテストコースでのテスト車両 第一号車からのテストデータのまとめを任されました。それで、最初からテスト項目の内容の変遷も知る事が出来ました。内容は書く事出来ませんが、より緻密にデータを取るようになったのです。
その後、部署の責任者の勧めでもっと品質を向上させる為の試みが始まり、
様々なデータ取りも色々としました、例えば塗装です。自動車の品質を評価する項目に塗装というのがありますが、これはなかなか難しい。
操作のフィーリング(感触、節度等)もそうですが、なかなか評価が難しいのです。
現状を知るには比較をするのが分かり易い。日本酒の利き酒と同じです。
同じ条件で他車と比較すると違いが分かり易い。この経験が後のマジ軽ナットの効果が誰でもはっきりと分かるように書いた「元テストドライバーがお伝えする正しい比較方法」に繋がりました。
簡単に言うと、「マジ軽ナットを取付けて一週間程乗ってから、一度外して同じように走って下さい」というもの。テストドライバーの経験を生かした誰でも分かる比較方法です。

話を戻して、ある他社メーカーの塗装のデータ取りをする事になりました。
閉め切られた部屋に車を入れ、何台かの車の塗装のチャックをします。
上には蛍光灯があり、その光の具合を見ながらゴミ噛み(塗装へのゴミの付着)の数を数えるのです。
今ではLED照明が当たり前ですが、こういうチェックは蛍光灯でなければ出来ないと思います。LEDは、基本、点をまとめた光になるからです。それでは、塗装の波とかも分かりにくいでしょう。
ある他社の大衆車を持ち込んで、ゴミが付着しやすい、地面と水平に近い塗装面という事で、ルーフの一部をサンプル場所に決めました。塗装は白色で探しづらかったのを覚えています。
ルーフではありませんが、こんな感じです。

光を当ててゴミ噛みを数えるという、地味な作業です

白だから、ぱっと見は目立たない。しかし、蛍光灯の下で目を凝らして見ると、その車には信じられない位多くのゴミ噛みがありました。
決められた面積で数を数えるのですが、「えっ、こんなにあるの?このメーカーの品質管理は大丈夫だろうか?」という位すごい数でした。
小さな板金屋さんが、屋外で塗装しているなら分かりますが(それでもクレームになります)大手メーカーのラインで作られた大衆車(中級車)です。軽自動車ならコスト削減で、手を抜いて…というのもあるかも知れませんが、中型車で名のあるシリーズの車です。正直、ビックリしました。
車に限った事ではなく、こういう端々の品質とか、社員の行動とか、団体の言動とかに、内情が滲み出る事がよくあるんです。
火のない所に煙は立たず…という比喩は正しくないかも知れませんが、「こういう物を世に出すのは、内部に問題があるのだろう」と考えてしまいます。
そのメーカーは当時から噂はありましたが、後に経営危機に陥りました。「やっぱりな、おかしかったものな」そう思いました。
マジ軽ナットをお買い上げ頂いた方には、先ほどの「元テストドライバーがお伝えする正しい比較方法」を差し上げています。この通りにすれば、よほど鈍感な人でも確実に変化が感じられる。その為に「付けてから外して下さい」と書いています。
これは人間の感覚の特性である、悪い⇒良い状態よりも、良い⇒悪い状態になった方が違いがはっきり分かるという経験を応用したものです。マジ軽ナットを外す事で元の状態に戻り、今までの走行安定性がこんなものだったのか、と不安定感に気づくはず。そうすると外せなくなります。
マジ軽ナットはネットショップでかんたんに購入出来ます。


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