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兵庫県神戸市、新神戸駅直結の巨大商業施設「コトノハコ神戸」には何があるのか

「コトノハコ神戸」とは

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 兵庫県神戸市中央区「コトノハコ神戸」へやって来ました。

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 山陽新幹線新神戸駅のすぐそばに「新神戸オリエンタルシティ」という地上37階の大きな建物がありまして、地上4階から上は「ANAクラウンプラザホテル神戸」、地上3階から地下3階は「コトノハコ神戸」という商業施設が入居されています。

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 三宮……南の方から歩いて来ましたらこのような開放的な場所に辿り着きます。なんというか、立派な建物だなぁ……。どこから散策すれば良いのか迷います。

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 とりあえず手近な出入口から入ってみましょう。

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 お、おぉお? のっけから空き店舗が並んでいます。もちろん人も歩いておらず。

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 どういうことなの……。少し進むとちょっと広い場所に出ました。ここが「KOTO no HAKO KOBE」で間違いないようですけども。

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 足元を見ますと「OPA」の文字が。新神戸オリエンタルシティという建物は1988年に開業されまして、当初この商業施設は「オリエンタルパークアベニュー」でした。略してOPAですね。それが「新神戸OPA」となり、「新神戸オリエンタルアベニュー」となり、2019年7月4日より「コトノハコ神戸」としてリニューアルされました。
 OPAの名残……。あえて残している……のでしょうね。

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 公式サイトのニュースを辿ってみますと「新たな施設コンセプトを『Destination&Experience』とし、コト消費を中心とした『ここにしかない』ショップ集合体になることを目指します」とありました。辞書を引きますと「Destination」は「目的地・行先」、「Experience」は「経験・体験」といった意味です。体験するために行く場所ということなのでしょうけど……。

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 新神戸オリエンタルアベニューのテナントが減っていることを受け、2017年頃からリニューアルの計画が始まったようです。
 そもそも新神戸という場所は神戸市で唯一新幹線が停まる駅がありまして、新幹線でやって来る人にとっては玄関と言えます。が、新神戸に着きましたじゃあ新神戸で何かしますかというとそうでもなくて、歩いて異人館街へ行ってしまうとか地下鉄に乗って三宮へ行ってしまうとかロープウェイで山へ行ってしまうとか、すぐに新神戸から離れてしまうのですよ。
 また、新神戸にお住まいの方はともかく、他の地域に住んでいる人が新神戸に行く用事があるかというとそうそうなくて、新幹線に乗るなら真っ直ぐ駅へ向かってすぐ出て行ってしまうしなぁという……。

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 2019年7月にリニューアルされ、それから半年ほどで世界はコロナ禍に突入します。それでお店が撤退していったのかと思いリニューアル当初の公式サイトをインターネットアーカイブで探してみましたが、当初からこのような状態だったようです。

シアターは2階です

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「AiiA 2.5 Theater Kobe シアターは2階です」。おぉお、シアター? 何でしょう。後で見に行ってみましょうね。

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 しかし何もないな……。新神戸オリエンタルアベニュー時代の公式サイトを探してみますと、1階の入居率は2014年で4割ほど、リニューアル直前で1割弱という状態だったようです。

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 公衆電話。最後に利用されたのはいつなのでしょう。

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 フロアガイドが設置されていました。圧倒的Coming Soon。左下から右上に伸びる道が最初の写真にありました吹き抜けのあたりでして、これまで歩いていましたのは左上の一帯です。本当に何もなかったのですね……。防犯上よろしくありませんしいっそ閉鎖したらと思いますが、それはそれで難しいのでしょうねきっと。
 右下の大きな水色は何ぞと思いましたら「新神戸メディカルビレッジ」とのこと。クリニックや薬局の複合体、いわゆる医療モールです。公式サイトを見ますとビレッジ内は空き無し、全て入居されているようです。

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 レストランガイドも設置されていました。最大18軒で、入居率は5割。

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 広場に出ました。

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「カレイドプラザ」という名前の広場……だと思うのですが。

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 吹き抜けのあたり、「プロムナード」へ出ました。

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 開業された1988年としては近代的でカッコいい建物だったのでしょうね。今でもカッコいいですけど。

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 エスカレーターで2階へ上がってみましょう。

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 2階に着きました。そのまま3階へも行けますが……。

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 まずは2階を見てみます。

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 出入口は複数あるようですが、手近なところから行きましょう。

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 頭上の「KOTO no HAKO KOBE」に足元の「OPA」。OPAはあえて残しているとしても、せっかくリニューアルするんだから扉を綺麗に塗り直そうとは思わなかったのでしょうかね。予算がなかったなんてことはないと思うのですが。ところで奥に何やら赤いものが見えますね。

2.5次元ミュージカル専用劇場もあるけれど……?

 おぉ! ここが先程のシアター、「AiiA 2.5 Theater Kobe」なのですね。
 元々は「新神戸オリエンタル劇場」だったのですがリニューアルを待たず2018年12月24日をもって閉館。2.5次元ミュージカル専用劇場として生まれ変わりました。なんと3階席まであり、席数は808とのことです。ちなみに近隣の施設と比較しますと、三宮の「こくさいホール」が2,112席、ハーバーランドの「神戸新聞松方ホール」が706席です。

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 この劇場が毎日稼働すれば状況は好転するのでしょうけどね。毎日数百人でも訪れてくれれば、ちょっと食事でもして帰りましょかともなりますものね。

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 しかし現実は厳しいわけで……。

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 2階もガラガラです。

 しかもよく見ますとディレクトリにシールが貼られています。つまりリニューアル後に閉店されたお店もあるようで。

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 コインロッカーが設置されていました。808席に比べると数が少ない気はしますが、まぁコインロッカーを設置し維持するのもタダではないわけで……。

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 ところでなんか1階と雰囲気が違うなぁと思いましたら店舗部分が閉鎖されていないのですね。開放的なんだ。

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 あぁ、広々して良いなぁ……。

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 色々と検索していますと、リニューアルしてからしばらくはシアター内に「ガチャガチャの森」が営業されていたり、プリクラやクレーンゲームが設置されていたりしたようですが……。見当たりませんでした。

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 Google Mapでシアターのクチコミを読んでみますと待ち時間にやることがないという内容がちらほら……。そらそうなりますよね。

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 警備員さんとすれ違いました。こんなところを歩いている私は不審者丸出しですよね……。普段から見物客が多いのか疑わしきは罰せずなのか、声は掛けられませんでした。

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 公演のない日は閉鎖したらと思ってしまいますが……それはそれなんでしょうね。ところで……。

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 若い人には何なのか分からない台、なんでしょうね。

 コンセントには「使用禁止」の文字が。人通りは少ないですし盗電されかねませんよね。

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 出入口に着きました。こちらは綺麗に塗られていますね。

入居率の高い3階

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 吹き抜けのあたりに出ますと左上に何やら看板が……

「パイン・フォーレスト・こどもの家」。託児所のようですが撤退されています。コトノハコ神戸で働く方のお子さんを預かる想定だったのでしょうか。

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 立派な建物なんですがねぇ。立地がね。

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 エスカレーターを上がって来たあたりに戻って来ました。左の奥の方は「しゃぶ扇」さんというしゃぶしゃぶのお店です。

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 足元にまたまたOPAの名残が。新神戸オリエンタルパークアベニュー。よく見ますと「3」とも書かれていますね。3階で撮ったんだったかな……。

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 というわけで3階にやって来ました。
「神戸ビーフ館」というお店がありまして……「GALLERY」とも書かれています。何なのだと思いましたら神戸ビーフ館の公式サイトによりますと「神戸ビーフのことを正しく知っていただくための施設」とのことです。もちろん神戸ビーフを食べることも出来ますよ。

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 ところでコトノハコ神戸の公式サイトを見ていますと、吹き抜けを挟んでこっち側は東館とのことです。こっち側って。最初に歩きました1階の何もないあたりやシアターがあるあたりが西館です。

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 山陽新幹線新神戸駅に接続されています。コトノハコ神戸は3階なのですが、新神戸駅に着くと2階になるようです。不思議!

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 新神戸駅に接続されているからか、3階は入居率が高めですね。高めと言っても約5割ですが……。1階ではなく3階の入居率が高いというのはこの建物ならではね。

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 おぉ、向こうに見えるのは「セブンイレブン」さんや。駅に接続されていますし上層階はホテルですし利用客は多いのでしょうね、きっと。
 また、写真は撮らなかったのですがコンビニの向かいに「兵庫県おみあげ発掘屋」さんという、神戸市だけでなく兵庫県全域のお土産物を扱うお店が営業されていました。淡路島の日本酒「都美人」を購入しました。

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 エスカレーターの隣には「afric asi(アフリック・アジ)」さん。公式ブログによりますとなんとなんと2022年3月10日15時をもってセブンイレブンさんが閉店されたとのこと。このテキストを書いていますのがまさに2022年3月10日! 驚きました。コトノハコ神戸の公式サイトにも閉店のニュースが掲載されていました。メンテナンスが早いなぁ。

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 奥は飲食店街のようです。

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 しかし閉店された店舗も。2021年3月28日閉店です。33年間ということは新神戸オリエンタルシティの開業当初から!

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 大黒天が祀られていました。何故……。お賽銭箱が設置されていますが、誰かが中身を毎日チェックしているのかな。

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 古い町屋? のような雰囲気です。

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 営業されているお店はあるのですが……ここ西館3階に飲食店は4軒のみ。寂しいです。このお店に行こうと決め打ちしているならまだしも、何か食べようと思ってこの飲食店街に足を向けるかというとちょっと厳しいですよね。

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 寿老人。んんん? 先程は大黒天でしたよね。

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 恵比寿……七福神が祀られているの? しっかり探せば他にも見付けられたのかな。

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 土曜日のお昼時でしたが、すれ違う人は少なく寂しいものでした。

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 ただでさえ人が来ないところにコロナ禍。それでも営業されているお店。すごいことです。

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 飲食店街を抜けますと……おぉう。

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 何もない……。借りようと思ったら家賃はいくらなのかなぁ。

地下に行ったら戻れるの?

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 4階から上はホテルですので地下へ行ってみましょう。下りエスカレーターに乗っていますと……。

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 地下1階が閉鎖されています!

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 地下2階も! これは乗って良いエスカレーターなの? 地上に戻れるの? ちょっと焦ってしまいました。

 現地では焦って気が付かなかったのですが、ディレクトリに「アイビス」と書かれています。何ぞや……と思いましたら会員制の家具屋さんが営業されていたようです。インターネットアーカイブで新神戸オリエンタルアベニューの公式サイトを見ますと2012年頃には名前が載っていません。しかしディレクトリに今でも名前が残っているということは、閉店されてから他の店舗は入居されなかったのでしょうね。

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 避難経路図。他にどんなお店があったのかなぁ。

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 地下2階のエスカレーター脇にありましたディレクトリ。レモンサワーの空き缶が気になりますが……。よく見ますとコトノハコ神戸にリニューアルされる前のディレクトリです。まぁ撤去するのもタダではないですもんね……。

 ディレクトリをよく見ますと地下2階は「パチンコ&スロット パンドラ」さんと書かれています。どうも東館の方で2018年頃まで営業されていたようですね。こちらは西館です。

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 地下3階に着きました。100円ショップ「ル・プリュ」さんが営業されています。結構な広さで、ル・プリュさんの公式サイトでも「大型店舗」とされています。地下3階とはいえ家賃は良いお値段がしそうですけどもと考えてしまいます。まぁあちこちに店舗のある大企業というのはトータルで黒字になっていれば良いというのもあるのでしょうけど。

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 堂々と撮影する度胸がありませんので妙な写真ですけども、「グルメシティ」さんも営業されています。元々この建物は当時「ダイエー」の社長だった中内さんが中心となって考えられたとのことですから、グルメシティが入居されているのはそういうことです。

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 うろうろしていますとレストランガイドが設置されていました。1階で見たものと違いますね。よく見ますとレストランではないお店も掲載されていまして、なりふり構っていられないという状況なんですかね。撤退されたお店もそのままで、メンテナンスは行われていないようです。

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 フロアガイドや……。

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 さ、寂しい……。

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 賑わいがあるのは3階と地下3階。極端です。

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 地下3階は神戸市営地下鉄新神戸駅に接続されています。人の姿がないなぁ……。

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 懐かしい横長の非常口誘導灯。

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 駅へは向かわずコトノハコ神戸に戻ります。……ここは?

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 通り抜け出来ますか。貼り紙があってもちょっと不安ですけども。地下鉄新神戸駅の、先程とは別の改札の方へ向かうようですね。せっかくなので行ってみましょう。

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 ここにも横長の非常口誘導灯。

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 お、おぉぅ。

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 何か書かれています。「セルフサービス」「食器おもどし口へ」と読めますね。フードコートがあったのかなぁ? Wikipediaによりますと「ダイエーグループ(オレンジフードコート)が運営していた地下3階の天津美食街」とありますが、ここのことだったのかなぁ……? 美食「街」というほどの広さはなさそうですけども。ちなみに2000年頃に閉店されたような書き方です。

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 何やら足跡が。

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「ナツイチ 集英社文庫」でした。先程の地下2階のディレクトリによりますと「アシーネ」という書店が入居されていたようです。2017年10月閉店とのこと。この足跡はわざと残していったのか……。

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 妙な位置にある非常口誘導灯。フードコート? はどういうレイアウトだったのでしょう。

再開発に期待して帰ります

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 というわけで地上へ戻って来ました。最初にやって来ましたあたりとは反対側、つまり山側です。

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 回転扉や……使用は出来ないようです。なんか懐かしいですね。2004年に東京で死亡事故が起こってしまい、そのあたりから見掛けなくなっていったように思います。
 しかし小さい回転扉だなぁ。今はその横が大きく開放されていますが、現役だった頃はこの回転扉から出入りしていた……のですよね? 山側から出入りする人は少なかったのかなぁ。

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 そろそろ帰るか……。と思いましたら南側に当時「ダイエー」の社長だった中内さんの言葉が刻まれた石板が設置されていました。「よい品を どんどん 安く より豊かな 社會を」。
 2022年現在、新神戸駅前の再開発が計画されています。新神戸駅……ではなく新神戸駅前に多くの人が訪れるようになれば、コトノハコ神戸も不死鳥の如く蘇るかも知れません。阪神・淡路大震災で更地になってしまった街が蘇ったようにね。


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