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新曲『透き通る憂鬱』について

さて、作りましたよ新曲。個人的には好きな曲です。
いや、自分で作る曲なんで当然全部好きで作ってるし、自分が好きなエッセンスを詰め込んでるんで好きなのは当たり前なんですけどね。
そういう意味では作曲って自慰みたいなもんですね。

歌詞は我ながら共感するとなんかネガティブになっちゃいそうなんで何とも言えません。

動機

本当に最初の動機は忘れてしまいました。

そもそもこの作品を作った期間が割と長いというか、元々ある程度雛形があったんですよね。

6月中、スランプな時にこの曲の原型となるこんな作品を投稿していました。

タイトルから何からまんまです。『透き通る憂鬱』。
まんま当時の心境を名付けた言葉です。何もひねりがありません。ベル系の音とやかましいブザーの様なベース、ぼんやりとしたエレキピアノ。

残念ながらこの作品は全然評価されませんでした。今聴いたらベースがうざいし最初以外未完成に近いからしゃーない。

本当にこの頃は一番精神的にやられていた頃なので何も言えません。

動機2

さて、それなら今回この作品をブラッシュアップして歌として投稿しようとした理由に入りましょう。

結論から言うと、あまりに勿体なかったからです。

作品としては未完成であってもイントロのキャッチーさはもう何度聞いても飽きないパワーがありますし、ぼんやりとしたところにひねくれたメロディが入る様子は私好みでした。

ということで、ここまで作ったのなら歌詞を付けてちゃんと完成させて投稿しよう、と思ったわけです。この作品が微妙で埋もれているのは勿体ない!お前らにこれを認めさせてやる! そんな心境がゼロとは言いません。まあ、クリエイターの心境なんてそんなものでしょう(主語が大きい)。


制作について

先ほど言ったように雛形の状態の思考ははっきり言って分かりません。

強いて言うならグロッケンを利用した透き通るようなメロディを作ろうとした、という感じでしょうか。

コード

コード進行を見てみると案外シンプルですが、効果的にするためにセブンスとテンション、そして変なルート音を多用しているようです。
ここら辺のコンセプトは少し「10時間くらい天井を見ている」に影響を受けているかもしれません。あの曲が妙に心に刺さった6月でした。

こんな感じの鬱屈とした、しかし突き抜ける様な透明感も感じられる「物憂げ」という言葉が似合うような作品を作りたいと思ったのでした。まあ、これは完全に短調の曲なのでまた作り方的には別だと思うのですが。

特にイントロの
Dm add11/F→Am7/E→Dm add11→Am/E・Am/D→
Dm add11/E♭→Am/D→Dm/D♭→Am7/C→Dm
というコードについては相当上手くいったのではないでしょうか。イントロだけ一生聴いても飽きなさそうです。

一応Dmとシンプルな形で終わってはいますが、当然こんな形ですからもやもやが残るような感じになっています。この歌はアウトロでも同じフレーズを使うのですが、完全に解決しきっていないのです。

ベース

さて、最初に改造に着手したのはベースです。

ブザーの様なベースは投稿当初こそあまり違和感を感じませんでしたが、今聴いてみると想像以上にやかましい。これじゃあメロディやエレキピアノの透き通った音を楽しみたい人も離れるに決まっています。

これに気づかない辺り実際精神的にやられてたんでしょうね。

どうしようかと考えたところで、最近Kawaii future bassなどで「太い」ベースの音というのを作っていたのを思い出しました。

これは一つのベースの音にサブベースとして1オクターブ下の音(基本サイン波のシンプルなベース)を重ねて「太い」音にするという技術です(技術という程大層なものでもありませんが)。

この方法はメロディを聴かせたいこの曲にぴったりでした。ということで、ブザーの様にやかましく鳴り響くベースをピアノ系の音のベースに変更し(エレキピアノをリリースカットしてFXなどを消し低音を鳴らすとほぼベースになります)、その下にサイン波のサブベースを入れました。

パーカッション・SFX

次に気になったのはパーカッション・SFXです。元々ちょっとしたドラムはありましたが、正直言って不十分に感じました。

何というか、もう少し高音系の音があってもいいような。ということで、トライアングルの音を追加しました。また、音量バランスなども多少変更しました。最終的に調整以前よりもかなり改善されたと個人的には思います。

また、場面転換でリバースシンバルを入れました。割とメリハリというか、曲の展開、つなぎがスムーズになって悪くない感じになったかと思います。

そしてこれが一番大きな変更点かも知れませんが、水滴の音を入れました。
賛否両論かも知れませんが、やっぱりこの曲は梅雨の雨が降りしきる憂鬱な時に制作した曲なので、水をモチーフとしたところをいれたいな、と思ったのです。

作者個人のイメージとしては心象世界の透き通った透明の湖に雫がぽつりぽつりと落ちていくような感じです。作者が勝手に言ってるだけなので別に他の解釈でもいいとは思いますが。

ストリングス・コーラス

実はちょっとだけなっています。Aメロはシンプルに、Bメロはより展開を広げて音の幅も大きくする、というような意図で入れました。

一方でそれが十分に感じるイントロやアウトロにはストリングスの音色を入れていません。Rhodesの音とベルの音、歌で十分ですからね。

同時にコーラスも地味になっています。これもBメロを更にもやもやさせて世界を広げるためです。

歌・歌詞

ここが一番苦労したところです。いえ、元々メロディはあったのでそれをMidiにして入れるだけでそこは簡単。

問題は歌詞です。
この作業を行った際には一応6月の憂鬱な負のループから抜け出してたんですよね。どうやってそんな感情を表現しようか。

そう思っていたのですが、案外当時の心境を書き綴っていけば何とかなりました。時間はかなりかかったけど。

とりあえず単語を書きだして、そこからどのようなストーリー、どんな歌詞が書けるかを試行錯誤しました。


こんな感じでメモ帳に関連しそうな言葉を書きだしていった。

その後はシンプルで、メロディに合わせて文字数を調節したり、逆にメロディを調節したり。

そういうことをしつつどのようなことを考えていたか、自己嫌悪感などを実際感じたものそのまま書いています。こう書いたら滅茶苦茶病んでる様に勘違いされそうですが私は元気です。

完成品がこちら。

雨音搔き乱す遥か曇天の中
乖離するアイデンティティを吐き出す
入れ替わる血肉の感覚すら知らずに
今日も張り付けた笑み歪め覆い隠す

流れる 赤色 穴の開いたバケツに
切り付け 開いて 流し込んでく
肥大化 しきった 顕示欲に潰され
何もない鏡に映る誰かを殴る

あなただあれ?

狂気に染まる好奇心崩壊する精神
交錯した意識無言で迫る黒い貌に
逃げ出してふさぎ込む澱む外側に湧く
食われ落ちてく色と皮が視界を占めた
生えた手元の光で喉元を切り裂いた
降り続ける雨音だけ残り続ける

散らかり切った私の中の世界で
転がる板にあざ笑うモニター
鳴り響いた電子的死刑宣告
投げ出して世界から色を消した

これが深層意識とか言うなら割とヤバいかも知れません。
てか我ながらこの歌ずっと聞くとなんか鬱になる。

好きに解釈してね。

完成

ということで、完成。

ちなみに動画はシンプルに一枚絵+歌詞のみにしました。いわゆるボカロPVとしては必要最低限ですね。画像はAI生成。

音楽方面をガチでやりたいので、サムネなど重要な要素を除けば今後はそこまで動画に力入れることはないかと思います。時間が足りない。

いや、動画編集とかイラスト修行は必ず役に立つことではあるけど、それじゃあその時間を音楽制作とか勉強に割けばもっと有意義になるんじゃないかというね。

第一音楽に専念するために現状の環境を手に入れたのに、なんで動画やイラストを優先する必要があるのか。たとえそうする理由があるとて、それならその時間音楽理論の勉強とかスケッチ、深夜の2時間DTMした場合と比べたらどうかという考えです。

結局動画がある程度良くても肝心の音楽が微妙だと見てもらえないと思うんですよね。音楽がメインのコンテンツとして音楽が微妙とかあまりにどうしようもない。サムネで興味を持ってもらわないと見てもらえないというのはそれはそうですけど。

しばらくは動画編集とかイラストについては可能な限り比重を軽くしようと思います。

反省

当時精神的に参っていたとしても、元の様な作品を投稿するということが本当に良くない。何考えてんだか。

結局質が高く無ければ毎日投稿しても意味ないのに。質が伴わない毎日投稿をするくらいなら質の高い隔日投稿、週1投稿の方がマシ。「あ」とか「うんこ」とかみたいな動画毎日出したところでどうしようもないでしょう。

まあ、精神的に参ってた原因などについてはしっかり分析しているので、今後はできる限りこんなことが無いようにしたいです。自己管理もしなければいけない。

その過程に不満の残る一作でした。

旧版はともかく歌の方は出来には満足していますし、出せるものを出したと考えているのでよろしければご視聴ください。

それでは。

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