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聴いてみよう、クラシック!①『町人貴族』


はじめに

クラシック音楽。そう聞いて、皆さんはどのような印象を思い浮かべるでしょうか。

優雅、ピアノ、オーケストラ、交響曲、古典、退屈……いろんな印象があると思います。それでは、実際のところどうなのでしょうか。

これまで私はかつて母が弾いていたり、ラジオや公共施設でBGMとして流れている曲を聞いたことはあっても、それを意識して聴いてみたことはありませんでした。コンサートに行ったことも皆無とは言いませんが、自ら進んで聴きに行ったことはありません。

幾つかピアノに関しては習っていたのでピアノの曲に関しては聞いたことはありますが、そこまで当時は熱心だったわけでもありません。一時期ドビュッシーの曲やリスト、ショパンの曲を好んで聞いていたこともありましたがその程度です。

さて、一口にクラシックと言ってもバッハからそれこそドビュッシーまでその様式は千差万別です。

私はベートーヴェン、ハイドンの様な超有名な作曲家ですら怪しいですし、バッハなどバロック、古典派音楽の造詣に関しては詳しくないどころか実際に聴こうと思って聞いたことはほとんどありません。ということで、聴いたことのないクラシックの曲を真剣に聞いてみようと思いました。

このシリーズでは軽く歴史や作曲家について触れつつ、クラシック音楽を聴いてみようと思います。いうてもwikipediaとか他webサイト、ちょっとした本などを参考にする程度です。気になった方はリンクを張るので、そこを参照してください。

第一回の楽曲は『町人貴族』。
ジャン=バティスト・リュリの作品です。

ジャン=バティスト・リュリ


ポール・ミニャールによる肖像画。

フランス・バロックの代表的な作曲家の一人です。

イタリア生まれながらルイ14世の宮廷楽長及び寵臣で、後にフランス国籍を取得しました。

詳しい資料が残っておらず少年時代については不明ですが、粉ひき屋に生まれたそうです。

フィレンツェの粉挽き職人の家庭に生まれ、音楽の専門教育を含めて、ほとんど正規の教育は受けていなかったが、ギターヴァイオリンなどの演奏を自ら習い覚えた。

wikipedia『ジャン=バティスト・リュリ』

以下、生い立ちを抜粋するとこんな感じです。ほぼwikipediaの抜粋なので、気になる方はwikipediaを参照してください。

  • 1652年、ルイ14世と「夜の王室のバレエ」で共演したことをきっかけに生涯にわたりルイ14世の恩寵を受けた。

  • 1650年代から1660年代にかけて、多くのバレエ音楽を作曲

  • 1664年からはモリエールの台本による「コメディ=バレ」(舞踊喜劇)で成功を収める

  • 代表作は『町人貴族』『無理強いの結婚』など

要約すると、ルイ14世につかえてバレエ音楽、舞踊喜劇などを制作していた作曲家だそうです。その影響は大きく、フランスにおけるバロック音楽の形式はリュリによって確立していったとか。

音楽的な面を挙げると、こんな感じでしょうか。

  • バロック音楽中期の作曲家

  • 「通奏低音」が曲の推進力となる典型的なバロック様式の音楽を構築

  • 速い楽章の快活さや、悲しげな楽章における情緒性を兼ね備え、幅広い表現が特徴

通奏低音? バロック音楽? わからない言葉が出てきましたね。
バロック音楽については聞いたことはあるけど詳細について知らない人もいると思います。私もその一人です。それでは、ここでバロック音楽自体について調べてみましょう。

バロック音楽とは

wikipediaを辿ると、このように出てきました。

バロック音楽(バロックおんがく)は、ヨーロッパにおける17世紀初頭から18世紀半ばまでの音楽の総称

wikipedia『バロック音楽』

ルネサンス音楽と古典派音楽の中間の時代だそうです。ルネサンスは14世紀ごろからの動きですので、なんとなく時代が分かりますね。

その特徴はこれと言って断言できるものはなく、場所や時代によってさまざまなスタイルの物があり、バロック音楽と言っても初期、中期、後期があるようです。

全て見ていきたいところですが、流石に記述を見ると長くなりそうなので今回はリュリに関係ある『中期バロック』についてみてみましょう。

……と言いたいところですが、中期だけでもかなりの量です。ここで紹介するにはあまりに長い。中期バロックのフランスの項のみに絞りましょう。

フランスでは、17世紀前半まで宮廷バレエ(ballet de cour)やエール・ド・クール(リュート伴奏による世俗歌曲)など比較的独自の音楽文化を持っていた。1650年頃に、イタリア出身のマザラン卿がイタリアのオペラを紹介した事などで、イタリア風の音楽が流入した。

ルイ14世の宮廷では1670年頃まで依然として宮廷バレエが盛んであった。イタリアから招かれたジャン=バティスト・リュリ1632年 - 1687年)は、ルイ14世の宮廷で多くのバレエ音楽、コメディ=バレを作った。やがてフランスでイタリア風オペラが流行するが、リュリはイタリア風のレチタティーヴォアリアはフランス語の音素と相いれないものであるとして、フランス独自のオペラのジャンル、叙情悲劇(tragédie lyrique)を打ち立てた。この叙情悲劇は、歌手の歌うレシ(récit)と舞曲から構成されていた。レシはレチタティーヴォをフランス語の発音にあうように改変したものであり、舞曲は宮廷バレエから引き継がれたものである。リュリがルイ14世の宮廷で圧倒的な影響力を誇っていた事もあって、結果的にリュリの作品群によってその後のフランスにおけるバロック音楽の独自の形式が確立される事となった。

wikipedia『バロック音楽』

リュリの時代に影響が大きそうなのは、イタリア風の音楽の流入、バレエ音楽が盛ん、独自ジャンルのオペラ「叙情悲劇」の誕生、リュリによってバロック音楽独自の形式の確立、あたりでしょうか。

察するに、フランスにおいてはイタリア風の音楽を取り入れたリュリの曲自体が中期バロック音楽そのものと言ってもいいかもしれません。

そして、先ほどの項で挙げたリュリ自体の音楽の特徴を見ると

『「通奏低音」が曲の推進力となる典型的なバロック様式の音楽』

とあります。「通奏低音」。これからは逃れられそうにありません。仕方ないのでこれも調べてみましょう。

通奏低音とは

通奏低音とは、音楽における土台の様なものだそうです。かつてバロック音楽の時代にはメロディや和音と共に通奏低音が一緒に記述されており、奏者はそれを基に演奏を行ったんだとか。

現代の楽譜でたとえるなら左手の和音やベースの根音だけを楽譜に書いて、奏者が都度それに従って適切な和音を演奏するような感じでしょうか。これを「リアライズ」と呼ぶとか。

もちろん根音だけではわからないので、一緒に記号や数字もついているようです。

なお、現代は通奏低音が使われている楽譜でも楽譜に前もってリアライゼーションした、和音に変換したものが多く使われているようです。

通奏低音は通常、低音の根音を弾く楽器(コントラバスなど)と、和音部分を弾く楽器(オルガンやチェンバロ)によって演奏されるとか。

要約すると「コード進行の原型」といった感じでしょうか? 構成的にはまんまコード進行の和音のピアノと根音のベースみたいなもんですね。
はっきり言って自分も初めて知ったので、これが正しいかはわかりませんが、調べたところそんなイメージがあります。

とはいえ、対位法で声だけのアカペラみたいな音楽とかを作っていたルネサンス様式と比べるとコードの様な概念は画期的だったのでしょう。

実際ルネサンス様式の音楽を聴いてみると、なるほど、声のみだったり割とシンプルな作りになっています。

こんなプレイリストがあったので共有しておきます。音楽が多様化した今、ルネサンス様式の音楽を聴いてみると一周回って新鮮ですね。これはこれで聴いてて面白い。

「音楽史 : グレゴリオ聖歌からバッハまで」内のリュリの記述

少し話を戻しますが、ここで国会図書館デジタルにリュリについて書いていた本があったので、それを紹介します。

そもそもバロック音楽において最も多く使われていたのは「フランス序曲」という形式で、荘重な緩やかな部分と、それに続く速いフーガ風の部分の二部で構成されている形式だといいます。

形式自体の由来は、カヴァリエリの「rappresentazione di anima et di corpo」、《霊と肉の劇》第一幕の終わりに記された短い器楽曲名で遡れるそうで。

ただし、明確に形式上特徴のあるフーガ風の2部が現れたのは、ルイジ・ロッジLuigi Rossiの《ヨルダンのエルミニア》Erminia sul Giordano(1627)が最初だそうです。こちらは調べても楽曲が分かりませんでした。

これらの様な「フランス序曲」――今ではフランス式序曲というようですが――とリュリは深い関係があり、彼の1673年から1685年にかけて制作したオペラはすべてこの形式を利用しているそうです。

ひとまず、この本にフランス式序曲の参考として載っているリュリの作品《アルミード》の序曲を聴いてみましょう。

最初はゆったりしている音楽ですが、47秒あたりから早めの音楽になって、明らかに曲調が変わります。その後、またゆったりした曲調に戻り、1分40秒あたりでまた速い曲調になります。

どうやら2回繰り返しの様で、その後最終的にゆったりとした曲調に戻り終わります。

確かに書いている通り、ゆったりとした付点リズム、緩やかで堂々とした導入部というのもわかりますし、早い部分がフーガというのもなんとなく、フーガについて詳しくありませんが、いくつも同じメロディが折り重なっていく感じはフーガのそれだといえます。

フランス式序曲はパーセル、バッハ、ヘンデルの作品で頂点に達したそうです。また、後続の作曲家が使用する際には最初の付点リズムの効果が著しく強調、速い部分は際立つ「フガート」(フーガの技法や様式を利用して作曲されているが、フーガとして一つの曲になっているわけではなく、フーガのすべての要件を満たすわけでもない一つの曲や楽章の一部分を成す部分の名前)になっているらしいです。

気になる方はこちらを実際に読んでみてください。

『アルミード』に関しても、後に聴いてみたいですね。

町人貴族

町人貴族は先ほど挙げた、「コメディ・バレ」喜劇系のバレエ音楽でモリエールが台本を書いてリュリが音楽を担当したといいます。

とりあえずwikipediaからあらすじを抜粋してみましょう。

貴族(gentilhomme)になりたい愚かな金持ちの町人(bourgeois)のジュルダン(M. Jourdain)を巡る物語で、ジュルダンを騙して結婚しようとする娘リュシル(Lucile)とその恋人クレオント(Cléonte)、その従者コヴィエル(Covielle)のたくらみに、ジュルダンを利用しているドラント伯爵(Comte Dorante)とその愛人ドリメーヌ侯爵夫人(Marquise Dorimène)の思惑、ジュルダンを諌めようとするジュルダン夫人と女中のニコルが絡み合う。

wikipedia『町人貴族』

なるほど、タイトル通り貴族になりたい愚かな金持ちの町人についての物語だそうです。まああらすじだけでどうこう言っても始まりません。

幸いにも『町人貴族』は翻訳本が国会図書館デジタルで一般公開されています。そちらを実際に読んで確かめてみましょう。

ちなみに豆知識ですが、以外にもこの『町人貴族』、コーヒーとのかかわりがあったりします。

当時オスマン帝国の大使だと思ってルイ14世が正装で豪勢に出迎えた男が大使でなく、フランスを下に見るようなオスマン帝国の態度に怒って作らせたトルコ人をバカにする作品の様です。

その大使ではなかった男、ソリマン・アガによってフランスにコーヒーブームが広がり、豪華絢爛でエキゾチックなトルコ趣味が流行することとなったそうです。

このあたりの流れはこの本に載っていたと思います。

閑話休題。話を『町人貴族』に戻しましょう。

元々劇用の台本の様なものだけあってかなり短く、1時間ちょっとで読めると思います。

内容はなるほど、トルコ人をからかう為に作られたというのも道理です。とはいっても最後の方にしかトルコ人に関する話は出てきませんが。

重要な登場人物は以下の通り。

  • 貴族大好きで権威主義な見栄っ張りの町人

  • 町人を金づるとして利用して侯爵貴族夫人と恋仲になっている伯爵

  • 町人の娘や女中、奥さん

  • 町人の娘に恋をしている男とその下僕

序盤は音楽やダンス、剣道、哲学の先生との滑稽なやり取りがありますが、本筋に関係ないので飛ばします。

シンプルなあらすじを示すとこんな感じです。

裕福で愚かな町人は貴族になりたがり、侯爵夫人となんとかして恋仲になろうとする(が、侯爵夫人の愛人である伯爵に騙されているだけで周囲からバカにされているし、町人の習い事は大体が裏目に出ている)。
一方で町人の娘に恋する男は町人に娘を妻にと願うが、娘を貴族の嫁に出したい町人にあしらわれてしまう。
そこで、自らをトルコ人の王子と言って町人をだまし、娘と結婚する一計を案じる。
この謀と伯爵、侯爵夫人の町人家への来訪が重なって、伯爵も一緒に町人をだましてトルコの王子(偽物)を迎える盛大な茶番劇を行う。

こんな感じです。ええ、偽物とはいえこの内容はトルコ人をバカにしてますね。途中でたらめなトルコ語みたいなのも出てきますし、ルイ14世が腹いせに作ったというのも頷けます。

実際に聴いてみよう!

さて、このくらいで事前の知識は十分でしょうか。かなり長くなってしまいましたが、それでは実際にLe Bourgeois Gentilhomme, LWV 43、ジャン=バティスト・リュリの『町人貴族』を聴いてみましょう。

どのような感じでモリエールの『町人貴族』を表現しているのでしょうか。本当は現地で舞台装置にバレエ、衣装を合わせての作品だと思うので、実際にコメディ・バレとして見てみたいものですが、残念ながら日本で公演しているところは無いようですし、Youtubeで公開しているものも存在しないようです。(正確には『町人貴族』自体のYoutubeの動画はありますが、当時の物やリュリの音楽を利用したものは存在しませんでした)

ということで、楽曲のみになります。また、正直どこで聴けるのかわからないのでYoutubeでの視聴になります。

チェンバロはオランダのグスタフ・レオンハルトという方、他はベルギーの古楽器オーケストラであるラ・プティット・バンドの演奏です。
劇だけあって1時間20分もあるようですね。

それでは、暫しの間この音楽に浸るとしましょう。

鑑賞中残したメモ

※内容纏まってませんし言葉遣いも適当なので気になった方以外はスクロールで飛ばして結構です。また、正直言って無知なので見当違いの感想があるかもしれませんし、かなり長いです(5000文字前後。1時間20分の実況書き出しみたいなものなので致し方なし)。

………

最初はゆったりした感じ。フランス式序曲?
ハープシコードの響きが気持ちいい。なんというか、典型的な昔の優雅な曲って感じ。宮廷とかを思い浮かべる。町人貴族要素は分からない。
構成的にはゆったりした部分と早いフーガ風の繰り返し。

お次はハープシコードの伴奏に男性?の高い声の歌。そこら辺の知識は無いが、なんというかメヌエットなどを思い出す様な感じ。おそらくそこら辺の、対位法とかちゃんとしてるんだろうなぁと。

もしかするとフーガに近いかも。

あんまり音としての盛り上がりはハープシコードなので少ないが、歌手のお陰で最後はすごく盛り上がる。
ハープシコードはBGMとかにいいなぁ。

この楽器はハープシコードかなぁ。なんか弦楽器っぽいけど。後ろでコントラバス? が鳴ってる。

次はバイオリン二つとバス、ハープシ。明るい祝祭!って感じの曲。華やか。晴れやか。インスト曲かと思ったら歌が入ってきた。
全体的に歌以外の抑揚は少ないかも。曲調は似ている。

少しアンニュイな響き。先ほどまでの華やかさと比べると、やや複雑で憂いを帯びた響き。物語で言えば先ほどまでは場面説明的な感じだったが、この曲は起承あたりで何かが起こりそうな印象。こちらも長めのイントロから歌が始まった。音程は低め。完全に暗いわけでは無く、部分的に明るい部分もある。

笛を吹き始めた。どういう場面だろう。メイン笛、合わせる伴奏でハープシコードと低めのチェロorバス。笛と入れ替わりでテナー系の男性歌手。
割と勇ましい感じの歌。もしかすると町人かも知れんけど。

3人の歌手が歌い始める。女性ソプラノ2人と男性の低い歌手。なんか聞いてる感じ何かしらの会話をしてそうな感じがする。フランス語が分からないから少し面白さが減ってる感あるなぁ。字幕使えないのが悲しい。まあ実際は全く別の内容かもしれんが。最初の方の優雅な印象はやや弱い。

それにしてもハープシコードの使い方が上手い。どうやって使えばいいのかなんとなく聴けば分かってくる。

基本的に歌パートはチェロのベースとハープシコードの伴奏、歌の3つで出来ている。歌がない時は2パートのバイオリンや笛がその代わりを務めている。複雑な現代の曲に慣れた身からするとかなりシンプルな印象を受ける。

かなり大きな始まり。かなり多いヴァイオリンやヴィオラ、チェロ、バスを利用してそう。一応ハープシコードもあるが、音量が一定だからかこれまでの曲より目立っていない。ゆっくりしたパートと早めのパート但しフーガではないと思う。
早いパートはストリングス達が細かい動きで小さな音になるからかハープシコードが目立つ。

DTM系の観点からすると基本的に最近は常になり続ける曲とかが多いからか、何かしらの音を追加したくなる。

タンウンタタンみたいなリズムの曲になる。これはこの時代独特の付点のリズムという奴なのかも知れない。

次は全然そういうのではない。タンタンタタタタタみたいな。ただ根底のリズムはたったたったって感じで乗ってる。

歌とハープシコードの曲。少し見たら飲酒の曲らしい。想像以上に陽気だが男中心。飲酒ってことはもしかして夫人との会話のシーン?

トルコの儀式。急にそれっぽい儀式っぽい感じになった。早口でよく分からないことを捲し立てる。しかしかなり短くすぐ終わった。
その次は、それまで使ってなかったヴァイオリンと笛が同時にメインメロディを務める曲。アッラー?みたいなのを何度も言って終わり。その次もずっとトルコの儀式パート。

男が何やら先ほどまでとは全く違う感じの
あなばでぃすた?あなばでぃすた!よよよ!まはめたーな。まはめたーな!へいばらへいばら!
いやこんな感じのがずっと続く。明らかにフランス語ではないよなぁ。ここら辺が多分トルコを馬鹿にしてるパートなのかも知れない。

時間を見たら、これだけで15分続くらしい。長いな! やっぱコメディ・バレ、舞踊を交えた喜劇だけあって歌が主体の印象。ずっとトルコ儀式のターン。見たら、歌は4パートでやってたらしい。
次になんらかの打楽器、シャンシャン鳴ってる楽器と共に笛のパート。そして儀式は続く。

やっと儀式終わったんかなぁ。明らかに曲調が戻ってきた。先ほどまでの、何か怪しげでミステリアスな謎の儀式をしている感じは一切しない。優雅な曲調。もしかするとトルコ系の豪華なあれを表してる可能性はあるが。バイオリンはトレモロかなりたくさん使うなぁ。そんな感じ。

そう思ったらなんか明らかにまだトルコの儀式続いてた。と思ったら終わった。

なんというか、トレモロ中はベースの伴奏であるパートがメロディの代替をしてる様なイメージ。トレモロはそうやって使う感じかな。一瞬主従を交代してるというか。
次儀式パート来るならこれ代わりばんこにやってるのかなぁ。まだきてないけど。

あ、まだ続いてた。やっぱ緩急つけてるっぽい。

フランス式序曲の形式で言えば、フランス系の優雅なパートはそのまま、その後のフーガパートがトルコ儀式みたいな。劇をする際に飽きない様にするための工夫かも。

トルコ儀式は儀式っぽくするためか同じ様な言葉を何度も繰り返し唱えている感じがする。また、指導者的な歌声が何か言った後に4パート位で何かしらを繰り返し唱えるみたいな事が多い。そして盛り上がりでは延々4パートで何かしらの詠唱を4小節くらい繰り返していく。

ちょっと前に聴いたような打楽器と貴金属系の楽器の音。

どうやら第五幕が始まったらしい。優雅だ……。
歌のパートも先ほどまでとはガラリと変わり、同じ様なことを延々畳み掛ける感じではなく、普通のオペラとかみたいな感じ。

あ、これはなんとなく王子に扮した奴が騙してる様な場面の気がする。トルコっぽい奴がある気がする。気がするだけだけど。これも多分劇パートで数人が会話してる感じ。

可能ならフランス語を習得していると数倍楽しめるだろうなぁ。いやほんとに。

しばらく男性の独唱パート。被せる様にテナー歌手。途中でテンポを上げて陽気に歌い出した。こういう歌にハープシコードはかなり合う。

女性の低めの声。何言ってるんやろ。なんというか、ディズニーとかの歌みたいな感じよな。いや、あっちが似せてる側というか元がこちら側なんだろうけど。

いや、劇要素がどんどん増してるなぁという印象。フランス語分からんと想像力が必要。

明らかにキャラ付けがされてる。オペラっぽい声でもなんかあまり伸ばさない声とか低い声、中くらいの声みたいな感じで。

そして早く複数のボーカルが畳み掛ける様な歌を挟み、インスト系の曲になる。最初の方にあった少しだけ憂いを帯びた曲みたいなの。みーれ♯どーみたいな感じの奴が原因だろうな。

あ、でも明らかに明確に明るい終わり。

次はハープシコードと笛とヴァイオリンのメロディ。ベースはチェロかバス。入れ替わりで歌が入る。なんとなくもう形式は理解してきた。

最初とかと比べて豪華絢爛な響きではないけど、これくらいの方が好みかも。響きもあかるいあかるい!という感じでもなく、程よく盛り上がる感じでちょうどいい。

三拍子の曲。前と違うのはバイオリンと歌が同時に鳴ってることかな。その後女性と男性の歌。

今度はそれまで全然なかった、ドラ!みたいな感じで始まる感じの曲。正直曲調はそこまで変わっていないので、少し飽きを感じてきたが、この曲は少し新鮮かも知れない。

男性3人の歌の曲。その後ゆったりとした曲。

明らかに場面が変わる。笛系? ハープシコードがなんか新鮮に感じた。何かしら先ほどまでとと変えてるかも。笛が前と違うのか?
女性の歌。これはどの場面なんだろう。概要などをみても書いてない。楽譜には書いてるっぽいけど動画内の楽譜は翻訳できないので分からない。

響き的に近いと思ったらあれだ、サンタルチアとかそういうイタリアの歌っぽい。名前忘れたけど。実際楽譜を見たらイタリアのなんとかって書いてた。

次に4拍子の普通の曲に戻る。まあこれはもう何度も聞いたって感じかなぁ。と思ったら、その次は最初に盛り上がりが来たり、曲調自体は似てるしジャンル自体は同じなんだろうけど、細かい部分に変更が加えられてる。

また似た感じの曲。そして五番目のエントリ?メヌエットらしい。最初はそういう感じがないが、たんたたたたたたんみたいな(レーソラシドレーそっそっ的な)部分がメヌエットっぽいなぁと。

また歌が始まる。女性の低めの声。ここら辺はもうバレエ鑑賞に移ってるのかなぁ。確か町人貴族の台本では王子への紹介をしますからバレエ鑑賞と行きましょうみたいな感じでバレエに最後は移ってたはず。ということでなんとなくバレエを想像。多分今と衣装とか少し違うと思うけど。

ここら辺の三拍子はやっぱバレエ踊ってるんかなとか思ったり。コメディ・バレがどの様な感じで公演されてたのかとか全然知らないからここも想像で考えるしかない。

オールスター的な歌が始まった。全員を使った感じの豪華な歌。ここでもしかしヴァイオリンと笛、歌はそれぞれ一緒になることはないかなぁと思ったら普通に一緒になった。ここは流石に分かる。最後の盛り上がりだろう。

そして鑑賞終了。

………

感想

率直な感想を言うと、疲れました。

こういう曲は鑑賞するにしてもパワーが必要かもしれません。現代人に1時間20分、しかもかなり似た曲調で楽器の種類も少ない楽曲を視聴するとなると聴き慣れておらず厳しいですね。慣れが必要です。

いや、別に好き好んで聴くならいいと思います。自分もドビュッシーなどは延々聴けます。けど今回は好きだからというより、どんな曲なんだろうと探る気持ちで聴いたのでそういう感想になりました。

そもそもこの作品はバレエ・劇や衣装も合わせて完成する一つの作品なので、こういう視覚を一切使わず鑑賞する方法は邪道だと思います。せめてフランス語が分かれば何を歌っているか分かったと思うのですが……。『町人貴族』読んでおいてよかった。事前に予習してなければ途中のトルコっぽい儀式パートの意味絶対理解できなかったでしょう。

その上で感心しました。なるほど、優雅なイメージの曲はこういうものが元だったのか、とか当時の音楽がどの様なものだったのか、とか。

内容自体も、なんというかルネサンス期の音楽を聴いていた人ならバロック音楽は革命的に感じたのだと思います。現代で聴くとなんか古臭いとかそういう印象になりますが、当時としてはこれが最先端の流行ジャンルだったのでしょう。

また、なんとなく知っていた知識が結びつくのも面白い。後に多少調べましたが、メヌエットってフランス発祥だったんですね。しかも宮廷舞曲だそうで。この作品で似た響きというかまんまメヌエットが出るのもそりゃそうだという感じです。舞曲っていうあたり、メヌエットを利用している箇所はバレエパートだったのかもしれません。

できるか? って感じではありますが、この経験が何かしら作曲とかに結びついたらいいなぁと思います。ま、まあ王城とか宮廷のBGMとか考えるならいいかもしれません。そこら辺のイメージがバロック様式のフランス式序曲だというのは初めて知りましたし。

ハープシコードとチェロ?を利用した、通奏低音っぽい演奏は割と扱いやすそうですね。問題は楽器の組み合わせ的に絶対古風な感じになる事でしょうが。ジャンルから使用している理論面まで幅広く多様化した現代で耳が肥えすぎて、当時の楽曲がかなり似てるものに聞こえる問題が大きいですね。

特にハープシコードは根本的に強弱をつけられない弱点があるので難しそうです。もちろんDAWで追加で強弱をつけられないわけではありませんが、それをやるのはどうなんでしょう。

終わりに

そんなこんなで私なりの「町人貴族」の鑑賞は終わりになります。
皆さんは「町人貴族」聴いてどう感じましたか?

正直ギブアップした人もいるかも知れません。
交響曲や実際の劇ならともかく、昔の音楽をそれ単体で聴き続けるのは厳しいでしょうし。昔の人も多分オーケストラの様子だったり劇の流れを見て楽しんでいたのでしょう。

ただし、音楽全体の流れを考えると古典的な音楽を聴くのは非常に有意義だと思います。

例えば私は最初にドビュッシーが好きだと言いましたが、彼はクラシック音楽の範疇ではありますが、むしろそれまで作られていたクラシックのルールを破りまくっていることで有名です。

それなら破られる前は……という風に、かつての音楽を聴くことでより音楽に対する理解を深めることができるでしょう。

今後もこのシリーズは続けていく予定です。次回はヘンデルかバッハになるでしょうか。どちらも多くの作品を残している偉大な作曲家だと言えます。

おそらく数曲は知っている作品もあると思いますが(バッハの場合私はピアノを習っていた都合上もっと知っています)、それでも知らない作品が大半だと言えます。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。


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