D&Dアウトローたちの誇りは創作のお手本になる作品

はじめに

にも投稿しましたが、D&Dアウトローたちの誇りを見てきました。視聴前はそれほど期待値は高く持たず、久しぶりにファンタジー実写が見たかったし、TRPGが映画化されたらどんな作品になるのか、興味本位で映画館に足を運んだのですが・・・・。視聴後、あまりのシナリオ、演出の完成度の高さに驚きを隠せませんでした。というのも去年見たハリウッド映画

がシナリオと脚本がいまいちすぎて、実写にいい印象を持っていなかったからなんだよな。後、巷で絶賛されていたキングダム2も

なんか、面白いは面白いけどあからさまに史実と違った戦いや、チャリオットとかキングダムの時代では時代遅れになっていた戦法をあたかも切り札的扱いにするとか、丘の上に陣取って有利とか言っておいて、平地で使うチャリが切り札とか戦法も矛盾しまくって、ツッコミ所満載で素直に楽しめなかったというか・・・。とかく、色々あって実写に対しては若干拒絶反応が・・・あ、アニメも

とか、期待の新作、って言われていた作品がことごとくシナリオと構成と演出がいまいちなものだったので、すずめの戸締まり以降はアニメからも実写からも遠ざかっていたなと・・・・・。あ、聖剣LOMは見ていたのか、あれは癒しアニメで悪くはなかった。後、仕事が忙しくてろくに映像作品を見る暇もなかったというのもあったけど。

で、そんなこんなで久しぶりの映像作品が「D&Dアウトローたちの誇り」だったわけですが・・・。これ、見た後、とてつもない衝撃を受けました。鑑賞後にでるもやもや感が一切ない、後で、「あのキャラクターってなんであの時あんなことをしていたんだっけ?」と振り返る必要もない、映画を楽しむために必要なことは全部、作中で提供され、作中で完結する。これだよ、私が見たかったのは、どっかの監督の影響か知らんが、個人的に娯楽作品の考察合戦って嫌いなんですよ、私は。いや、必要なことは作品で全部語ってくれよ

個人的にすごく気に入った点

すずめの戸締まりとの対比

まず良かった点を箇条書きしてみるぞ

  1. キャラクターがその背景を含めしっかり説明されている

  2. ご都合主義が一切ない

  3. 説明セリフが極端に少ない

これは、自分の中でいまいち感が残る、すずめの戸締まり、が持つ構成上の欠陥と驚くほど対照的になっている。すずめの戸締まりって震災を扱っている割には感動とか共感というのが薄かった※1。物語の構造がファンタジーに見せかけたSFタイムトラベルとかいう、非常に違和感のある何かになっていて、話の骨格が見えてこず、結果、キャラクターが何を根拠に行動しているか全くわからなかったからなんだよな。というか、キャラクターの行動原理=作品の核心=ネタバレだから、描くことができない、って言ったほうが正確か。だから、ご都合主義全開で2時間のうち100分くらいは見ててつらかった。みんな震災の描写ができていて感動したって言っていたけど、物語の構造が歪すぎて、震災の描写がいまいちピンとこなかった。そももさ、見ている側に

っていう記事書かすなよ、まったく! 本来は作中で説明すべきことだろって言いたくなったな。個人的には面白い、面白くない以前に娯楽作品として若干、不誠実な作りだなって思ってしまった。

冒頭の10分でこれは傑作だと確信

で、D&Dのほうに話を移すと、開始10分でもう作品の虜になったんですよ
たった10分の映像で

  • D&Dの舞台となるフォーガットンレルムとはどんな世界なのか?

  • 主人公たちはどのような人物なのか?

  • 主人公たちは何を目的にしているのか?

ってのを、見ている側が迷子にならないように、だけど説明セリフで見ている側が興ざめしないように、徹底的に配慮している!ここまで見ている側に配慮している作品は見たことない、っているレベルです。作者の独りよがりで作品を作っていないよってことが伝わるから、作品に対する信頼感が爆上がりです。私はもうこの時点で、単純に純粋に作者(DM)が提示するシナリオに乗っかってD&Dのセッションに参加する一人のプレイヤーキャラクターの気持ちで見ればいいんだなって理解しました。いうならば、ディズニーのアトラクションを楽しんでいる気分(?)でしょうかね?私はディズニーランド行ったことがないからわからないけど。とにかく、見ている側が不快にならないように、ストレスを与えないように、映像とシナリオがするっと観客の頭に直接届くように、細心の注意を払って丁寧に丁寧に作品を作っているってのが伝わって、涙がでそうになりました。

今どきレアな作品?

じゃ、なぜ、他の作品はD&Dみたいにできないの、って思っている人がいると思う。それはね冒頭で挙げたよかって点を再掲

  1. キャラクターがその背景を含めしっかり説明されている

  2. ご都合主義が一切ない

  3. 説明セリフが極端に少ない

けど、この3点を守るのって実は尋常じゃなく難しい。どの作品も尺の都合とかシナリオの都合とか、監督の趣味で2.か3.のどちらか、またはどちらも守れていないからなんだよな。


物語の構造を手書きで見たけど、こんな構造で物語をシンプルに見せるとか普通にないなって思ってしまう

個人的なことを言わせてもらえれば2.と3.ができていないを考察できるからいい、っていう風潮はきらいだな。で、D&Dは2.と3.を徹底的に守っているから、物語のテンポもスムーズで俳優さんの演技も映える。ボルガとゼンクの無双アクションには痺れたなー。

最後に

映画D&Dの面白さを冒頭の10分を例とって描いて見たが、他にも

  • ギャグとシリアスの塩梅

  • 伏線の張り方とその回収の方法

もとても秀逸だったので、本当に120分見どころしかないって作品でした。
映画だけにとどまらず、
「誰かに楽しんでもらいたい作品を作りたい人」
には参考になることが多い思うので、ぜひ、映画館で見てほしい作品ですね

注釈

※1 物語の構成っていう意味ではすずめの戸締まりより竜とそばかすの姫が圧倒的に上、というのが個人的な感想になる。

落ち葉拾い

ヒナタカさんの紹介記事について

ヒナタカさんの映画レビューが物凄くよかったのでリンクを張っておきます

更新履歴

  • 2023年4月5日

    • ヒナタカさんのレビュー記事を紹介

  • 2023年4月4日 初版UP

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