PTQ行脚PT北九州編 ~《謎めいた命令》ハンターにならなくちゃ~

0.冒頭

プレイヤーツアーで敗北を喫した市川。

棚ぼた的にプレイヤーツアーの権利(※参加者が想定より少なかったのか、前回のプレイヤーツアーは昨シーズンのシルバーレベル以上のプレイヤーに対して権利がバラ蒔かれた)も無事に無為に消化したので、いよいよをもってプレイヤーツアー予選、PTQを優勝する必要が出て来た。

ネタバレから入るが、プレイヤーツアーの翌週から始めたPTQ行脚であったが、全4回の日程を終えて無事に優勝することが出来た。

優勝するまでの全4回のデッキ選択や環境考察などを綴っていこうと思う。


1.短期決戦

まず、これはPTQに参戦する前に考えていた事だが、PTQ戦線はプレイヤーツアー終了後の2週間以内が最も抜けやすく、勝負の週だと考えていた。

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理由としては、それらのPTQは世界選手権の結果が出る前である。と言う事。

世界選手権はMtGのトップオブトップ。昨年の上位16人が参加する超最高峰のトーナメント。

尚且つ、世界選手権までスタンダードの大型イベントは世界的に見てもSCG程度しかなく、信頼の置けるデッキリストが存在しない。

この二つの要素から、世界選手権が世間に与えるインパクトは通常の大型大会とはまったく異なる。急速にメタゲームを加速させ、デッキリストを洗練させるだろう。

全てのプレイヤーが平等に強いデッキを使うようになれば、そのトーナメントで優勝するのは困難になる。

まとめるとPTQ戦線は周りのデッキが弱い序盤が肝心。狙うは短期決戦だ。


2.環境予測

参考とする大会が少ないながらも、3つのデッキが環境に台頭していた。

□ティムール《荒野の再生

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前環境に存在しながらも、イマイチパッとせずTier2止まりだったティムール《荒野の再生》だが、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《タッサの介入》の新戦力を得て環境のトップに躍り出る。

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信頼性の高い全体除去である《嵐の怒り》、《荒野の再生》で起動型能力も無理なく使える《海の神のお告げ》など、テーロス還魂記のカードがこのリストだと19枚も入っている。34枚のスペルの比率としては異常なレベルの強化で、最早旧環境と比べて別デッキと言っても差し支えない。


練習環境であるArenaでも最も多くマッチングされ、日本人が好きそうなアーキタイプ(体感)であることからテーブルトップのPTQにおいても初週は最も人気を博すアーキタイプだと予想した。


□赤単

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テーロス還魂記で入ったカードは僅かに《鍛冶で鍛えられしアナックス》のみであるが、あまりにも劇的。

除去への耐性、チャンプアタックの正当化、《エンバレスの宝剣》と合わせての真空波動拳、伝説のクリーチャーではあるが重ねて引いても1/1が4体出て全く腐らないなどのアンコモンとは思えないスペック。

旧環境でTier1であったラクドスアグロの《朽ちゆくレギサウルス》と比較しても遜色なく、むしろ《鍛冶で鍛えられしアナックス》の方が優れている為ラクドスアグロは朽ち、赤単アグロがアグロデッキの筆頭となった。

アグロデッキの中ではこれ以外選択肢がないほどにデッキ強度があり、アグロ好きはこれを選択するだろうなという思考。


□青白コントロール

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ティムール《荒野の再生》に負けず劣らず、テーロス還魂記で戦力を得て大幅に強化された青白コントロール。

空の粉砕》は待望の4マナの全体除去。相手がパワー4以上をコントロールしていると1ドローされてしまうデメリットはあれど、他の5マナの全体除去を使う選択肢と比べれば些細なデメリットだろう。1ドローより、1マナ、1ターンの差はあまりにも大きい。

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その他現代に蘇った《前兆の壁》こと《メレティス誕生》や、白い《最古再誕》とか言ってたら《最古再誕》より全然強くてビックリした《エルズペス、死に打ち勝つ》、どこまでテフェリー強いんだって感じだが《時を解す者、テフェリー》とシナジーする《海の神のお告げ》など青白コントロールも新カードが大量に入り、前環境と比べて別デッキといって良いだろう。


3.PTQ@秋葉原(2/8)

□使用デッキ

使用デッキは青白コントロール。

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使用の決め手は簡単で、上位3つと思われるティムール《荒野の再生》、赤単アグロ、青白コントロールミラーで有利と思われる構成になったから。

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上記に挙げたリストとの差分を説明する。

まずは《意味の渇望》と《払拭の光》のカット。

意味の渇望》は単純なドローソースを《海の神のお告げ》と併せて入れ過ぎるとプレイターンがない展開が頻発した為。対戦相手の《覆いを割く者、ナーセット》で嵌る展開もあり、感触は悪い。

払拭の光》は対戦相手の《エルズペス、死に打ち勝つ》で嵌ったり、対戦相手がサイドインして来る《解呪》系のスペルがクリティカルになり過ぎる為解雇。

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空いたスロットは《覆いを割く者、ナーセット》、《エルズペス、死に打ち勝つ》、《夢さらい》を増量することに充てた。

覆いを割く者、ナーセット》はティムール《荒野の再生》に対して《時を解す者、テフェリー》に次ぐクリティカルなパーマネント。相手がドローを重ねていくデッキであるからして、その機能を不全にさせる事が可能だ。

因みに《発破》で《覆いを割く者、ナーセット》を対象に取られて破壊された場合、《発破》のドローを解決する際にはまだ忠誠値ゼロの《覆いを割く者、ナーセット》が場にいる為ドローすることが出来ない。(らしい)

エルズペス、死に打ち勝つ》は特にミラーマッチで有効なカードだ。《エルズペス、死に打ち勝つ》は《エルズペス、死に打ち勝つ》で追放することが可能な為、《エルズペス、死に打ち勝つ》を連打し合うプロレス状態になることはままあり、その場合デッキに何枚《エルズペス、死に打ち勝つ》が入っているかは重要な要素となる。

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他のマッチアップでも《エルズペス、死に打ち勝つ》は強く、対ティムール《荒野の再生》では、《荒野の再生》を対処→《時を解す者、テフェリー》ないし《覆いを割く者、ナーセット》を墓地からバック、の展開は黄金パターンで、やや有利に進んでいたゲームを一気に勝ちに向かわせる動きだ。

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その他ティムール《荒野の再生》がサイドインして来る《パルン、ニヴ=ミゼット》、《夜群れの伏兵》などのアグレッシブサイドボードカード達も問答無用に《エルズペス、死に打ち勝つ》出来、メインサイド共に隙のないカードと言える。

夜群れの伏兵》はまだしも、《パルン、ニヴ=ミゼット》はタップアウトで出さざるを得ないカードで、なんのためらいもなく《エルズペス、死に打ち勝つ》をプレイ出来、対青白コントロールに於いて完全に過去のカードと言える。ティムール《荒野の再生》を使っているみなさんは絶対に対青白コントロールでサイドインしてはいけない。

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対赤単においても《空の粉砕》で対処し切れない《鍛冶で鍛えられしアナックス》、《灰のフェニックス》などのパーマネントを追放出来、マナ交換比率が悪いながらもそこまで悪いカードではない。

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4枚は従来の構成であれば墓地から釣り上げるパーマネントの枚数から採用し辛いところではあったが、《覆いを割く者、ナーセット》と《夢さらい》を増量することによってそれらは解決された。

夢さらい》は他にも《意味の渇望》を減らして《覆いを割く者、ナーセット》を採用している関係からドロースペルで手札に呼び込む展開は起き辛くなり、通常ドローで引いてこなければならない為4枚採用することにした。

□対戦結果

1R エスパーヒーロー ○○
2R ティムール《荒野の再生》 ○○
3R ティムール《荒野の再生》 ○×○
4R イゼットフラッシュ ××
5R ジェスカイ《創案の火》○○
6R 赤単 ×○○
7R ティムール《荒野の再生》 ○×○

QF ジャンドサクリファイス ××

7勝1敗でTop8、からの一没。


スイスラウンドではティムール《荒野の再生》が多い読みがピシャリと当たりTop8に食い込むも、QFはジャンドサクリファイスに圧敗。

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ジャンドサクリファイスは《魔女のかまど》、《パンくずの道標》と青白コントロールに取って致命的なパーマネントが2マナ以下で構成されていて《エルズペス、死に打ち勝つ》で対処出来ず、不利に感じた。

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夢さらい》も《戦慄衆の将軍、リリアナ》で対処することが出来、こちらのイージーウィンを許さない。

戦慄衆の将軍、リリアナ》の2体エディクトは盤面を押された展開になりがちな対ジャンドサクリファイスでは、《メレティス誕生》や《アーデンベイル城》からクリーチャーを2体用意してから《夢さらい》を展開する時間を作れない為、基本的に《戦慄衆の将軍、リリアナ》は《夢さらい》を対処出来ると言って良い。

2本とも《パンくずの道標》でリソースを取られているところに急いて《夢さらい》をプレイ→《戦慄衆の将軍、リリアナ》で詰み、みたいな展開になった。

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Arena上では全くジャンドサクリファイスと当たらなかったがぼんやりと「これ、多分ジャンドには不利だな」と考えていた為サイドボードに《魔術遠眼鏡》と《ヘリオッドの介入》を急遽採用したが、マッチアップ相性の改善になっているとは言い難い。

こちらがシステムに触り辛い、単体除去全体除去ともに効き辛いと、根本的な部分で相性が悪く、サイドカードを厚く取っても改善には至らないだろう。


4.PTQ@高田馬場(2/9)

□使用デッキ

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