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飛行機と車の時速100kmは速度が違う|対気速度・対地速度についての説明

今回は、同じ100km/hでも車と飛行機だと実際のスピードが違うという話をしてみたいと思います。

車は時速100kmと言えばすべての車が平等に100kmです。

トヨタ車の100kmもホンダのバイクの100kmもフェラーリの100kmもすべて同じ速度。

しかし飛行機やヘリコプターなどの「航空機が時速100kmで飛んでいる」と言った場合は車の100kmとは速度が異なります。

なぜかというと

航空機にはAS(対気速度)とGS(対地速度)の2種類の速度が存在するからです

では詳しく見てみましょう

※航空機の速度の単位は通常kt(ノット)を利用しますが、今回はわかりやすくするためkm/hを利用します。

AS(対気速度)とGS(対地速度)

ASとはAir Speed
対気速度のこと
空気という気体に対しての速度です。

GSとはGround Speed
対地速度
地面に対しての速度
車やバイクなどは全部こっち
なので、正確に言うと車の時速100kmは「対地速度が時速100km」ということ

ASとGSに違いが生まれる理由

航空機は気体(空気)の中を移動する乗り物です。空気自体が動いているので、空気が地面に対して速度を持っています。

この気体の中を飛ぶと当然、気体に対する速度と地面に対する速度は変わります。

例えば、

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10km/hの風が一定に吹いているとして
飛行機はAS200km/hで飛行している

風上に向かって飛んでいる場合はGS190km
風下に向かって飛んでいる場合はGS210km

飛行機で旅行するときに、行きと帰りでフライト時間が違うのは有名ですよね。

飛行機は巡航速度でいつも頑張って飛んでいるんですけど、偏西風っていう時速何十キロもある風の中を飛行しているので、風上に向かって飛ぶのと風下に向かって飛ぶのではGSが大きく変わるからです。

航空機は基本的にASを使う

ASとGSの使い分けというか、航空機の飛行に関するものは基本的にASを利用しています。

航法(ナビゲーション)で目的地までのフライト時間を算出する場合にはGSを利用します。

目的地という固定されたものに対しての時間をはかる必要があるので当然GSを利用することになります。

そのためフライト中は都度、ASと風からGSを計算して目的地までの時間をはかっています。

ですので、ナビゲーションで目的地までの時間を測る時以外は全てASを使っていると思っておいていいんじゃないかと思います。

ASとGSの使い分け例

■航空機の離発着速度はAS

「飛行機は時速200kmで離陸します」と言う表現をした場合、これはASのことです。

滑走路上で200kmだして走ってると言うと、車の200kmと同じイメージを持つかしれませんが、実はASの200kmなので、GSに直すともう少し遅いです。

飛行機は風上に向かって離陸するので、AS200kmだったらGSは「AS200km-正面からの風の速度」となるので190kmとか180kmとかそのくらいになります。

極端な例を出すと、

滑走路上に停止している飛行機に正面から100kmとか200kmの風が吹くと、飛行機はその場を動かない状態(GSゼロ)で離陸できる

ということになります。

■飛行機がマッハ1で飛ぶという表現はAS

マッハというのはASのことです。

実際はASマッハ1で飛んでる飛行機を地上から見てもGSマッハ1ではないということですね。

ちなみに

音速は時速に直すとだいたい1225 km/hくらいと言われます。

しかし、正確には音速は1225km/hではありません。

なぜなら、音速は音の速度。であって、音の速度は条件によって変化するからです。

空気中だと温度(気温)で音速が変わります。

詳しくは長くなるので別の動画を作成するかもしれません。

だから「マッハ1で飛んでいる」と言っても、GSで実際に時速何キロでてるのかはわからないということになります。

■GPSはGS

スマホから飛行機までGPSが搭載されていますね。

GPSでは「位置情報でどれだけ動いているか」を見るので、風とかは関係ありません。

なので飛行機に搭載されているGPSで見る速度はGSとなります。

GPSは便利ですが、これに頼ってると航法技術を失ってしまいそうです。

まとめ

ASというものが存在するということと、飛行機は基本的にASをはかって飛んでいるとうことを知っていただけたら幸いです。

それでは、ご視聴ありがとうございました!

ではまた!

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