MT4 EA(=自動売買ソフト)の優劣を見極める方法と、市販EA購入前に確認すべき 10のチェック項目
エクイティカーブから、EAの「性格」と「性能」を簡易評価
MT4バックテスト(=Strategy Tester Report)の資産増減曲線(=エクイティカーブ)からだけでも、ある程度そのEAの性格と性能を推察することができます。
グリッドタイプとトレードタイプ、共に我々のEA運用には欠かせないモノですが、実はこれら以外にも一見きれいな右肩上がりのエクイティカーブを「演出しているEA」があります。
これらは実運用では通用しないモノがほとんどですので、それらを掴まされないよう、その違いについて具体例を挙げ、以下に解説します。
ex.1
一般的な勝率重視、利小損大のエクイティカーブはこのような形状。
利食いが極端に小さいことから小刻みにゆっくり上がり、大きな損切りで一気に下げる形状はその特徴を示しています。
未来の相場で結果を出すために行うのがバックテストですが、勝ちのデータに大きく偏り、負けトレードの分析がなされていないこのテスト結果の価値は小さいといえます。
ex.2
利小損大もこのレベルになると、損がほとんど存在しません。
それにしても、800戦オーバーで2敗は酷い。
成績の良かった部分だけを切り出しているのか、
あるいは負けトレードのヒストリカルデータが欠損しているのか、または故意にそうしているのか、疑ってしまうレベルです。
ex.3
一見、長期間の評価で結果が出ているように見えますが、複利効果の悪用、直近の相場に過度にフィッティングすることで、右肩上がりを演出している典型的な例。
2次曲線的なエクイティカーブと比例して増加するロット数(下に緑色の棒グラフで表示)が特徴。
初期ロットと最終ロットの差が数十倍??
年単位の成績を見ると、ワークしているのは直近1年程度というのが一般的です。
ex.4
エントリーポイントを吟味しすぎの例。
エクイティカーブはきれいな右肩上がりですが、テスト期間(4年)に対して、縦軸のスケールが小さすぎます。(11%増 @3%/年)
テスト期間に対して極端にエントリー回数が少ないため、EAの優劣を議論するレベルに達していません。
当然、実使用には耐えられないと思います。
ex.5
おそらくその期間以外通用しないという理由から、このEAがワークした極めて短期間の部分だけを切り出し、見せている例。
一般的に、為替相場においてPF(≒優位性)が2.0を超えるものは、十分な回数を評価できていない、あるいは少し甘い評価をしていると考えたほうが賢明です。
結果が出ているEAでも、これらは試行回数(分母)不足に尽きます。
ex.6
典型的なナンピン+マーチンゲール手法を用いた時の右肩上がりの、、、もう曲線ではなく直線です。
過度なフィッテイングを見分ける方法は、初期ロットと公開されている最後のナンピンロットの倍率。
このサンプルの場合、ロットが単純に2倍。
この値が大きければ大きいほどパラメータの条件出しは容易で、反して未来相場には通用しにくくなる傾向があります。
ex.7
利益の何倍もの含み損を抱えるタイプ。
エントリーとイグジットが一対ではないため、チャートの青線(確定損益)と緑線(評価損益)の乖離が大きい。
このタイプのEAは、真の Maximal drawdown(=ポジション保有中の含み損最大値)を把握できないため、最大リスク(スタートロットの決定)を決めることが困難です。
ex.8
最後に、ほぼ理想的なエクイティカーブの例もご紹介しておきます。
緑の棒グラフが表示されていないので、ベッティングのルール(自動複利、マーチンゲール他)はなく、自身で行えることがわかります。
右肩上がりではありますが、全ての相場でワークするEAなど存在しません。
不得意な相場も確認できます。
エクイティカーブのギザギザとその大きさから、適度な勝ち負けを繰り返していることが観察できます。
比較的大きい資産の増減を確認できることから、最適なスタートロットを決定することができます。
バックテスト期間に対して、適当なトレード回数と資産の増加が確認できます。
以上ここまで、未来の相場に通用する可能性が高いモノはどれなのか、同じ右肩上がりでもその違いがお分かりいただけたかと存じます。
「玉石混淆」、「味噌もクソも一緒」のこの業界、本書が皆様のEA選びの参考になることを願っています。
Strategy Tester Report の見方に続きます。
バックテスト結果を考察する 〜その真の見方〜
はじめに、Strategy Tester Report が、評価に値するものか否かを、まず ⑥テスト期間 と、⑤トレード回数 で判断します。
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