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SummerPockets RBプレイ日記 その4(静久)

このプレイ日記は、読者が前作「SummerPockets」を完走していることを前提として、作品全体の根幹に関わるネタバレを呼吸のようにするので、まだサマポケもサマポケRBも完走したことないよって方は絶対に見ないでください。これはどっかのバナー広告みたいなフリではありません。

また、過去のKey作品の話題を出す場合もあるかと思うので気にする人は気を付けてください。

しっかり履修済みの鍵っ子は本題へ。



サマポケRB3つ目のルートは、おっぱいの重力に引かれて静久ルートになりました。私、楽しみは後に取っておくタイプなので追加ルートは後の方にやろうと思ってたんですが、気付けば追加ルートばかりやっていて、追加ルートもこれが終わればもう識だけになっちゃいました。
この日記は追加ルート以外書く気はないので、この日記も今回とあと1回で終わりです。

夏を書き綴るnoteの終わりが近づいてきましたね。
(これが言いたくてnoteで始めた)

なお、うみちゃんの時の日記が約5600字、反省して簡潔に書くと言った前回ののみきが約6800字と何の反省も見られなかったので、今回は本当に簡潔に、2000字以内で終えることを目標に書こうと思います。読むほうも疲れるよあれ。


静久ルート

無印では紬ルートのサブヒロインだった静久もメイン昇格で、プロローグでは紬と関係なく単独登場。新CGはもちろん、のみき同様新立ち絵も追加されてました。元からかわいかったのに、この新CGや立ち絵が本当にかわいいんですよね……。

しずく

発言は相変わらず狂ってるけど……。

そんな静久ルートは、昔おじいちゃんがやってた思い出の海の家をまたやろう! っていうところから始まるお話。静久といえば紬、紬といえば静久、ということで紬も当然合流して三人の夏休みが始まります。この三人で過ごす新しい日々というだけで既に泣きそう。

海の家は目玉商品がカレーだったとかで、打倒チャーハンを目的に掲げ、色々試行錯誤しつつカレー作りに精を出します。
いや、どれだけ上手く作ったとしてもチャーハン帝国の鳥白島でカレーが流行る要素あるのか……? って思いましたけど、それはさすがにドラマCDとかのギャグ時空にひっぱられすぎですかね。そこまでみんながみんなチャーハン狂いなわけないのかな、実際のところは。

ちゃーはんこわい

「この島は……チャーハンにお金を出す人はいても、カレーにお金を出す人はいないの……」

公式でみんながみんなチャーハン狂いだった……。

前回前々回のうみちゃんルートやのみきルートであんなに素晴らしかった島の大人たちも、全員チャーハン狂いかと思うとまた違った趣が生まれますね。そうかあの人たちも、チャーハンにはお金を出してもカレーにはお金出さないんだな……。

とは言いつつも、このチキンホワイトカレー(シーフードの茶色いカレー)は島民にも好評でした。お金は静久が受け取らないけど、じゃあせめてと島民たちが米や野菜を持ってきてくれたりも。やっぱり良い人たちなんだよなこの島の住民は……。
この島のチャーハン狂い最右翼のしろはもカレーがおいしいことは認めてました。まあおいしい故に島でのチャーハンの地位を心配してる辺りがチャーハン狂い筆頭って感じですけど。でもカレーであっても調理者へのリスペクトは決して忘れてなかったのは良い子です。
チャーハンに思い入れが強すぎるのも最後までやると無邪気に笑えない要素になるしね……。

Keyは本当にすぐこういうことする。

実は蒼ちゃんがエロいことすらも、蒼ルートをやると無邪気に笑えない要素になる……、はずなんだけど、その辺の事情差し引いても明らかに元々の素質がありすぎるから結局思いっきり笑っちゃうよね……。

みみどしま

「はさむはさまないって話なら、おっぱいがはさむ側でしょ?」
          ――空門蒼(おっぱいが話に挟まれることについて)

(静久ルートでも平常運転な蒼ちゃん)


ところで静久は海の家ともう一つ並行してやりたいことがあって、それが相談室。
普段学校でも生徒たちから悩みを相談されて助言したりしてるらしいけど、夏休みの間もそれをやりたいということだとか。
早速蒼ちゃんの悩み(激重)や良一の悩み(アホ)を相談され、どちらにも真摯に考えを伝えていました。良一のあの悩みにもまじめに返せるあたり、静久がほんとに善人過ぎる。包容力のかたまり。
そして羽依里もその包容力にやられ、羽依里最大のトラウマを告白し……。

おわるのか

許された。

まだ個別にも入ってない8月4日の午前で、羽依里のトラウマが許されてしまう驚きのスピード解決。この会話、うみちゃんルートなら物語の山場ですよ。
あれ、まだこれ共通パートですよね? この後感動のクライマックス! とかじゃないよね? だってこの後午後は、秘密基地でカブ乗りながらピンポン玉を打つ特訓する予定だしな……。

共通パートとのテキストの温度差・湿度差がすごい。
(だから目元の液体はきっと結露)

その後も展開は早く、8月7日に個別に入ったかと思えば、その日のうちに夜の海の家で二人きりになり、静久のコンプレックスを打ち明けられ、そして

ごーるいん

ゴールイン。

早い。早すぎる。
観鈴ちんのゴールだってあと一週間は先なんだぞ(?)

まあ泣きゲーは付き合うことが目的のギャルゲとは違うのでシナリオの途中に付き合い始めることはよくあるし、むしろ付き合ってから二人で困難を乗り越えていくのが物語のメインだったりしますけど、この付き合い始めの早さはさすがに鍵作品最短記録では? というか個別ルート開始初日ってもう今後抜かれようがなくない? 《精神の願望/Mind's Desire》か?


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(使用可能になったのと同日に制限・禁止指定)


ともかく、もう付き合うとこまでいってしまった以上、ここからは時間をたっぷりかけて甘い時間も辛(つら)い時間も濃厚に描いてくれるということで期待が持てます。いや、つらいことはあんまり濃厚に書かれると心が死ぬんですけれども。

でもつらいことに関してはもう共通の時点で伏線みたいなのもあって、静久はどうも、ところどころで記憶が抜けがちな面があるように見えます。他の作品ならただのお茶目やすっとぼけかなー? かわいいやつめこのこのっ! とか思うところですが、このゲームはKeyのゲームでありSummerPocketsなので、記憶の話になってくるとそりゃもう絡むよね、アレって感じ。お前のことだぞ七影蝶。今度は何やらかす気だ。

先の展開は怖いですが、個別に入ってしばらくは癒しのほのぼのパート。静久&紬の黄金コンビとの日常をベースに、島の少年団のみんなとわいきゃいしたり、鴎も出てきたりと平和で楽しい日常です。
そうそう、こういうので良いんだよこういうので。鍵中毒患者は胃の痛くなる展開ばっかり求めがちだけど、年を食うとこういう幸せな日常を読んでる時間こそが尊いんですよ。こういう日常があるからこそ、胃の痛くなる展開の破壊力が上がりますからね。

へへへ……、このギロチンがゆっくりと持ち上げられていくのを見ている感じ、たまらねぇぜ……。


楽しい日常の例

どくず

(勝ったら羽依里と静久の仲を認めるという条件で卓球をする流れになったが、万が一にも負けるのが嫌でガチで拒否る天善)

せくはら

(静久ルートでは感覚がマヒして普通の会話になっているが、冷静に見ると即通報モノのド直球セクハラな台詞)

あたまがわるい

(脳が溶けそうになる会話)

私も鴎におっぱい払いしてもらって、おつりに2、3 mLのミルクを差し出したいよ……。


そんな楽しい日常が一転不穏な空気に変わるのが、静久母の登場。
突然海の家に乗り込んできて、急に怒鳴り散らかしたかと思うと作ってあったカレーをすべて流しに捨てて、静久にさっさと家に帰ってこいと言い放ち立ち去りました。

いきなりなんなのなの……。

記憶どうこうがメインになるかと思いきや、家庭環境系……?
たしかに母親の話はここまでもちょいちょい出てはいまして。静久が島に来る際、出がけに母親から怒られて、普段あまり怒らない人だからすごく怖かったっていう話を静久から何度かされてるんです。
ただ、めちゃくちゃ怒られたっていう日は船がなくなって無断外泊したのが原因だから母親が怒るのも当然だし、最初に会った時に静久がしてた「縁」のおまじないも元は母親が教えてくれたものだって言うし(「縁」の意味はその場で静久が見出したものだけど)、そんなにおかしい母親ではないと思ってたんですよね。

でもあの怒り方は明らかに異常だし、鏡子さんですら静久母のことは「苛烈な人」と表現し、島にいた時から夫婦仲も良くなくそのストレスを静久にぶつけていて、毎日のように怒鳴りつける声が聞こえていたとまで言っていました。

めっちゃ問題ある家庭環境じゃん……。

前作、紬ルートやってるときに、静久に「俺、紬中毒なんだ」って言ったら「私もそうだからお父さんにむぎゅむぎゅ言ってもらったりするの♪」なんて会話したりしてたんだけどさ……。

むぎゅ

これ聞いて「ははっ、そこはせめてお母さんに頼めよ~(笑)」
なんて、無邪気に笑ってた過去の自分を本当に殺してやりたいよね……。


鏡子さんの話では他にも重要な話がありまして。
静久は昔、猫を助けるために猫の神様にお参りをしていたことがあって、その神様は「縁切りの神様」だったと。その神様に見初められたのか静久は命を落としかけるほどの高熱を出したことがあって、島を離れたら体調はよくなったけど、それ以来時々記憶が抜け落ちるようになったらしく。「霊的なものやオカルト的なものに詳しい人」曰く、「嫌な記憶を縁切り」してしまうのではないか、ということだそうな。
(本筋と関係ないけど鏡子さんが当時この話を聞いた「詳しい人」って瞳なのかな)

なるほど筋は通ります。そういうことだったんですね。七影蝶くんずっと疑っててごめん
羽依里も思い当たることは多々あったので、紬や静久本人にもこれを話してなんとかしようと行動を始めます。初手で本人にぶちまけるの新しいな?
ぶちまけられた当の静久もあまり動揺した様子はなく、前向きに頑張ろうって感じになっています。何なら羽依里より前向きで、深刻に考えがちな羽依里に、この状況すらもゲームみたいに楽しもうって励ましたりします。静久は本当にすごい子だな……。

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でもすっごいどこかで聞いたことあるゲームだな……。


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(全人類やれ)


ただ、この説を全面的に信用するとなると看過できないこともあって。
静久は嫌なこと、お母さんに怒られたこと以外にも、羽依里と恋人になったことやキスしたことすらも忘れちゃってるんですよ。これ、嫌なことだったの……? ってすっごく心がざわつきました。
それは羽依里も同様で、この後しばらくこのことで悩むことになります。
鏡子さん自身もオカルト混じりだから話半分で、と言っていたとおりこの説が間違っている可能性はもちろんあるしそうであればいいんですが、これはKeyのゲームなのでオカルト話の信憑性は高いし、多分合ってるんですよね……。
「翼人のもつ星の記憶の輪廻は人の身ではその莫大な量を受け止めきれず器が壊れてすべてを忘れ死んでいく」って話よりはよっぽど信じやすい話だし……。
(実際、その話は観鈴が反証になりました。なれました。観鈴ちん強い子、ぶいっ!)

その後、記憶が抜ける対策として、神様に静久を取られないようにしようと羽依里と静久の結婚式を挙げるものの、翌日にはこの記憶自体を静久が忘れてしまいます。やっぱり自分といるのも嫌なことの一つなんだと地の底まで落ち込んだ羽依里ですが、その夜、遂に出ました七影蝶

眠りかけた羽依里の元にやってきて触れた七影蝶が見せた夢は、幼少期に猫を助けて神様にお参りしていた当時の静久の行動。夢で明らかになった事実は、静久が当時祈ったことは、「猫を救うこと」、「嫌な思い出を消すこと」、そして「好きな人はいらないからそれも嫌な思い出と一緒に消すこと」だったというものでした。

お父さんとお母さんは好き合ってるはずなのに喧嘩ばかりで、それで私に怒ってばかりだから私はあんな風になりたくない。だから好きな人はいらない。

生々しい子供の感想すぎる……。
重い、重いよ……。
世の中の子持ちのご両親は全員静久ルートやって……。

ていうか今回の七影蝶はすごく良い仕事しましたね。えらいぞ。
のみきでは絶望の象徴にも見えたけど、こんな風に助かるとこもあるし、七影蝶自体には本当は良いも悪いもない、ただそこにある、「そういうもの」なんですよね。
こう書くと「蟲師」に出てきそうだな……。

この夢で自分が嫌なことにカテゴライズされてるわけじゃないことを知り引っ掛かりもなくなった羽依里は、静久にこの話をしに行き、再度対策を考えます。
とりあえず対症療法的に、記憶は取られても返してもらえばいいのでは? と神様の祠にいって記憶を返してもらえないかとご神体に触れてみました。まあこれで戻ってくるなら世話ないし、無駄足じゃなーい? と思ってたら、

ゆるせねえ

これだよ。

これが出てきたとなればそれはもう予想通り、七影蝶によって忘れていた記憶、つまり嫌なことの記憶が一気に戻った静久は顔面蒼白のパニック状態、一目見て危険と分かる状態に陥ります。七影蝶マジで許せねぇ

ここで静久をおぶって走り、ひとまず一番近い休ませられる場所として駄菓子屋を選択した羽依里は拍手もののファインプレー。画面の前でガッツポーズ。当然そこにいてくれた専門家の蒼ちゃん先生の冷静な対応で、ひとまず事なきを得ました。
のみきの時といい、追加ルートでの蒼ちゃんの株の上がり方がすごいです。追加の本編でこんな活躍するのに、予約特典が皆無だったの本当になんだったんだ。


他人から、そして母親から向けられ続けてきた悪意を思い出した静久は、元気をなくして、心情を吐露します。
自分は誰かに頼られそれに応えることでしか愛されない。価値のある自分じゃないといけない。みんなの相談に乗っていたのも、その時の対応をノートに残していたのも、頼られている自分を実感するためで。そんな弱い人間で、人に尊敬してもらえるような人間ではない、と。
当然、羽依里はそんなことないって必死に言葉をかけます。静久もその言葉は理解してくれるものの、それでも心まで納得させることはできなくて……。

親がああだから、無償の愛ってものを信じられないんだよね……。
つらい、つらいよ……。
世の中の子持ちのご両親は全員静久ルートやって……。

でも羽依里と紬は諦めず、静久を元気づけようとするわけですよ。静久が無償の愛を信じられるように、優秀じゃない、誰かの役に立っていない静久とだって一緒にいたら俺たちは楽しいんだと、静久を楽しませるんだと、そう決めるわけです。
それを紬と決める時の言葉が、「静久みたいになろう」。

ここすっごくいいんですよね……。

無償の愛があることを教えるための行動が、「静久みたいに」すること。つまり羽依里と紬は、静久の優しさは利己的なものじゃなく純粋にその人を想っての愛情だって思ってるってことなんですよね……。静久は、自分では「価値ある自分であるため」に人に優しくしていたなんて言っているけど、羽依里と紬はそうじゃないってはっきりわかってるんですよね……。
無償の愛を知らない静久に愛を伝えるために、誰よりもそれを人に与えてきた「静久みたいになろう」。じーんとくるよね……。

そして二人は静久を楽しませるため、三人でめいいっぱい楽しみ駆け抜ける夏休みを始めます。
この流れ、紬ルートを思い出すね……。ぐっときますわ……。

その夏休みでは、
しろはとチャーハン&カレーの歴史的和解を果たしたり、
静久が忘れてしまった結婚式をもう一度したり、
お母さんと和解したり、
羽依里と紬の送別会を海の家で企画したり、
三人でお泊り会をしたり、
台風で海の家がめちゃめちゃになったのも乗り越えたり、
灯台で送別会を企画し直したりと、
全力で夏を駆け抜けました。

急に書き方が簡潔になったのは、例によって私がボロボロになったので記憶があいまいだからです。
この時点でこの日記が6000字を越えているからという理由もあります
(2000字とはなんだったのか)

あと、さらっとお母さんと和解したって書きましたけど、正確には和解に向けてお互いに一歩を踏み出せたって感じです。
お母さんもさ、向かい合って話すと気持ちはわかるんだよね……。
一言で言っちゃうと毒親なんだろうけど、そう一言で片づけてしまいたくはない程度には、お母さんのつらさも苦しさもわかります。

お母さんは静久のすることを先回りして考えて、こうしたら効率的だなっていうのをアドバイスして、それで縛りたくなってしまう。自分の助言で成功する静久が見たいっていう気持ちがある。好きにさせたいとは思っていても、つい塗りつぶしてしまう。
で、子供の頃に一度、本当に「好きにすれば」とアドバイスなしでやらせてみたら、自分が考えてる以上の成果を出してしまった。本当は失敗して頼ってほしかったのに。
ここでお母さんはちゃんと「自分はこの子を縛りたかっただけ」「自分が間違っていた」と気付けて、もう無闇にアドバイスはしないよう自分に言い聞かせようとしていたんです。
でも、静久は本当に優しくて本当に頭が良い子だから、お母さんがアドバイスしたがっているのを見越してアドバイスを求め、成果を出して、アドバイスのおかげで上手くいったと言ってくる。お母さんとしては、静久一人でやった方がもっと上手くいくのはもうわかってるのに。
これ、実際子供にやられたらめちゃくちゃきついですよね……。

お母さんも愛情のかけ方を間違っていたのを自覚したあとはちゃんと静久と向き合おうとしていて、静久もお母さんが好きで喜んで欲しいだけで、誰も悪くないのに、その結果起こることが誰に対してもものすごくきつい。
元々苛烈な性格だってのはそうなんだろうけど、そこに加えてこんな、親としての底を見透かされるようなことされたら冷静じゃいられなくもなりますよね……。
まあだからって静久にあたってたのを全部が全部擁護できるわけではないけど、お母さんはお母さんで悩んで、苦しんでたんだなっていうのがすごくわかる。羽依里も言っていたけど、そこで静久を完全に突き放すんじゃなくて「それでも静久の母になることを諦めなかった」からこそ、愛情を向けようとしたからこそ、接し続けようとしたからこそ、こうなっちゃったんだよね……。
つれぇわ……。

それを話し合った静久とお母さんは、お互いが近づこうとしすぎるがために苦しんでしまうんだから、二人の適切な距離を探していこうって、前向きに歩き始めました。

この場で100%すっきり解決! ではないけど、未来に確実に解決されるんだろうなっていう確信と余韻を残した解決の仕方、良いよね……。
すごく良い……。

あとすごく良いって言えばこのお母さんとの話し合いに臨む前の静久の台詞もすごく良くて、羽依里が話し合いをすれば傷つくことになるかもしれないからと「無理はしなくていい、向き合うことだけが正解じゃないと思う」と逃げ道を用意したのに対しての、

「もし傷ついたら……たくさん甘えさせて?」
「でも……」
「傷つく前に……私を甘やかさないで」

これ。この台詞に、ため息が出るほど感じ入ったんですよね……。
静久が良い女すぎる……。


で、夏鳥の儀を過ぎたあたりから「これ紬と鴎、急にいなくならないよな……?」と静久以外の心配事が日増しに高まっていく中、誰も欠けることのないまま送別会前日まで進み。
システムウインドウがすべて消えてすっごく重要な分岐ですよと言わんばかりの選択肢(後で確認したら本当に片方バッドだった)の先に、唐突に山場が到来。

紬が急に、静久のことが大嫌いだと言い始めました。夏の思い出を一つ一つ挙げながら、静久との楽しかった思い出を語りながら、だから静久が大嫌いだったと。
えっ、えっ、何か理由があってこんな嘘を言ってるのはわかるけど、ど、どういうことなの……? と、頭が薄桃色にこんがらがりわけもわからないまま紬の迫真の叫びに涙腺をつつかれ続けていた静久と私でしたが……。

「ぜんぶぜんぶぜんぶ……だいきらいでした!」
「だからぁ……」
「なつのおもいでは……ぜんぶいやなおもいでなんです!」
「わたしとの夏は……イヤな思い出にしかなってませんからぁ……」
「だ……から……」
「いやなことわすれようとしたら……いっしょに、夏のことも……ぜんぶわすれちゃいますよ!」

決壊しました。
静久がもう嫌なことを忘れようとしないために、自分との思い出を人質にしようとするのずるすぎるでしょ……。
静久のために、こんな泣きながら、無理しながら、だいきらいなんて嘘ついて、前を向かせようとするのつよすぎるでしょ……。

最初は戸惑いながら見てたこのシーン、この台詞以降は誰が何しゃべっても泣いてしまう。特に、静久の泣き声がもうほんともらい泣き誘発しまくってくる。ずるい。声優の本気が過ぎる。

そしてここで良かったのが回想の扱い。前作紬ルートの時に泣きどころで結構回想を挟んでくるとこがあって、そこだけは紬ルートで若干評価を落としてた部分だったんですけど、静久ルートの回想の出し方は上手くてそこもすごく評価点。
なんていうか、Keyの泣きはドライブ感がすごく大事だと思っていて、進みたくないのに、留まっていたいのに否応なしに進んでしまう悲しい現実みたいなのがクると思うんです。逆さまにすればまた始まる砂時計の中にずっといたいのに、刻んだだけ進む時間の無情さに涙腺を殺される感じ。クリックすればしただけつらい結末が近づいて、クリックすればするだけつらいテキストが目に入ってくるあの泣きの大攻勢、泣きのドライブ感がKeyの真骨頂だなと勝手に思っていて。
だから紬ルートであった過去のシーンを流す回想は、こう、泣き所でクリックしても現実の状況が進まないというか、足踏みしてる感じがあって、若干破壊力の引き出し方が足りないかなと思ったりもしてたんです。過去を思い出して感情高めるのは私の脳みその役目だから、ゲームの方は否応なしに先に進んでくれていいよ、みたいな。
その点で今回の静久は、回想にCGを出しながらも台詞は再放送せず、回想CGを背景に今の静久の台詞が進んでいってたので、泣きのドライブ感がもうすごくて、げげごぼうぉぇっ……ってなりました。100点。

あと静久ルート終盤の良いシーン、台詞を全部聞きながら読んでるとBGMのタイミングがすごくぴったりになります。狙ってやってたらすごい。


この後、紬との別れも終えて、物語の本当の最後。
静久は人に優しくするのが好きで、でも人に優しくすることが自分そのものになりすぎていて、甘やかしすぎてしまう。頼ってほしすぎて、その人をダメにしてしまう。そんな自分を改めて感じ、そんな自分をやめることを決意します。(この性格、よく考えると本当にお母さんそっくりなんだよね……)
紬の「だいきらい」があったから、羽依里の「大好き」があったから、もう「この私」じゃなくても――人からの評価に生き方を頼っていた私じゃなくても、私を大好きな人がいてくれると、そう、心から気づいてくれました。

羽依里と紬はちゃんと、「静久みたいに」、静久の心を癒したんだなって。

でも、だから、羽依里とはお別れ。
これから水泳部に戻ることを決めた、傷つきに行く羽依里と、傷を癒すことを自分の価値にしてしまう静久は相性が良すぎて、二人だけでいるとダメになってしまう。だから、羽依里が自分で傷を受け止められるまで。静久が人に生きがいを求めなくなるまで、お別れ。
最後にお互い未練を残さないため、二人も紬に倣って、「嫌い」でお別れ。

切ない……。



そしてからの、エピローグ。
時が経って、静久は「大切な人たちからもらった『大嫌い』よりひどい言葉はない」と、もうどんなに嫌で辛いことがあっても何かを忘れることもなく、新しい自分をきちんと生きてました。

そしてふとまた、あの海の家を訪れると……

えんのなかに

ここでまた、「お母さんに教えてもらい」、「自分で『縁』の意味を付けた」おまじないで再会するの良いよね……。

いやーすごいっ! 完璧な終わり方だ!
泣き所もありつつ、切なさも感じさせつつも、この明日に疲れを残さない柔らかな笑顔になれる読後感はすばら……

って思ったらこの後、本当に最後の最後の一枚絵で涙腺完全に死んだよね。

あの一枚だけで翌日に疲れが残るほど泣かされました。
あれは本当にずるすぎない?
ていうかこのルート、紬ルートクリア後までロックしておこう???

RewriteHFではやってたでしょ似たようなこと。


初見の人が紬ルートクリア前にプレイしちゃう危険性を除けば、文句をつけるところがないルートでした。
強いて文句を挙げるとすれば、この後紬ルートをやる私はどんな顔して静久の前で紬とイチャついたらいいの? ってことくらいですね。でも次は紬ルート再プレイするんだ、へへ……。震えてきやがった……。

というわけで、ここからは紬→蒼→鴎→識→しろはの順になる予定で、追加キャラ以外は特に日記は書かないので、識までしばらく日記はおやすみです。ちょっとお仕事忙しいので多分2週間くらいかかると思います。


ではまた次回、識ルートの日記で。
次回も今回同様、簡潔にまとめるようにしようと思います。
(今文字数みたら2000字以内のつもりが10000字になってたけど言わなきゃバレないよね)



余談

ちなみに猫の神様絡みの話は、静久が最後にした解釈が全部正しいとは思っていなくて、こうじゃないかな? と色々考えてることもありますが、いい加減長いのと妄想半分なのとまとまりきっていないとのでここには書きません。

RB完走までは他所の感想評価等々すべてシャットアウトしてるので既に定説があるのかどうかはわかりませんが、全てが終わった後に色々と漁ってまた考えようと思います。



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