痛み分け【Miracle Fanta詩 Ⅱ 312】
マダムネヴァは途端に
自らの腕を氷の刃へと変化させ
無防備なアストンへ向けてそれを放った
マダムネヴァの氷の刃は
ホークジョウの腹を貫いていた
じわじわと衣服が紅く染まってゆき
冷たい鉄の床には生命の素が滴り落ちていた
マダムネヴァは
潰れた顔で隠れた瞳から涙を流した
心なしかホークジョウの血液からも
マダムネヴァの涙からも
湯気が出ているように見えた
それからマダムネヴァは
自らの腹も氷の刃で貫いて
真っ赤な血を滴り落としていた
動揺するアストンの向こうには
顔面蒼白のライスワイフがこちらを呆然と見ていた
彼女の脚は条件反射的にホークジョウの下へ
即座に動き出していた
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