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操作ミス【Miracle Fanta詩 Ⅱ 329】
砂漠地帯の上空
ウィードの意思号は
化け物に変わり果てた
冬籠りのクジラ号の側を飛行していた
「おい、意思号は誰が操縦するんだ?」
ホッキョクは気だるそうに言った
「ボクはちょっと…、立てないかも…」
ドブナガは少し辛そうに呟いた
「お前、この期に及んで"ボクはやりたくない"はなしだぜ?
ほら、オイラの傷は治ってきてる。
ミナミのかすり傷だって。
アストンは…、傷ひとつついてねぇ。
お前の打撲くらい、すぐ治んだろ」
「それが…、どうも打撲ではなさそうなんだよ。
結構…、深刻かもね…」
ドブナガは
オーラを纏っていても
冷や汗をかいていた
よく見ると顔色も少し悪かった
「アイウェオ、どうゆうこと?
傷が治るんじゃないの?」
「私のこの魔法は傷を治すためのものではないよ。自己治癒能力を高めるだけだ。
だから、かすり傷とかはわりと早く治るけど、治らないってことは、身体機能が低下しているか、重症ってことだね」
「そんな…、じゃあドブナガは…」
「そして、大変申し訳ないが、私の力はここまでのようだよ。すまないね。力を使い過ぎた」
アイウェオのかけた自己治癒能力増幅魔法は
徐々に弱まっていった
オーラをまとって
少し空中に浮いていた
雑草魂の魔法使いたちの面々は
オーラの消失とともに
地面に足がついていた
ドブナガは
力なく地面にへたり込んだ
意思号もコントロールを失い
地上への下降を始めていた
結局
言い出しっぺのホッキョクが舵を切った
「だぁあ!危ねぇな!
魔導炉は大丈夫なのかよ!
アストン!オイラ、魔導炉室を見てくるから、お前が舵をとれ!」
「わ、わかった…。僕、大丈夫かな…」
「ミスったら、焼く!!」
「うぅ…」
アストンは渋々舵を取り
ホッキョクは魔導炉室へ向かった
「わわわ…」
「アストン、ムリしないで。
わたしが代わ…」
そう言いかけた瞬間
アストンはぐるんと舵を切り過ぎて
意思号は急旋回した
「「「わぁぁぁぁあああ!!」」」
「痛って!!あんのバカ…!
任せたオイラがバカだったか…!」
意思号は
クジラ号の進路のど真ん中を飛行していた
クジラ号の巨大な口が大きく開くと
意思号はプランクトンのように
飲み込まれてしまった
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