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ぼんやりと

狂った誕生会

5年生になった。クラス替もあった。俺の5年3組はなかなか面白いメンバーが揃っていた。Iとはまた一緒で6年間同じクラスになってしまい前々回に出てきたヘリコプターのYも再び同じクラスになっていた。

このクラスは男女問わずとても仲が良くて面白かった。学校でも放課後もいつも友達と遊んでいた。

隣のクラスのベーサトとも変わらず遊んでいた。ベーサトとは相変わらず戦っていたのだが2個下の弟のツカもたまにプロレスに混ざって戦っていた。
小学生で2個も違うと体格差があるうえにベーサトはデブだ。
ツカはいつも泣かされていた。
ツカの友達のむっちゃんもたまに混ざるのだが俺ら上級生にやられて泣きながら襲いかかってくるのを力でねじ伏せたものだ。

ある日ベーサトからツカの誕生会をやるから来ないか?と電話がきた。その日は暇だったので行く事にした。
500円くらい持っていたのでプレゼントを買おうと思ったのだが何を買えばよく解らず100円のガチャガチャを5回回して出てきたカプセルを誕生日プレゼントにした。中身はマジでくだらないものばかりだが誕生会はそれを上回るくだらない内容だった。

この頃の誕生会と言えばお母さんが料理を作ってケーキがあってそれを食べながら皆でゲームしたり盛り上がるのだけど、泊まりに行くと晩飯でカップ麺を平気で出してくるベーサト母はそんな面倒な事をする訳でもなくプロデューサーがベーサトでポテチみたいなお菓子が2個くらいあるだけだった。

しかし兄の優しさか、友達5人くらい来ていたからかツカはとても嬉しそうだった。俺のくだらないガチャでも喜んでくれた。

ケーキも無いような誕生会なので間が持たなくなったのかベーサトがいつものようにプロレスをしようと言い出した。2個下の面々はとても嫌そうだったがベーサトはお構い無しだ。
仕方なく俺も参戦したのだが2個下の面々は次々と我々にボコられていった。
最終的にツカは泣き出しツカの友達はこれ以上やられたくないと一人二人と帰って最後はベーサト兄弟と俺が残った。

「俺の誕生会めちゃくちゃにしやがって」と泣きながら兄に襲いかかる弟。そもそも誕生会のプロデューサー自ら滅茶苦茶にしたと言う話。ベーサトは誕生日の弟を無残にも返り討ちし「うるせぇ」と吐き捨てた。
この兄弟劇場に唖然とさせられた俺も家に帰る事にした。

装甲車

この時期からBB弾のエアガンでいつも遊んでいた。最初に買ったのは東京マルイのルガーP08だった。爆竹やロケット花火も自転車のカゴに入れてライター持って走り回っていた。
友人の中でもヘリコプターのYは軍事マニアで武器を沢山持っていた。
Yと学校から帰ってる途中、捨ててあったのか置き忘れか解らないが一台の台車を拾った。
「これで長者の奴らをやってやる」と息巻くY。長者の奴らとは“味の店長者”と言う食堂の倅のター達の事でターの軍団も悪ガキでYとはよく抗争を繰り広げていた。
Yは台車を装甲車と名付けた。Yのプランではこれに武器を沢山搭載して長者の奴らを蹴散らすとの事。
俺の家にその装甲車を持って来て設計図を書き始めたその時、うちの母ちゃんが出てきて「そんなもの持ってきて。返してきなさい」と我々は怒られた。
装甲車を失いたくないYは俺の母を無視して装甲車を猛スピードで押して逃げていった。
走っていくYの背中を見ながら「あんな子と遊ぶのはやめなさい」と母は言った。

後日長者の倅、ター達はYと決闘の約束をした。3人くらいで約束の場所でYを待っていたそうだが、ガラガラガラと言う音と共に装甲車に座りYは現れた。押しているのは別の人間でYは石やら泥爆弾やら台車に座りながらガンガン投げてきたそうだ。Yは漫画ベルセルクに出てくるイシドロのように石を投げるのが上手かった。
ビビったター達は一目散に逃げたと言うのを後日知って笑った。本当にあの台車で戦ったんだなぁ〜と感心してしまった。

1小最強は?

最強の暴君Iは4年の時に超える事が出来たので我が5年3組で一番強いのは俺だと言う自信があった。隣の2組では俺のかつての隊長であるトモちゃんがベーサトに敗れベーサトがトップを取っていた。
他と言えば4組のユズルが誰もが声を揃えて最強と言った。
ユズルはサッカーのキーパーをやっていて体格もデカくて相撲もかなり強かった。
※見出し画像は左がユズルで真ん中がベーサト。近所のコープでクリスマスに撮ってもらったもの。

実家の町を車で家族で走っていた時にうちの嫁が小学校のグラウンドを見て驚いていた。ほとんど小学校に屋根付きの土俵があるのだ。相撲大会は毎年行われる。クラス対抗だったり個人戦だったり。無差別級なのでだいたいデカい奴が強かった。強い奴らは相撲クラブに入って校外で行われる相撲大会にも参加していた。

ユズルが相撲クラブの強豪だったのに対して俺が選択したのはマンガクラブだった。将来漫画家になりたいと思うほど絵を描くのが好きだったのだがこの頃から将来やりたいこととかぼんやり思うようになった。将来とは関係なくもっと強くなりたいし誰にも負けたくないとは常に思っていたけど。

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