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inagakijunya
烈風。
無機質な世界だった。
完璧な人工造形であり、抜け目のない恐ろしいまでの緻密さ。
天井は高く、空調は常に動きやすい温度に保たれている。
誰も知らない世界、ではないがしかしここは知るものが極端に限られている世界、ではある。
この奥は、この国がこの国であるために必要な取引が行われる場所だ。
国民のほとんどがここの存在を知らないし、ここで何が行われているのかを知らない。極めてまれに、ここへ行き着く人間がいたとしてもほとんどの場合それは都市伝説だとか妄想、妄言などとレッテルを貼られて相手にもされない。
つまり、この国ほど自国民が思っている姿と実態がかけ離れた国も珍しいだろう。大人しくて、静かで、病的な協調性を求められるばかりの息苦しい島国であるこの国の実態、その根幹にあるのは世界最大の人身売買だ。
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