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ヒエラルキーの夜。1

 僕のクラスには、とてもわかりやすいいじめがある。

いじめられている対象は、村岡祐樹、という男子生徒だった。
もう秋も深まってそろそろ冬の気配も見えてくる頃になって
僕は危機感を覚え始めていた。

あれは、春のことだ。
僕らは二年生になってクラス替えがあり、またこの高校へ入った頃のように初々しい気持ちを取り戻しつつ緊張していた。

学校は新しい学期の始まりを思わせる独特の匂いをさせながら、
まだ慣れない僕らを優しく見守っているような感じがした。


一週間が過ぎて、なんとなくクラスの中が分割されて、
仲のいい友達のグループがいくつか芽生えた頃。
一つの女子グループが何かを品定めするように周りを見渡していた。


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