エンターテイメントと僕の夢。
僕は真っ白に仕切られた小部屋の中でじっとしていた。
時間の経過もよくわからないこの部屋の中は、
絶望と激しい後悔ばかりが渦巻く。
こんなはずではなかった。という思念が時間の流れさえ歪めていくようだ。
外では明るい笑い声が響く。
薄い壁一枚向こうとこちらでは全く世界が違う。
表世界の歪みは、全てこちらで請け負うようなそういう世界だ。
「アレェ?この部屋は何?」
彼女らがテレビ番組でお世話になっている芸人が、
今日はライブ会場に潜入というていで取材しに来ている。
彼らは当然、何も知らない。
「あ、そこはとりあえず脱いだ衣装とかをそのまま放り込む部屋で!映しちゃダメなんですぅ。イメージ的にぃ。」
メンバーの誰かが甘えた声を出して、
芸人は「あ、そうなんだ。」と声のトーンを落とした。
彼らは彼女らを生かすように、守るようにと考えて動いているつもりだ。
彼女らが嫌がることは絶対にしない。
だから、この部屋の扉を唐突に開けて
そこに並ぶ人間の姿を見たりは、しない。
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