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純然たる不幸。
最初は憧れていた。
うん。
それは認める。
最初は憧れていた。
だって、一人っ子の僕には姉、なんていう存在の意味や理由などわからないしそこにいる少し年上のお姉さん。という感覚は憧れ、憧憬という対象でしかない。
「あんなの別に邪魔なだけだよ。」
彼女の弟である僕の友人は、本当に嫌そうな顔をしてそういった。
「ええ、そうかなあ。」
恋焦がれているバレバレの態度でそういうと、「やめときなよ。ほんと。」と彼は呆れたように言った。
彼女に一眼会いたいことが目当てで、夜は共働きでご両親のいない彼の家に入り浸っていることも、おそらくはバレているんだろうと思う。
でも、仕方ないことだと諦めた。
僕は中学3年。もうすぐ受験を控えた身分ではあるがまだ呑気なものだ。
彼女は二つ上の高校2年生。かなりクールに見える見た目。キリッとした目つきと、肩にかかる長さの綺麗な髪の毛。いつも気だるそうにしている彼女と口を利くようになったのはほんの数日前だ。
「あんた、いっつも来てるね。」
リビングでソファにあぐらをかいてテレビを観ている彼女が、なんとなくそう喋りかけてきた。
僕は、「あ・・・お邪魔してます・・・。」と小さな声で答えた。
じっと、彼女が僕を見ていた。
もしかすると暇だったのかもしれない。
綺麗な顔は真正面から見ると、不機嫌に見えるくらい綺麗に整っている。
はっきり言って、彼女に比べたら今いるクラスの女子など全員芋だ。
「名前は?」彼女は僕にそう尋ね、首を少し傾げた。
「こ・・・小泉・・・和樹です・・・・。」
「カズくんだね。」
彼女はそう言って、クスッと微笑んだ。
綺麗な顔がぱああっと輝いて見えて、僕はもう後戻りできない泥沼にますます頭からのめり込んでいくような気がした。
なんとなく、友達より彼女の近くにいる方が多くなったのは、
それからそんなに時間もかからなかった。
彼女は僕が自分のことを好いていることをはっきり認識していただろう。
彼女が制服姿のまま、短いスカートから太ももをむき出しにしたままソファでくつろいでいるその少し離れたところに、僕はおずおずと座った。
彼女は特に僕を気にすることもなく、
さして面白いとも思えないテレビに目を向けていた。
少しくらい、いいのかもしれない。
そう思って、僕は彼女のそばに、もう少しだけ寄った。
ちらり、と彼女が僕を見る。
特に嫌悪されることもないが、
特にウェルカムということでもなさそうな視線。
緊張感があった。
そして次の瞬間、彼女はソファの肘掛けを枕にするようにゴロンと横になった。僕にお尻を向けるように寝転がって、そして僕の膝の上に、彼女はその太ももを乗せた。
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