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命の値段。

 世の中にたくさん、さまざまな仕事はあれど俺ほど奇妙な仕事をしている人間もいないのではないかと思う。

今日もこの仕事かと思うと、ほとほと嫌になるが稼ぎがいいからやめられない。世の中の闇、なんていうと軽く聞こえるが本当の闇はそんなもんじゃない。

世の中には、普通に暮らしている人間が見て見ぬふりをしている景色というのがある。それは本当ははっきりと見えているのに人間の脳というのは見たいものだけを見る性質があるらしく、それが見えても見えていないことにできてしまうのだそうだ。

最初は風俗系の斡旋を仕事にしていた俺だったが、
何年もするうちにそれほど旨味のある商売ではなくなった。
競合他社が増えた、とでも言えばいいのだろうか。
なにしろ、始めた頃に比べるとそれほどニッチでもなくなったのだ。

ならばさらに深い泥水の中に潜ろう。

と、そう決めたのが間違いだったのかもしれない。

俺はその次の日、ドブの中に縮こまっている「人間」を見つけた。

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