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それ行け!天然少女!

僕には好きな女の子がいる。

唐突になんだと思う人もいるだろうけれども、まあ、僕には好きな人がいるのだ。初めてその人に会ったとき僕は、まるで体を雷に射抜かれたように動けなくなってしまった。

少しキョトンとした表情が庇護欲を掻き立て、その少し潤んだ瞳や弱いアーチを描いた美しい眉毛に見とれてしまった。

生まれて初めて僕は、この子と付き合いたい!と思った。
そう、強く強く思った。
小さな頃から数えればその限りではないかもしれない。
だけどこれは自我が芽生えてからのカウントでよければ、
明らかな初恋だった。

僕の名前は山野巧。
花の高校二年生だ。

僕の初恋の人は大学二年生。
少し年上だけど僕より少し背が低くて、可愛い。
名前を山内紗江子、といって名前の派手さにはあまり似つかわしくない、
少しおとなし目の、いわゆるリケジョだ。
理数系を得意とする彼女はいつも理路整然としていて、
でも少しだけ天然なところがある。
言語化、数値化されていないものに疎い、というか。

・・・・・。

う〜ん。。まあ、有り体に言えばあまり人の気持ちがわからない、ということになるんだろう。でもその不得手な部分をまるで気にするそぶりがないのも、彼女の大いなる魅力だった。

彼女との出会いは去年に遡る。


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