イビツなワールド。2
血の気がひく、とはこのことだと思った。
いつも通りの朝。
僕はいつもどおり満員電車に揺られていた。
首都圏ではあるものの、都会のど真ん中ではないから
そういう意味では強烈な満員電車ではない。
無理をすれば座れるほどだが、まだまだ二十代ということもあって健脚だし、車内が立錐の余地もないというほどではないから割とゆったりとつり革を持っていられる。
変わりばえのしない窓の外の景色。一見平和にも見えるが人口密集地帯を中心に今この国はかなりおかしく歪んでいる。
それはおそらくこの国に住う、ある特定の性別と年齢帯を除いてみんなが感じていることだろう。
それは時代の動き、というには少し強引なムーブメントにも思えた。
しかし今は誰もそれに抵抗できない風潮があり、それに関しては僕もそうだ。
君子危うきに近寄らず。という言葉の通り、彼女ら、もちろん不特定を差した言葉ではあるが、彼女らには近寄らないことが何よりも正しく何よりも安全だ。
しかしまあ、それがわかっていながら、僕はどうかしていたのかもしれない。
次の駅。
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