ヱヴァと蒼穹のファフナー:自分の視点と推測

まずは私のヱヴァ視聴歴から。


テレビシリーズ最初の頃。噂だけ聞いてて「ふーん」という感じで観てませんでした。その後友人から話を聞いて「面白そうかも」と思ってテレビシリーズを全部見て、面白いな!と感じたクチ。

だけど劇場版見て「これは表現としてダメでしょう!」と思ってその後一切手を付けませんでした。その後本当に完結したというニュースが出始めた所で、別の友人から「新劇版は本当に面白いよ」という話を聞いて「序」から見始めて「シン」で納得。100点満点中100点!だと感服した次第です。

観終わってからおよそ1年。およそ四半世紀という時間が経過し、当時言語化できなかった部分が色々腑に落ちて言語化できるかなと確信できました。

まず、旧版放映後位からインターネットが本格的に普及し始めて、皆が掲示板を使ってヱヴァの議論をするようになったあたりから感じていた事。
「…なんか話、噛み合ってなくない?」

今思うと、当たり前なんですよ。
理由は、刺さってるポイントが各人違うから。それほどに色々な要素を含んでる、という意味ですごい作品なんですよね。

そして今になって言語化できたこと。
「ああ、私がエヴァで刺さっていたポイントって、シンジがAC(アダルトチルドレン)であることや聖書をバックグラウンドにした世界観ではなく、第一話の『乗るなら早くしろ、でなければ帰れ』と、三号機周りの『シンジ、なぜ戦わない?』だったんだな」という点。そして旧劇劇場版でムカついたのって「主人公は命令に従ってるのに命令者がほぼ責任取ってないことだったんだな」という点。

この点「Q」は上記の不満点を完全にクリアしてたんですよね。
ヴンダーは船長であるミサトの命令で動く。乗員たちはミサトの命令に従う。それゆえ行動の責任はミサトが負う。という当たり前のことが当たり前に描写されている、という時点で「ああ、これは20年前放棄した自分こそが観るべき作品だ」と確信させられました。

そして20年間エヴァから離れてた間に、蒼穹のファフナー(EXODUSまで)観てました。元々放送時にヒットした「Shangri-la」、私にものすごく刺さっていたのですが、当時は観る暇がなく何となく気になってました。
その後で冲方丁氏の小説群に触れる機会もあり、配信サービスが本格化されて自分も加入したのをきっかけに無印(第一期)から視聴開始。最初はまあご存じの通りだったのですが、後半舞台裏で何が起こるかは知っていたのでちょっと我慢してみていたら後半一気に加速。そしてEXODUSは本当に名作(展開があまりにも早いため複数回視聴必須というのが弱点)。さらにBEYONDは「最高に好き」です。

謎はないのですが、展開が早く伏線が非常に多いため複雑な話になっていてわかりづらい事は確か。それでも何回か観ているうちに分かったことがあります。

「ああこれ、キーワードは「命」なんだな」という事。

作中でも「命(いのち)の使い方を…」というワードが何回か出てきますが、この文中では命(いのち)でもあり命(めい)でもあります。

命(めい)は「命令(とそこに伴う責任)」であり、「使命」でもあります。このキーワードを核にすると話の構造がスッキリするように意図的に作られているんだなと確信しました。

以下にネタバレしないように気を付けつつ例を挙げていきます。
(作中の時系列で記載します。)

RIGHT OF LEFT:
1.作中において命令はほぼ登場しない。関係者の意思を「使命」として感じた主人公と、自分の「運命」から「使命」を果たそうとする主人公二人の物語
2.無印において命令を守らせようとする人物が命令を撤回させるよう必死の抵抗を行う

無印:
1.承服しかねる命令に対してどう行動するか?から始まり
2.承服しかねる命令を消化できずに所属する組織からいなくなり
3.命令の背景を知り組織に戻る
4.過酷な状況のなか、命令としてではなく使命として作戦に参加する

HAE:
1.敵側のキャラクターが、自分に与えられた命令に承服できずに苦悩する
2.1のキャラクターに対し「逆らえ」と問いかける
3.能力はあるが命令に従わない味方キャラクター達が「命令の意義を知りそれにより目的を達成する」成長を見せる

EXODUS:
1.「嫌な命令だったら聞かなくていい(!)」というセリフが登場する(が、その後に背景が説明される)
2.「命令の変更を要請する(が、命令者の意図にはかなう)」を行うキャラクターが登場
3.「命令者の想定を超えるパフォーマンスを見せる」キャラクター達の行動(アクション的にも実にカッコよい)
4.「頼むどころか命令か!」(=俺が頼もうとしていた事をお前から命令してくるか)という名セリフ。この「命令」には「自分と相手の死という結果を内包しているが、それも責任として受け入れる」が背景
5.主人公の「自分が汚れ仕事をしてもよい」という見解に対して命令者が語る台詞。ここでは書きませんが、これこそが「蒼穹のファフナー」だというくらい素晴らしい台詞
6.「今更だが気分が良いものだな。仲間に指揮を預けて戦えるというのは!」今まで心ならずも「命令」をしてきた人物の発言

BEYOND:(ここは特に詳細を意図的に省きます)
1.新主人公の一人が「使命」として感じてきたことを「否定」するもう一人の新主人公
2.「ここから先はお前たちに託すぞ」以降「命令」は登場しなくなります。戦闘としては滅茶苦茶なのですが、ここまでの全シリーズを「BEYOND」させるという意図で作られてる。

…ああ、自分のために書いてスッキリした。
多分制作者の意図とずれてないと信じています。
また書き直すかも。




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