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大谷刑部の首の行方

大河ドラマ『どうする家康』、ついに関ケ原の戦いが終わりました。

ドラマでも描かれていましたが、西軍の間では小早川裏切り疑惑(筑前中納言殿むほんと風聞候)はあり、大谷刑部は小早川の裏切りに備えて脇坂、赤座、小川、朽木の4将を配していました。
万が一小早川勢が裏切ったとしても、この4隊と大谷隊で対抗できる布陣です。

小早川 → × ← 脇坂 + 赤座 + 小川 + 朽木 + 大谷

しかし小早川が裏切ると、抑えの4隊も一緒になって大谷隊に攻めかかってきました。

小早川 + 脇坂 + 赤座 + 小川 + 朽木 → × ← 大谷

これは勝てない。
大谷隊は奮戦むなしく壊滅してしまいました。

大谷刑部は自害。
病に侵された顔を敵に見せるのは恥ということで、側近の湯浅五助に首を地中深く埋めるよう命じます。
遺命通り主君の首を埋める五助。しかしそこへ運悪く敵軍の藤堂高刑(とうどう たかのり)が通りかかります。

「いま何か埋めてた?」

目撃者は消すしかない……!
しかし、万一敗れたら主君の首を掘り起こされてしまう。そこで五助は事情を説明し

「私の首を差し上げるので、主の首は見逃していただけまいか」
「おっけー約束する」
「かたじけない」

かくして藤堂高刑は五助を討ち取り、その首は家康の元に送られました。
五助の首を見た家康は高刑に問います。

「五助ならきっと刑部の首の在処を知っているはずだ。心当たりはないか?」
「ありますが言えません」
「あ?」
「かくかくしかじかで、五助と約束しましたので」
「大谷刑部の首を見つければ大手柄なんだがな」
「それでも言えません。どうしてもと言うなら処罰してください」

それを聞いた家康は藤堂高刑の心意気に感心し、褒美を与えて下がらせたそうです。

湯浅五助、藤堂高刑、徳川家康。
登場人物全員かっこよすぎるじゃねえかよ。
このエピソード好きなんだけど、あまり描かれてるとこ見たことないんだよなあ。
というわけでもっと広まれ。

大河ドラマでは(おそらく尺の都合で)描き切れなかった関ケ原の戦いの詳細が気になる方はこちらがお勧め。書かれた時期が時期だけに最新の研究では否定されているような描写もありますが、物語としては抜群に面白い。
湯浅五助のエピソードも収録されています。


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