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ミキハウス事件

こんにちは。

 miKiHOUSEのCMといえば、赤い服に青のズボンをはいた金髪の少年たちが登場するイメージがあったのですが、39人の赤ちゃんたちの声を集めた第九のCMは、年末のコンサートに匹敵するぐらいブラボーなハーモニーですね。

 さて今日はミキハウスの商号や商標をめぐって争われた2つの「ミキハウス事件」(大阪地判平成3年10月30日裁判所ウェブサイト、大阪地判平成4年9月22日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。

1 株式会社ミキハウス事件

 三起商行株式会社は、「miKiHOUSE」の文字が入った子ども服などを販売していました。ところが大阪の泉大津市で不動産業を営む会社が「株式会社ミキハウス」という商号に変更し、法務局に登記していました。そのため三起商行はその商号の使用を禁止し、登記の抹消を求めて提訴しました。これに対して、株式会社ミキハウスは、アルファベットとカタカナで違いがあるので、類似していないと争いました。

2 平成3年の大阪地方裁判所の判決

 三起商行株式会社は、「miKiHOUSE」の下に子供服を中心とした衣料品等の製造・販売業を営む企業であるとの認識が一般消費者や需要者の間に浸透しているものの、逆に三起商行はその営業範囲を製造・販売業のみにとどめ、現時点においてはミキハウスと同様の不動産業・建築業を営む意図を有していないとの認識が広く一般消費者や需要者の間に浸透しているとは認められず、現に石川県小松市で「ミキハウス」との商号で不動産業を営む業者の広告を見た購入希望者が三起商行に対して業者との関係を照会して来たという誤認混同事例すら存在する。以上によれば、両社の間の現実事業内容は異なっていても、株式会社ミキハウスがその営業表示を使用して不動産業務を営むことは、一般消費者若しくは需要者において、両社の間に何等かの営業上、組織上の関係があると考えるおそれ、すなわち広義の混同のおそれがあるというべきである。
 よって、株式会社ミキハウスはその商号を使用してはならない。

3 ミキスポーツ事件

  三起商行は、商標をファミリーに変更しようと考えていましたが、他の同業他社がそれを商標として使用していたため、昭和53年に「miKiHOUSE」というアルファベットで、しかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で商標登録をしました。しかし、同じく関西で子ども服の製造販売をしている山全商事株式会社は、「miKiSPORTS」の標章でトレーナーやTシャツを販売していたことから、三起商行がその商品の販売の差止めなどを求めて提訴しました。

4 平成4年の大阪地方裁判所の判決

 「miKiHOUSE」の標章が、全体として商品表示性及び周知性を取得したと認められる本件においては、各部分を微視的・分析的に比較する限りにおいては類似といえない場合であっても、総合的・全体的観察では「miKiHOUSE」と「miKiSPORTS」の商品表示が類似し、商品の誤認混同のおそれがある場合には、不正競争行為といわなければならない。
 よって、山全商事はその商品の販売をしてはならない。

5 商号と商標の類似

 今回のケースで裁判所は、不動産業を営む会社が「株式会社ミキハウス」に商号変更したことについて、すでに世間に周知されている「miKiHOUSE」の営業表示と類似しているので不正競争防止法に違反するとし、また独特の書体で表現された「miKiHOUSE」の文字と同一の書体で表現された「miKiSPORTS」の標章を付けてトレーナーなどを販売する行為も不正競争防止法に違反するとしました。
 会社の名前や商品のロゴについて、すでに周知されている名称を使用する際には十分に注意する必要があるでしょうね。

では、今日はこの辺で、また。


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