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パックマン事件

こんにちは。

 小さいころにパックマンのゲームでハラハラしていた記憶があるのですが、大人になってもホラー版パックマンに死ぬほどビビっている松下です。

 今日は、そんなパックマン事件(東京地判昭和59年9月28日判例タイムズ534号246頁)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 株式会社ナムコはビデオゲーム「パックマン」を販売していました。そこに登場するキャラクターは、パックマンと、オイカケアカベイ、マチブセピンキー、キマグレアオスケ、オトボケグズタという名前と色の異なる4匹のモンスターがいました。

 株式会社酔心興業、永楽、酔心は、東京都内で喫茶店「マイアミ」を経営していました。ところがマイアミでは、「パックマン」の無断複製ビデオゲーム機が設置され、月平均で約13万円の利益を得ていました。そこで、ナムコはパックマンの違法複製物が違法に上映されているとして、約324万円の損害賠償を求めたのです。

2 原告の主張

 パックマンは、追跡劇をテーマにしたアニメーション映画である。キャラクター、表現されたストーリー及びルール、音楽等はROMに固定されている。だから、映画の著作物である。

3 被告の主張

 利用者がゲーム機を操作しながら、得点を重ね、ゲームを楽しむことで、そこに映し出された影像は、利用者がゲームを行うための単なる道具に過ぎない。だから、パックマンは、映画の著作物ではない。
 著作権法2条3項に言う「映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物」とは、映画フイルムと同じ流通方式に従つて利用されるテレビ放送用のテレビフイルム、ビデオテープ等に収録されている著作物のことを指しており、ビデオゲーム機に収録されているビデオゲームは、これにあてはまるわけではない。

【著作権法2条3項】
この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。

4 東京地方裁判所の判決

 いかなるレバー操作により、いかなる影像の変化が生ずるかもプログラムにより設定されており、したがつて、プレイヤーは絵柄、文字等を新たに描いたりすることは不可能で、単にプログラム中にある絵柄等のデータの抽出順序に有限の変化を与えているにすぎない。そうすると影像は、ROMの中に電気信号として取り出せる形で収納されることにより固定されている。このように考えるとビデオゲームは、パックマンとモンスターとが迷路を舞台として追跡を行う劇であり、著作者の創作活動の所産が表現されているので、本ゲームは「映画の著作物」にあたる。映画の著作物として認められるビデオゲームについて、ナムコが有する複製権及び頒布権が侵害されている。よって、株式会社心酔らはコナミに対して324万円を支払え。

5 コンピューター・プログラムの著作権

 昭和60年の著作権法の改正により、コンピューター・プログラムが著作権法によって保護されるようになりました。それでもゲームソフトは、映画の著作物としての保護とプログラムの著作物の保護という二重の保護がなされているとされています。

 プログラムの著作権を侵害しないように注意しましょう。

では、今日はこの辺で、また。



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