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年齢詐称結婚事件

こんにちは。

 年齢詐称と聞くと、志村けんのバカ殿で由紀さおりさんが「19です」と答えるコントを思い出すのですが、意外と海外で大うけていることに驚きましたね。

 さて今日は、結婚時に聞いていた年齢と食い違っていたことが問題となった「年齢詐称結婚事件」(東京家判平成18年7月26日LEX/DB28131218)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 韓国人男性は、インターネットの日韓交流サイトで日本人女性と知り合い、交際を始めました。その後、男性と女性は東京都港区長に対して婚姻届を提出しました。ところが、女性が年齢を偽るなどしていたため、男性は女性に対して詐欺を理由に婚姻の取消しと、精神的苦痛に対する慰謝料として1000万円の支払いを求めて提訴しました。

2 韓国人男性の主張

 彼女は結婚前に、「年齢は24歳、ロシアでロシア人の父と日本人の母との間に生まれ、バレーのダンサーだったけど14歳のときに父と母と共に来日しました」と言ってたけど、実際の年齢は52歳で、日本で日本人の父母との間に生まれていたじゃないか。ウソの事実を言って結婚するに至っているので、詐欺を理由に婚姻の取消しと、私が受けた精神的苦痛に対して1000万円の賠償金を求める。

3 女性の主張

 彼が言うようなウソを告知したことは一切ありません。彼には真実の生年月日を告げていたし、結婚前に式場の変更の際に、私の双子の姉から10年以上前に結婚した話を聞かされていたはずなので、彼が私の実年齢を知らなかったはずがありません。

4 東京家庭裁判所の判決

 女性は披露宴会場予約申込書に年齢を24歳と記載しており、これは女性が男性に対して年齢を欺罔していたことを裏付ける有力な証拠となるというべきである。女性は、男性に定年まで8年であると話したとか、パスポートを見せたとか、双子の姉から10年前に結婚したことを聞いたはずであるとか供述するが、いずれも裏付けはなく、男性に女性の真実の年齢を話したとする女性の供述を採用することができない。
 女性の心理として多少なりとも若く見せたいことは十分理解できることであり、多少真実の年齢と差があってもそれだけでは婚姻取消を認めるわけにはいかないと思われるが、52と24では大変な違いであり、婚姻後の生活設計も土台から異なってくるような違いである。したがって、かかる錯誤は婚姻の取消しを認めるのに十分と思われる。しかし、男性も、年齢や出自には錯誤があったとしても、女性と十分かつ親密な交際期間を経て女性の人となりを理解した上で婚姻したのであって、結婚したこと自体は純粋な愛情に基づくものであり、婚姻後の同居期間もわずかである。
 以上によれば、慰謝料としては50万円を認めれば足りるものというべきである。

5 年齢を28歳も偽れば婚姻取消し

 今回のケースで裁判所は、婚姻した妻が年齢を28歳も偽っていたことについて、結婚するまで9ヵ月にわたって親密に交際していたことから、妻が20代であることに疑いを持つことはなかったのか夫に対して疑問があるとしつつも、妻が自分の年齢を24歳だと偽っていたことが事実であることから、52歳と24歳という大きな勘違いがあれば、婚姻の取消しを請求できるとしました。婚姻時に多少の年齢詐称は許されるかもしれませんが、度を超す場合には十分に注意する必要があるでしょうね。

では、今日はこの辺で、また。


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