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20代の1万円と60代で1万円とでは価値が異なるという事実

 「財産は多ければ多いほど良い」。これは、お金について漠然とした知識しかなかった以前の私の考えでした。しかし、相続争いの事件などを見ていると、子どもにたくさんの財産を残すよりも、むしろお金の作り方を教えておいて、財産を残さない方がよいのではないかと考えるようになっていました。

 この考え方は、『DIE WITH ZERO』の著書を読むことで、より明確になってきました。ここに、私が考えた財産の管理、時間の価値、人生の意味について書いてみたいと思います。

アリとキリギリスの話

 小さいころからアリとキリギリスの話を聞かされ、アリのように生きることが、なんとなく正解だと考えてきました。しかし、よくよくキリギリスを見ると、限りある命を燃やし尽くし、悔いなく生きることの大切さを伝えてくれていたと気づきました。逆に、アリは一度も遊ばずに死んでいったとすると、何のために生きているのかということを考えておくべきだったのではないか、とも思えました。
 それでも、ある程度の生活を維持するためには一定の貯えが必要なのは、間違いありません。では、どのくらいの貯えがいるのか。目安として、以下の計算式で算出すればよいとのことでした。

【1年間の生活費×残りの生きる年数×0.7】

人は年を取るとお金を使わなくなる

 大学生のころは、お金がいくらあっても足りないと感じていました。しかし、あれから20年以上経過した今では、それほど欲しいというものがなくなっていると感じています。さらに20年が経過すると、もっと欲しいものがなくなっていくのでしょう。
 大学生のときに、なけなしのお金でドイツに貧乏旅行をして得られた感動は今でも忘れられません。しかし、今となっては、海外旅行にいっても同じような感動体験はできないでしょう。当時のように安い宿に泊まって若者同士で楽しむことはできないし、30kgのバックパックを背負ってヨーロッパの街を歩くこともできないでしょう。
 このように考えると、激しいスポーツも、流行のファッションも、映画館で見る映画も、若い時にしか得られない感動があったと気づきました。若い時にの自分に対しては「長く生きれば、それだけ時間とお金から価値を引き出せなくなっていくぞ」と伝えておくべきだったのでしょうね。

【20代の1万円の価値 ≒ 60代の1万円の価値】

人生で一番大切なことは思い出づくり

 支出の平準化という考え方があります。つまり、若い時にしかできない体験に一定水準のお金を使う(お金が貯まらなくてもよい)、稼げるようになったとしても、一定水準の支出を維持し、その水準を超えるお金を貯金していくというものです。トータルで見ると、将来稼ぐお金を若いときの自分に投資できていることになります。
 逆に、若い時にお金を貯めすぎると、そのときにしか得られない体験を逃し、貴重な時間を無駄に使っているとも考えられます。

【お金を貯めすぎる=貴重な経験を犠牲にしている】時間=お金>体験

 当たり前だと思ってきた、時間をお金に換える作業をいったん俯瞰してみることが意外と重要なのです。そして、視野を広げ、その時間とお金を人生を豊かにする経験に使ってみると、思った以上に毎日が楽しくなります。

 ふと、PTA会長の仕事が頭に浮かんだのですが、「なんで、本業の仕事を休んでまで、こんなボランティアをしないといけないの!」という意見が多数なのですが、ある程度お金がある人には、時間を貴重な経験に使っていると考えることで気休めになるのではないかと思えてきました。
 今しかできない貴重な経験を得て、死ぬときに「あれはあれで、楽しかったなあ」と思えれば、自己満足できるのではないかと。 

誰かにお金を与えるなら早い方がよい

 『夢をかなえる象』の著書を読んで、金持ちはみんな若い時から毎月一定額を寄付してきたことを鵜吞みにして、自身も真似をしてきました。しかし、そもそも、なぜお金がない若い時から寄付をするのかを考えたことがありませんでした。実際、亡くなった人が全財産を慈善団体に寄付するという話を聞くことの方が多いでしょう。
 この点を深く考えてみると、本当に人を助けたいなら、早い段階でお金を渡す方が、圧倒的に救われる人が多くなるという事実があることに由来するようです。相続でも、自分が80歳代で死んだときに、60歳代の子どもにはそれほど大金は必要でなくなっていることが多いはずです。むしろ、子どもが25歳ぐらいのときにお金に渡していた方がはるかに有効に活用できたはずでしょう。
 不思議なことに、お金を使って人に感謝される人には、またお金が集まっていきます。つまり、お金が貯まる体質の人というのは、常にお金と時間の有効活用ができる経験値が貯まっている状態を指しているのでしょう。

【死ぬ直前に大金を残す → 若い時からお金を有効に使っておく】

45歳からお金を使っていく?

 老後のための貯蓄は、ほとんど使わずに終わることが多いでしょう。なので、45歳ぐらいから、徐々に財産を減らしていくのがちょうどよいとされています。しかし、頭ではわかっているものの、いざ資産を減らしていくと、なかなかメンタル的にきついものがありますね。しかも、子どもの学費など、一番お金がかかる時期でもあります。

 それでも、自分は残りの人生で何をしたいのか、それにはいくらかかるのか、ということを考えること自体が重要なのでしょう。仕事、子育て以外に、本当に自分がやりたいものがあれば、できるタイミングでやっておくことで、悔いのない人生を送ることができます。

死のカウントダウンアプリ

 とはいえ、人は時間が無限にあると考えてしまう生き物なので(いつかやりたいと考えて、そのいつかはやってこない)、それを目に見えるようにしようと、人生時計のアプリをダウンロードしてみました。

 すると、平均寿命から換算して、どうやら私に残された時間は13426日でした。Youtube動画を1万本アップロードするという目標を掲げていたが、どうやら毎日1本動画を投稿しても(実際は難しいのだが)ギリギリだということに気づけました。

 この人生時計を見つめながら、残りの人生、さらにやりたいことを探し、悔いが残らないように、たくさんの思い出作りをしたいと思いました。

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