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インディアンごっこ事件

こんにちは。

 コロンブスがアメリカ大陸を発見したときに、「ここは、インドやん」と勘違いしたことから、そこに住んでいた人々を「インディアン」と呼ぶようになったそうな。

 さて今日は、子どもの遊びで起きた事故によって、裁判に発展した「インディアンごっこ事件」(最判昭和43年2月9日裁判所ウェブサイト)、「鬼ごっこ事件」(最判昭和37年2月27日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。


1 インディアンごっこ事件

 福島君と矢田川君は8歳の小学2年生でした。2人は手作りの弓矢を携えて、6歳の児童ら3人とインディアンごっこという遊びをしていました。ゴミ箱のかげに身を寄せていた児童に、福島君の放った矢があやまって左目に当たり、6歳の児童が失明するに至りました。そのため、児童の両親が加害者の両親に対して損害賠償を求めて提訴しました。

2 最判昭和43年2月9日

 小学2年生の行為は、遊戯中の行為であるからといってもその行為の態様、なかんずく重大な結果を発生するおそれがあることなどからみて社会的に是認されるものということはできない。小学2年生の行為について違法性がないとはいえないとした原審の判断は正当である。よって、福島氏らの上告を棄却する。

3 鬼ごっこ事件

 運動場で鬼ごっこをしていた小学校2年生の藤田要子は、鬼から追いかけられ、目の前にいた1年生の西原幸子に「おんぶして、走ってんか」と促したところ、幸子は要子をおんぶしたまま転倒して右腕を骨折したことから、幸子の両親は、要子の両親に対して損害賠償を求めて提訴しました。

4 最判昭和37年2月27日

 加害者とされる要子ら児童の「鬼ごっこ」なる遊戯行為中幸子がそれに関与した上で発生したものと認められるから、所論「幸子自身もその時遊戯に加わったものとみなければならない」との原判決の判定は、結局において、所論のように経験則、社会通念ないし条理に反するものとは認めがたい。さらにまた、自己
の行為の責任を弁識するに足りる知能を具えない児童が「鬼ごっこ」なる一般に容認される遊戯中に他人に加えた傷害行為は、特段の事情の認められない限り、行為の違法性を阻却すべき事由あるものと解するのが相当であるから、藤田要子の行為は客観的にみて条理上是認しうべきものであって、違法性を欠く旨の原判決の判定は正当である。
 よって、幸子の両親の上告を棄却する。

5 子どものあそびと事故

 今回のケースで裁判所は、インディアンごっこ中に手作りの弓矢で児童を負傷させた場合にはその両親に賠償責任があるとし、鬼ごっこ中に児童を負傷させた場合にはその両親に賠償責任がないとしました。
 いずれにせよ、小学生の児童に対しては常日頃から、他人に損害を与えないようと指導しておくことは重要でしょうね。
 では、今日はこの辺で、また。


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