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サザエさんバス事件
こんにちは。
サザエさんは、火曜日に放送されていた時期があり、お隣の浜さんも登場していました。サザエさん症候群とは無縁の時代でよかったなあと思いますね。
また最近では、リアルな「サザエさん展」に衝撃を受けました。
今日はそんなサザエさんをめぐって争いが生じた「サザエさんバス事件」(東京地判昭和51年5月26日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。
1 どんな事件だったのか
立川バスは、昭和26年からバスの車体にサザエ、カツオ、ワカメを描いて、サザエさん観光の名称で都内を運行していました。それから約20年たったころ、サザエさんの著作者である長谷川町子さんは、立川バスに対して、著作権侵害を理由に3726万円の損害賠償を求めました。
2 長谷川町子さんの主張
私は、新聞にサザエさんの4コマ漫画を掲載してきましたので、漫画「サザエさん」全体について著作権があります。立川バスは、漫画から特定のコマをそのまま引き写したわけではありませんが、サザエ、カツオ、ワカメの頭部に表現されたキャラクターを再現しており、これは複製権の侵害にあたります。バス1台につき月3万円×27台×46カ月=3726万円の損害賠償を求めます。
3 立川バスの主張
新聞の漫画に描かれた特定のコマから、サザエ、カツオ、ワカメの頭部を再製したものではない。また、キャラクターとは漫画に登場する人物の図柄、役柄、名称などを総合した人格であるが、これらを再製したわけではない。複製権の侵害というのなら、端的に漫画のどの部分についてどのような複製権を侵害したのかを具体的に主張すべきであって、抽象的なキャラクター理論を持ち出して著作権侵害の主張をすることは認められるべきではない。
4 東京地方裁判所の判決
頭部画は、誰がこれを見てもそこに連載漫画「サザエさん」の登場人物であるサザエさん、カツオ、ワカメが表現されていると感得されるようなものである。つまり、そこには連載漫画「サザエさん」の登場人物のキヤラクターが表現されているものということができる。ところで、頭部画と同一又は類似のものを「漫画サザエさん」の特定の齣の中に見出し得るかも知れない。しかし、そのような対比をするまでもなく、立川バスは長年月にわたって新聞紙上に掲載された漫画サザエさんのキヤラクターを利用するものであって、結局のところ長谷川町子氏の著作権を侵害するものというべきである。
漫画その他のキヤラクターを商品に使用することを許諾する契約において、その使用料はキヤラクターが使用される商品の販売価格の少なくとも3パーセントを下らない額で定められているのが業界の慣行であることが認められ、観光バスによる運行収入の3%にあたる額を、頭部画についての通常受けるべき金銭の額であると認めるのが相当である。
よって立川バスは、長谷川町子氏に約1824万円を支払え。
5 著作権侵害のインパクトを与えた事件
今回のケースで裁判所は、サザエさんのキャラクターが著作権法によって保護され、著作権を侵害した立川バスに対して約1824万円もの賠償金の支払を命じました。
当時は「20年以上前からサザエさんバスが運行されていたのに今更権利を主張するの?」といった感じで、著作権保護の意識が薄い時代でもありましたが、長谷川町子さんがこれに一石を投じた事件だと評価されています。著作権侵害については十分に注意する必要があるでしょうね。
では、今日はこの辺で、また。
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