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パンデクテンシステムとは

こんにちは。

 今日は、法律を学ぶときに、最初に出てくる難解な用語として有名なパンデクテンシステムについて、解説したいと思います。

 そもそもパンデクテンとは、ローマ時代の有名な法学者の学説を集めた「学説彙纂」(ラテン語でdigesta、ドイツ語でPandekten、英語ではdigest)のことを指しています。パンデクテンには、かみ砕いて消化するという意味もあり、当時の法学者の役割として、法律用語の意味や論理について誰にでもわかるように、かみ砕いて説明することが求められていたのでしょう。

Bernhard Windscheid

 その後、19世紀のドイツの法学者ベルンハルト・ヴィントシャトが『パンデクテン法の教科書(Lehrbuch des Pandektenrechts)』という著書を発表しました。この教科書は、ドイツ民法典の第一草案に多大な影響を与えるだけなく、この第一草案を参考にして作られた日本の民法にも影響を与えることになります。


 明治政府は不平等条約の改正を目指し、法律の近代化に取り組んでいました。当初は、フランスの法学者のボワソナードが作成した民法典が公布されましたが、政治的な争いに巻き込まれ、最終的に施行されずに終わりました。代わりに、東京大学教授の穂積陳重、富井政章、梅謙次郎らにボワソナードの作成した民法の修正作業が依頼されました。


 この修正作業では、どのような順番で条文を並べていくのかが問題となりました。そして、すでに公表されていたドイツ民法典第一草案を参考に、第1編に総則を新たに設けることなります。

 ここで、総則という考え方を理解するために、数学で学んだ共通因数のくくりだしをイメージしてください。

3x + 3y + 3z + 3a = 3(x + y + z + a)

 法律では、この3のような共通因数のことを総則と呼びます。

 つまり、民法は、第2編に物に対する権利に関する条文が集まった物権編、第3編に人に対する権利に関する条文が集まった債権編、第4編に家族に関する条文が集まった親族編、第5編に相続財産に関する条文が集まった相続編があり、これらのすべてに共通するルールとして、最初に総則編を置いているのです。

 また、第2編の第1章は物権総則、第3編の第1章は債権総則、第2章1節は契約総則という感じで、さらに共通項がくくりだされています。

 民法の勉強をしていて、「勘違いをして100万円の商品を100円で販売してしまった!どうしよう?!」という問題がよく出てきます。そんなときには、第3編の売買の規定を見るだけでなく、契約総則、債権総則、民法総則の規定をチェックして、民法95条の錯誤の問題で処理できそうだと検討していく必要がありますので、注意が必要でしょうね。


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