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サカナクションチケット転売事件

こんにちは。

 人気ロックバンド「サカナクション」の人気曲に「忘れられないの」があるのですが、ミュージックビデオに出てくる「摩天楼に肩パッド」を見ると、80年代が蘇ってきますね。

 さて今日は、サカナクションのコンサートチケットの転売が問題となった「サカナクションチケット転売事件」(神戸地判平成29年9月22日LEX/DB 25547424)を紹介したいと思います。


1 どんな事件だったのか

 和歌山市園部に住む男性は、「サカナクション」のライブコンサートの会場に入場するのに必要なスマートフォン上に専用アプリを使って表示する電子チケットを不正に取得しようとしていました。自宅のPCでファンサイトに会員登録をし、2名分のライブコンサート1階スタンディング席の先行抽選販売予約をし、当選が確定した後に転売していました。また、別のコンサートチケット16枚も転売していたことから、兵庫県警察サイバー犯罪対策課は、男を逮捕し、その後に起訴されました。

2 検察側の主張

 被告人は、営利目的での転売を禁止されているコンサートチケットを、営利目的で転売する意思を有しているのに、これがないかのように装ってチケット販売会社に購入を申し込み、電子チケット及び紙チケットを詐取した。これは、刑法上の詐欺利得罪及び詐欺罪にあたる。しかも、交際相手や親族の名義を利用して、チケット転売を繰り返していたので、犯行は常習的かつ職業的なものである。さらに、電子チケットが表示されるスマートフォンを買受人に貸し出すなど、一連の行為は販売会社の転売防止策をかいくぐる巧妙なものなので、被告人の責任は重大である。

3 被告人の主張

 罪を認めます。関係者のみなさまには多大なご迷惑をおかけしました。今後はチケット転売を二度と行なわず、父の監督の下、真面目に働いて生活していきたいと思います。

4 神戸地方裁判所の判決

 被告人を懲役2年6月に処する。この裁判が確定した日から4年間、その刑の執行を猶予する。
 被告人は、今回の各犯行の際、各チケットの購入代金を支払っているが、コンサートチケットは、その性質上販売数が限定されているものであり、営利目的転売を企図した購入が横行すると、真にコンサートに参加したい一般客の機会が奪われ、又は一般客が適正価格を著しく超過した暴利価格を支払うことを余儀なくされ、最終的に音楽業界全体に大きな不利益が生じることによれば、購入者が営利目的転売の意思を有しているかどうかは、販売会社にとって販売の判断の基礎となる重要な事項と認められる。そして、営利目的転売が禁止されていることが利用規約に明示され、被告人も、各サイトを利用する際、その利用規約に同意していたことによれば、被告人による各チケットの抽選販売予約申込みは、営利目的転売の意思を有していないとの意思表示を含むものであり、各販売担当者らを欺く行為に該当する。よって、判示のとおり詐欺罪等が成立する。

5 チケット不正転売禁止法

 今回のケースで裁判所は、人気ロックバンドの電子チケットを転売目的で購入したことが詐欺罪にあたるとしました。
 また、令和元年6月から施行されたチケット不正転売禁止法では、国内で開催される映画や音楽、スポーツなどの興行について、興行主に無断で営利目的を持って販売価格を超える転売を行なったり、不正にチケットを仕入れたりすると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性がありますので、十分に注意する必要があるでしょうね。
 では、今日はこの辺で、また。


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