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明治大学替え玉受験事件

こんにちは。

 30分で替え玉何杯食べられるのかにチャレンジする動画あるのですが、撮影機材を用意して1人でしゃべって食べて、服にラーメンの汁が飛ぶなど意外と恥ずかしい面があるということに気づきましたね。

 さて今日は、替え玉受験で罪に問われた「明治大学替え玉受験事件」(最決平成6年11月29日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。


1 どんな事件だったのか

 なべやかんは、平成3年度の明治大学の入学選抜試験に臨んでいました。ところが、実際には現役の大学生などが替え玉で受験し、明治大学第二商学部に合格していました。大学側は、4月になって受験票と学生証の写真を照合したところ、まったく別人であることが発覚したため、なべやかんらの合格を取消し、不正に関わった大学職員、元野球部監督、元相撲部監督を有印私文書偽造罪で刑事告訴しました。

2 検察側の主張

 被告人は、現役の大学生らに替え玉受験をさせ、合格すると志願者の顔写真をすり替えるという巧妙な手口で、組織的、計画的な犯行を行なってきた。明治大学の入学選抜試験に際し、志願者作成名義の答案を偽造した上、これらを試験監督に提出したので、これは刑法159条1項の私文書偽造罪にあたる。また被告人は、以前からかなりの期間にわたって不正行為をしており、志願者の父兄から約2300万円という多額の報酬を手に入れていることから、厳罰は免れない。

【刑法159条】
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

3 被告人側の主張

 試験の答案は、採点者による一定の評価があって初めて合格不合格に関して意味をもつにすぎず、それ自体ではいまだ志願者の学力を証明する文書とはいえないから、社会生活に交渉を有する事項を証明するに足りる文書とはいえないのではないでしょうか。また、犯行については深く反省し、大学からも懲戒解雇され、マスコミ報道などで厳しい社会的制裁を受けたので、執行猶予がつくのが妥当なのではないでしょうか。

4 最高裁判所の決定

 入学選抜試験の答案は、試験問題に対し、志願者が正解と判断した内容を所定の用紙の解答欄に記載する文書であり、それ自体で志願者の学力が明らかになるものではないが、それが採点されて、その結果が志願者の学力を示す資料となり、これを基に合否の判定が行なわれ、合格の判定を受けた志願者が入学を許可されるのであるから、志願者の学力の証明に関するものであって、「社会生活に交渉を有する事項」を証明する文書に当たると解するのが相当である。したがって、問題となった答案が刑法159条1項にいう事実証明に関する文書に当たるとした原判断は、正当である。
 よって、被告人の上告を棄却する。

5 組織的な犯罪

 今回のケースで裁判所は、タレントのなべおさみの息子のなべやかんが替え玉受験をしていたことが発覚し、これに関与していた大学職員らを私文書偽造の罪で懲役刑の実刑に処しました。
 その後の調べで、20人以上が組織的な替え玉受験で合格し、替え玉役は早稲田大学や慶応大学、立教大学の現役学生で、起訴猶予となったものの所属の大学から退学処分などを受け、依頼した親13人が払った総額が1億2000万円以上にのぼっていました。受験で不正を働かないようにくれぐれも注意しましょう。
 では、今日はこの辺で、また。


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