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ダックスフンド事件

こんにちは。

 とてもかわいらしいダックスフンドは、なぜあんなに胴が長いのかが気になって調べたところ、もともとドイツで巣穴に潜りアナグマを狩る目的で胴長短足に改良されたと知って、なるほどだからソファーを掘り堀するのかと納得しましたね。

 さて今日は、ダックスフンドの散歩で通行人にケガをさせたことが問題となった「ダックスフンド事件」(最判昭和58年4月1日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 小学2年生の少年が、自転車に乗って道路を走っていたところ、藤井さんが飼っていたダックスフンドが、飼主の手を離れて道路に向かって走り出し、自転車の方に近づいてきたので、少年が道路の端を通り抜けようとしたところ、運転を誤って道路に沿って流れる川に自転車ごと転落し、左目を失明するという事故が起きました。そのため、両親はダックスフンドの飼主の藤井さんに対して、損害賠償を求めて提訴しました。

2 両親の主張

 息子は、大の犬嫌いで、道路中央に全長40cmの犬が近づいてきて、一瞬ひるんだことで今回の事故が起きたのです。民法718条には、自らが占有する動物が他人に損害を加えた場合には、その損害を賠償しなければならないと規定されているので、飼主がきちんと犬を管理していなかったので、当然に損害賠償責任を負うはずです。

3 藤井氏の主張

 もともとダックスフンドは愛玩犬で、大型犬のような人に脅威感を与える種類ではありませんし、事件当時も人に吠えてもおらず、歩いて少年の方に約2m近づいたにすぎません。逆に少年が乗っていた自転車は、10日前ほど前に買い与えられたもので、その体のサイズに比べてやや大きすぎて、ペダルに十分足が届かない状態だったじゃないですか。そうすると、少年が操縦を誤らなければ、問題なく犬の横を通り過ぎることができたので、損害賠償責任を負わないはずだ。

4 最高裁判所の判決

 7歳の児童にはどのような種類の犬であつてもこれを怖がる者があり、犬が飼主の手を離れれば今回のような事故の発生することは予測できないことではないとして、藤井氏に民法718条所定の損害賠償責任があるものとした原審の判断は、正当として是認することができる。

5 過失相殺で9割減額

 今回のケースで裁判所は、犬が近づいてきたため自転車の操縦を誤り転倒して負傷した7歳の少年に対して、動物の占有者である犬の飼主が損害賠償責任を負うものの、少年もペダルに足が届かずしかも乗り慣れていない自転車を運転していたことが事故の原因と考えられるので、9割の過失相殺をして1万5000円の損害賠償を命じた原審の判断を支持しました。
 犬の飼主には厳しい判決ですが、犬との散歩をする際には十分に気をつける必要があるでしょうね。

では、今日はこの辺で、また。


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