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星のドラゴンクエスト事件

こんにちは。

 ドラゴンクエスト3に遊び人がいるのですが、自分にマヌーサをかけたり、敵にバイキルトをかけたり、ほんとに役に立たないキャラなのですが、レベルが20になるとダーマ神殿で賢者に転職できると知って、人生20歳まで遊んでおけば賢者になれるのではないかと思っていますね。

 今日は、大人気ゲームのドラゴンクエストをめぐって裁判で争われた「星のドラゴンクエスト事件」(東京高判平成31年2月21日LEX DB25562588)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 株式会社スクウェア・エニックスは、スマートフォン用ゲーム「星のドラゴンクエスト」を提供していました。その中で、プレイヤーは300ジェムを支払い、宝箱ふくびきを引きことができるのですが、あるとき★5の激レアアイテムの「天空のつるぎ」や「グリンガムのムチ」、「おうごんのツメ」などのピックアップそうびが入った宝箱ふくびきを引いたプレイヤーたち6名が、激レアアイテムが高い確率で出てくるような表示がされていたとして、契約を取消し、ゲーム内通貨の購入金額の返金を求めて提訴しました。

2 プレイヤーたちの主張

 宝箱ふくびきには、「★5そうびは、ピックアップそうびの他にも排出される場合があります」という表示されていた。これは、ピックアップそうび以外の★5そうびが、低い確率でしか排出されないことを示しているにもかかわらず、実際には、ピックアップそうびが極めて低い確率でしか提供されなかった。スクウェア・エニックスは、ピックアップそうび以外のそうびを低い確率で提供する義務があったにも、かかわらずこれを怠っているので、契約の解除や取消しを求め、ジェム代に使ったお金を返して欲しい。

3 スクウェア・エニックス側の主張

 私どもは、ゲームの提供開始以来、★5そうびの提供割合が常に7%であることを明示しています。キャラクター表示画面から「ふくびき」の項目をタップした場合に表示される画面にも、「提供割合」を確認できる項目があり、その画面では、ピックアップそうび以外のそうびが★5そうびも含めて多数掲載されており、ゲームの画面が比較的単純な構成になっていることからすれば、一般通常人としても、これらの画面を見て確認できたと考えられます。なので、一般通常人なら、ピックアップそうびが高確率で出現するとの表示であると認識することはないと思います。

4 東京高等裁判所の判決

 星のドラゴンクエストの画面構成は、キャラクターの写る画面の下段にある「ふくびき」という項目をタップして「宝箱ふくびき」の画面に移動し、「宝箱ふくびき」の画面には、「提供割合」とピックアップそうびの説明を重点的に行う項目の「くわしくみる」が表示され、「提供割合」の項目をタップすると、「出現割合」と「出現するそうび」の一覧が表示され、ピックアップそうびが黄色で表示され、他方、ピックアップそうびの詳細が、概ね、そうびの概要、期間限定の場合には開催期間、そうびの紹介、期間限定そうび一覧、注意事項の順で表示されるなど、特定のそうびの説明等が表示され、その表示は、ピックアップそうびの説明を重点的に行う項目に表示されたというのである。このような画面構成は、一般通常人にとって、比較的単純な構成になっているといえるから、一般通常人が、「提供割合」の項目とピックアップそうびの説明を重点的に行う項目の双方の画面を見ることは容易である。
 すると、一般通常人が、問題となった表示を読んだ場合、ピックアップそうび以外の★5そうびが低い確率で排出され、ピックアップそうびが高い確率で排出されるという意味内容を認識するとは認められず、むしろ、単にピックアップそうび以外の★5そうびも排出される場合があるということを認識するにすぎないものといえる。よって、プレイヤーらのスクウェア・エニックスに対する請求は、いずれも理由がないので、棄却する。

5 一般通常人の認識が基準

 今回のケースで裁判所は、「★5そうびは、上記のそうびの他にも排出される場合があります」という説明画面を解釈するにあたっては、本文だけでなく、表示が記載されている場所や他の画面の表記などを含めて、一般通常人の認識を基準として判断すべきで、ピックアップそうび以外の★5そうびが排出される可能性が低いことを示していないとしました。
 スマホゲームのガチャをする際にも、表示画面を注意深く読んでおく必要があるでしょうね。
 では、今日はこの辺で、また。



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