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内縁関係不当破棄事件

こんにちは。

 Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグは、ブラジリアン柔術の愛好家であることと、株式上場後に結婚したことでその資産が財産分与の対象にならないことになっていると知って驚きましたね。

 さて今日は、内縁関係を破棄することが不法行為にあたるのかどうかが問題となった「内縁関係不当破棄事件」(最判昭和33年4月11日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。


1 どんな事件だったのか

 星野保政と寺尾貞子は、婚姻届けを出していないものの、夫婦と変わらない生活をしていました。ところが、星野は一方的に夫婦生活を破棄し、別居することになりました。そのため、寺尾は星野に対して、別居期間中の医療費約21万円と慰謝料の支払を求めて提訴しました。

2 寺尾の主張

 民法760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生じる費用を分担する」とあるにも関わらず、星野は別居中に私が払った医療費を負担しないなど、夫としての義務を果たしていませんでした。しかも、星野から一方的に内縁関係の破棄を通告されたのです。正当な理由のない内縁関係の破棄であるので、医療費などを約21万円を払ってほしいです。

3 星野の主張

 私と寺尾とは、内縁関係にあったが、内縁関係を不当に破棄した場合であっても、不法行為になるとは言えない。婚姻費用の分担は、寺尾の医療費が私と事実上の夫婦関係であった時期に払われたことが前提となるのに、実際に国立名古屋病院で医療費を払った時期は内縁関係が解消された後ではないのか。

4 最高裁判所の判決

 いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない。
 内縁が正当の理由なく破棄された場合には、故意または過失により権利が侵害されたものとして、不法行為の責任を肯定することができるのである。されば、内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し婚姻予約の不履行を理由として損害賠償を求めることができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできるものといわなければならない。
 本件当事者間の内縁関係は昭和28年3月21日に星野の一方的意思によって破棄されたこと、寺尾は星野と別居するにいたった昭和27年6月2日から昭和28年3月31日までの間に、自己の医療費として合計21万4130円を支出したことは、いずれも原審の確定したところである。内縁が法律上の婚姻に準ずる関係と認めるべきである以上、民法760条の規定は、内縁に準用されるものと解すべきであり、従って寺尾の支出した医療費は、別居中に生じたものであるけれども、なお、婚姻から生じる費用に準じて、同条の趣旨に従い、星野においてこれを分担すべきものといわなければならない。
 よって、星野の上告を棄却する。

5 内縁関係の不当破棄

 今回のケースで裁判所は、内縁関係を不当に破棄された者は、相手方に対して不法行為を理由に損害賠償を求めることができ、また内縁関係であったとしても婚姻費用の分担請求が認められるとしました。
 役所に対して婚姻の届出をしていないとしても、夫婦同様の生活実態がある場合には内縁関係と認められますので、正当な理由なく一方的に内縁関係を解消すれば損害賠償をしなければならなくなるので、十分に注意する必要があるでしょうね。
 では、今日はこの辺で、また。


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