見出し画像

レディー・ガガ事件

 こんにちは。
 ギネス記録を持っているレディー・ガガさんといえば、左肩に「TOKYO LOVE」のタトゥーが入っているぐらい、親日家としても有名ですよね。

 さて今日は、日本で「LADY GAGA」の商標登録が問題となった「レディガガ事件」(知財高判平成25年12月17日裁判所ウェブサイト)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 レディガガが代表を務めるエイト・マイ・ハート・インコーポレイテッドは、「LADY GAGA」の文字表記について、「レコード、インターネットを利用して受信及び保存することが出来る音楽ファイル、映写フィルム、録画済みビデオディスク及びビデオテープ」について商標登録の出願をしたところ、特許庁から拒絶査定がなされました。これに対して、レディガガは不服の審判を請求しましたが、これも認められなかったことから、裁判所に提訴しました。

2 レディー・ガガの主張

 「LADY GAGA」といった歌手名、音楽バンド名の文字からなる商標の登録自体を一律に排除しなければならないという特段の要請はなく、登録を認めたとしても何の不都合もないはずです。取引界では歌手名と管理運営会社の名前が共通している事例もあり、特許庁の過去の審決例においては「歌手名・音楽グループ名」の商標登録が認められている。私の会社も、将来「LADY GAGA, Inc」に変更することができるのであり、たまたま現在において本願商標と同名の法人を所有していない事実のみをもって、商標権による保護を受けられないのは不合理です。

3 特許庁長官の主張

 「LADY GAGA」は、アメリカ出身の人気歌手名として広く認識されており、これをレコードや音楽ファイル、ビデオディスクに使用した場合、これに接した者は、収録曲をレディー・ガガが歌っていると認識する。つまりその商品の品質を表示したものと認識するので、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たしていないものと言わざるを得ない。
 また、「LADY GAGA」の文字をレディ-・ガガと全く関係のない商品に使用した場合、商品の品質について誤認を生ずる恐れがある。だから、商標登録は認められないのだ。

4 知的財産高等裁判所の判決

 「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)は、グラミー賞その他の賞を受賞しているほか、ギネス世界記録を保持している。また、USビルボードにおいては、2010年度「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」に認定されるとともに、2010年の「トップ・セールス・アーティスト」となっており、さらに、米国のTIME誌「(世界で)最も影響力のある人物100人」やフォーブス誌「世界で最も影響力のある女性100人」の1人に、それぞれ選ばれている。
 「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)は、我が国においても、ファーストアルバム「ザ・フェイム」がヒット作となったり、2010年4月の来日公演が4公演とも完売となる等、人気を博しており、「NHK紅白歌合戦」にビデオ出演したほか、東日本大震災の復興支援活動(来日を含む。)にも精力的に取り組んだ。
 以上によれば、「LADY GAGA」(レディ(ー)・ガガ)は、アメ リカ合衆国出身の女性歌手として、我が国を含め世界的に広く知られており、「LADY GAGA」の欧文からなる本願商標に接する者は、歌手名を表示したものと容易に認識することが認められる。
 そうすると、本願商標を、その指定商品中、本件商品である「レコード、インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル、録画済みビデオディスク及びビデオテープ」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、当該商品に係る収録曲を歌唱する者、又は映像に出演し歌唱している者を表示したもの、すなわち、その商品の品質(内容)を表示したものと認識するから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。
 よって、レディ-・ガガの請求を棄却する。

5 自己と他人の商品との区別

 今回のケースで裁判所は、「LADY GAGA」の表示は、レコードやCDなどについて、収録された曲を歌唱する者を表示したもの、つまりその商品の品質(内容)を表示したものなので、商標の登録を認めることができないとしました。
 つまり、みかんが詰まった箱に使用するために商標「みかん」を出願したとしても、中身を表示しているだけと捉えられて、商標登録が認められないということになっていますので、十分に注意する必要があるでしょうね。
 では、今日はこの辺で、また。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?