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RGBアドベンチャー事件

 こんにちは。

 小さいころに好きだったテレビアニメ、「魁!!男塾」、「ドラゴンクエスト」、「ダイの大冒険」、「サイバーフォーミュラ」などは、すべて途中で打ち切られていたという事実を、最近知った松下です(関西では「RPG伝説へポイ」を途中までしか見れず、最終回が見たくてたまらないまま30年が経過してしまいました)。

 さて今日は、打ち切りアニメの1つ「RGBアドベンチャー事件」(最判平成15年4月11日判例時報1822号133頁)を紹介したいと思います。

1 どんな事件だったのか

 観光ビザで日本に滞在していた中国籍のデザイナーのトニーさんは、アニメーションを製作する株式会社エーシーシープロダクション制作スタジオで、日本のアニメーション技術を習得していました。すると、そのときに作成したキャラクターが「RGBアドベンチャー」というアニメで採用されることになったのです。

 東京にあるテーマパーク「ナムコ・ワンダーエッグ2」の体感シュミレーションライド「ミラクルツアーズ」の中で、トニーさんの作成したキャラクターが実際に使用されていたのですが、そこでは著作者としてトニーさんの名前が表示されていませんでした。そのため、トニーさんは、キャラクターの著作者が自分であるとして、「RGBアドベンチャー」の頒布の差止と損害賠償を求めたのです。

2 トニーさんの主張

 「ミラクルツアーズ」に僕の名前が載っていないのはおかしいじゃありませんか。私は観光ビザで来日し、エーシーシとは明確な雇用契約を締結しておりません。だから、著作権は私にあるはずです。

3 エーシーシーの主張

 今回、問題となったキャラクターは、雇用契約に基づいて作成されたものなんだから、職務著作にあたるはずなんです。だから私どもに著作権があるので、名前を載せる必要はないですよ。

【著作権法15条1項】
法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

4 最高裁判所の判決

最高裁判所は「トニーは1回目の来日の直後から、エーシーシの従業員宅に居住し、オフィスで作業を行い、毎月基本給名目で一定額の金銭の支払いを受け、給料支払明細書を受領していたのであり、しかも、トニーは、エーシーシ―の企画したアニメーション作品等に使用するものとしてキャラクターを作成したのである。これらの事実は、トニーがエーシーシーの指揮監督下で労務を提供し、その対価として金銭の支払いを受けていたことをうかがわせるものと見るべきである」として、エーシーシー側に著作権があるとの判決を下しました。

5 仕事で作った著作物は会社のもの

 デザイナーやイラストレータ、ライターのアルバイトで作品を制作する、つまり勤務先で仕事として制作したモノはすべて会社が著作権を持つことになります。明確な雇用関係がなくても会社の著作権と判断されてしまう場合がありますので、作品の著作権を自分のものにしたい場合には、事前に会社との間で明確な取り決めをしておく必要があるでしょう。

 では、今日はこの辺で、また。



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