千鳥

千鳥と呼ばれる模様がある。一般的には、チェックっぽいけどちょっと違うような、そんな模様なのだろうか。言われたら鳥っぽいけど、そこまで鳥っぽくはない気がする。

家紋等々にも千鳥と呼ばれるものはあって、そちらはとても鳥っぽい。どちらかというと丸っこくて可愛い感じの鳥である。

私は今まで、そこまで千鳥というものに惹かれることが無かった。服の模様としても家紋としても、あるのは知ってるけど好んで見たり身につけたりするものではないというか。正直、そこまで興味のある模様ではなかったのである。

しかしある日。

こぎん刺しの本にあるのを見てしまった。よくあるひし形でも、横一直線でもないランダムな感じの柄。気になる。気になるなー。

今のところ布によって大まかな刺す形を決めている私。千鳥はどこにも属さないので、別の布を用意するか。いやしかし、周りをかがるのが面倒だ。そんなことより私は刺したいのだ。


というわけで、ひし形群の中にしれっと1羽まぎれこませてみることにした。さあ、刺そう。ウキウキ針と布を持ち、図案を見たのものの。

うーん……これは、どこから始めたらやりやすいのかね…?


まず、この図案を刺すのに必要な目を数えるのがちょっとめんどくさい。普段はひし形なので、横方向だと真ん中が一番広く。上下も大抵は同じくらいの目なので、大変数えやすいし、配置もしやすいのである。

この柄は…出たり引っ込んだりややこしい。どこから始めるとやりやすいのだろう…。

とりあえず適当なところから刺し始めたものの。いつもなら1、3、5、3、1、という感じで縦の配列に規則性があることが多いので、パッと見てすぐ刺せる。しかしこれは、ランダムすぎて。いちいちちゃんと数えて、始まりと終わりをしっかり見ていかないとすぐに間違えそう。

普段は定規を使って1段を見やすくしているものの、この柄に関しては上下関係も見つつチェックしたくて。あまり定規が使えなかった。こういう柄の時はどうするのがいいんだろうなー。また新たな課題が見つかった感じである。


そんなこんなで、いいやり方を模索するものの何も掴めないまま完成。


チェック系とも家紋系とも違う、なかなかリアルな感じの鳥ができた。


元々、左右対称じゃない柄の難しさは感じていたけれど、この柄は更に難しい気がする。それは、この柄がどういう構造になっているかを全然わかっていなくて、とりあえず見たまま刺し始めたからだろうな。

とはいえこの柄を理解できる日が来るかはちょっとわからない。

こぎん刺しの世界はまだまだ奥が深いなぁと思ったのだった。


次にランダム系を刺すなら梅かなぁ。これまたしれっとひし形群にまぎれこませるかもしれない。


ではまた明日。