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海外医師臨床生活 その5 オワコン後編 

海外医師臨床生活 その5 オワコン後編

前回からの続きです。
一時帰国の時にお会いできますか?とメッセージを送って二人から連続で返事がなかった、という文字通り痛恨の体験をしました。

そこで、昔の同級生に連絡を取りました。
彼はとある有名な広告代理店に勤務、彼の作ったキャッチコピーは当時有名だったものもいくつかあります。全くの別業界で、大学を出た後、同級生の結婚式であったことがあり、さらに、一度電話で相談を受けたことがあります。
そして、8年前に一度彼ともう一人同級生と会ってました。

ソーシャルネットで彼の奥さんがあげた写真に彼も写っており、それを見て、彼に連絡しました。

7年前に一度メッセージを入れていますが、その時は返事がなかったことは覚えています。

その、8年7年というのはもちろんメッセージを確認してああそんなに経ったのか、と確認した、のですが。

彼にメッセージを入れました。

そして、また、返事がありませんでした。

なんとなくそんな可能性は今回は初めから覚悟はしておりました。なんせ2回連続連絡なかったので。

そして、数日経って返事がないことが決定的となり、今までのメッセージのやりとりを読み返しました。

8年前、ひどいメッセージを送って、それに対して返事がなかったこと
そして、7年前、これもひどい、彼の仕事に対してリスペクトのないメッセージ、不躾な言葉をぶつけていることを知りました。

自分でもなんでこんなメッセージを送ったのか理解できません。それは包容力のある彼に対する甘えだったのかもしれません。

そこで、わかりました。7年前、いや、8年前、すでに僕は彼から見放されていた、ということです。

今回、オワコンになったのではなく、8年前、すでに人間関係は終わっていたのです。

今回死んだのではなく、今回8年前に自分が台無しにした人間関係をたまたま再確認した、という事です。

それに気がついて、文字通り歩きながら泣きたい気持ちになりました。しかし涙は出てきませんでした。心は大きなダメージを受けました。

謝りたいと思いました。

しかし、彼が求めていることは、もう2度と連絡してくるな、であることくらいはわかりました。

今の自分に彼との人間関係を再構築することはできない。原因は全て自分の何も考えていない失礼でリスペクトのない発言、それも連続で。8年前と7年前の。

彼は学校でも人気者で社会に出てからも人気者でした。穏和な笑顔の写真は今も変わりません。そんな男から嫌われて拒絶されたのが8年前の自分であり、そして同じ人間がそのまま歳をとってしまいました。

自分はずっとオワコンであり、人間関係は歳を経るにつれてどんどん減っていき、今、2023年4月に残っているものは限られています。
それはソーシャルネットワークで山ほど友人がいてもそんなものは意味がないのです。(ちなみに自分の実名を出してのサイトでの書き込みはコロナ禍の途中でやめました。)

今、これから自分にできることを考えました。
8年前に自分の手で消滅させていた人間関係について、それはすでに白骨化された死体であり、手の施しようはない。時を超えての3回の同級生のメッセージへの無視は意味が重い。

ふと、ウン十年前、入学してその男と出席番号が前後していてからの学校での交流を思い出しました。

さらに、ふと、彼から研修医時代にかかってきた電話の内容を思い出しました。
それは彼の大切な人に重大な困難がのしかかっていた、その時途方に暮れていた彼からの電話でした。

東京で一度だけあって飲んで食って、また次は数年後かな、と話した最後も思い出しました。彼が作った有名なコピーやコマーシャルの裏話も教えてもらいました。

自慢の同級生でした。僕からは。
彼からしたら失礼なことを言う嫌なやつでもう話をしたくもない顔も見たくもない男が僕です。

自分にできることは、その昔の自分の過ちを見つめること。そして、誰に対しても同じ過ちを繰り返さないこと。それだけです。

結局その日は家族の一人と会うことになりました。
自分にとって大切な人はまだまだいます。そんな人達と距離があっても今やLINEやメールでダイレクトに話はできます。そこでの一つ一つの自分の発言に常に相手へのリスペクトがあるかどうか、軽率でないかどうか、気を引き締めて行かないと残りの人生さらに悲惨になることでしょう。

自慢の同級生を8年前に失ったことを知った2023年のオワコンの自分でした。





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