見出し画像

人をよけて歩く

長い間猫背でいた。周りから見ると体調の悪い人に見えるようだ。人が行き交う東京駅で猫背のまま歩いていると、向こうから歩いてくる人たちが僕を避けていく。これは良いと思って、人の多い場所では普段よりも背骨を曲げるようになった。しかし、身体がどんどん曲がっていき具合が悪い。せむしになるのはごめんなのでどうしようか思案する。
 試しに胸を張りあごを上げて歩いてみた。目線もあまり動かさず、遠くを見ながら堂々と歩く。簡単に人はどいてくれる。街を歩くことに関して初めて気がついたことがある。先に顔を見た方が負けだ。すれ違う人の顔見たら最後、その人と当たらずにどう歩くかを考えなければならない。このせいで右往左往しなくてはならない。そもそも顔を見ない、つまり向こうから人が来ることを認識しなければ、避けるも何もない。これは良い。姿勢も良くなり、いちいち考えながら歩行しなくて済む。
 避けてくれる方々には感謝する。ご協力ありがとうございます。避けることに神経を使っても頭痛を起こさない人々だと信じる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?