告白罰ゲームから始まる、少し変わった恋。01
放課後。
「おい!○○いけって!ほら!」
「ジャン負けしたお前がわりぃんだからな!」
○○ : わかった!わかったって!
名門公立高校に進学するはずだった俺は
そこを落ちて、男、男、男まみれの男子校に。
で、その男子校の近くには
豪華めな私立の女子校
いわゆる、お嬢様学校みたいなのがあるのだが
その学校の子に...
ほんと世にいう"お嬢様"みたいな女子に
これから、告白することになった。
...男子校特有のノリの罰ゲームとして。
こんなの普通にフラれるに決まってるのに。
○○ : あ、あの...!ち、ちょっといいですか?
『...?は、はい?』
とりあえず話しかけてみると
その子は不思議そうに耳からイヤホンを外す。
...まぁ、当然の反応。
なぜなら
知らないやつが急に話しかけて来たのだから。
『私になにか用ですか?』
〇〇 : あ、はっ、はい。そ、その..........
罰ゲームを遂行しようとすると
告白のための言葉が口の中でぎゅっと詰まる。
まぁ、それもそのはず
告白ったって、そんなの初めてのことだし
何をどう言えばいいのか、わからないからだ。
だから、それを今 慌てて考えるために
その子から一旦少し視線を外す。
『...何もないなら、もう行ってもいいですか?』
『私、今日この後用事があるので。』
すると、それを見た女子はムッとした感じで
俺の事を睨んで、そう言った。
そのせいで、俺は焦ってしまって...
〇〇 : あ、あ、いや!は、話はあって...その...
〇〇 : す、す、好きです!君のことが...!
シーーーン
○○ : ......
い、言ってしまった。
自分でもありえないと思うほどド直球の告白。
一瞬、その場の空気が凍って固まる。
『...ぷっ!ふふっ...!あははっ!ははははっ!』
けど、なにがそんなに面白かったのか
彼女は急に笑い始めて
『じゃあ、私と付き合ってみます?』
なんて、そんな言葉を俺に......って、え?
○○ : つ、付き合う!?
○○ : 君と...俺が?
『...?だって 好きなんですよね?私のこと。』
○○ : え?や、そりゃあ...まぁ......
別にまだ好きってわけじゃないけど...でも...
こんな可愛い子なら
好きになってしまうのは時間の問題だろう。
だから、真の問題はそこじゃなくって...
○○ : す、好きだけど...
『なら いいじゃないですか。』
○○ : い...いや!でも、君は俺のことが別に好きってわけじゃないでしょ?
『え?あ〜、それはまぁ...』
『何なら 今 初めてこうして話してますしね。』
○○ : で、でしょ?なのに付き合うなんてさ...
『でも、その私がいいって言ってるんですよ?』
『付き合ってもいいって。』
○○ : っ...それは......確かに。
『あ。まぁ..."好き"って伝えに来たものの?
付き合う気はないんだったら話は別ですけど。』
○○ : ...っ......
...俺は今
はっきり言って難しい状況に立たされている。
罰ゲームによる告白が何故か成功(?)し
なんと、目の前のこの子と付き合えるように...
...ってあれ?
よく考えたらどこが難しい状況なんだ?これ...
女子のいない
うちみたいな学校で青春を送りたいのなら
答えはもう決まってるようなもんじゃないか。
○○ : つ、付き合います...付き合いたいです!
○○ : ...いや、俺と付き合ってください!
そう言いながら、彼女へ手を差し出す。
これまた不格好な告白だと言ってから思った。
けれど、その告白を聞いた彼女は爆笑しながら
俺のその差し出した手を取って、そして...
『うん!今日からよろしく、私の彼氏君!』
その不格好な告白を受け止めたのであった。
『それで あなたの名前は?』
○○ : お、俺?俺の名前は小川○○。
『○○?○○かぁ!なんか...いい名前だね!』
○○ : そ、そう?初めて言われたな...
○○ : えっと...君の名前は?
『えっ?知らないの?』
『名前も知らないのに 告白してきたの?』
○○ : へっ...?あ、それはその...
『...ぷっ!はははっ!冗談!冗談!』
『私の名前知らないことぐらいわかってるよ。
だって、今日初めて話したんだもん。』
『逆に名前知ってた方が怖いって!』
○○ : はは...ははは...!
知らなくてよかった〜...
『私の名前は咲月。菅原咲月。』
咲月 : 学校だとさっちゃんとか色んなアダ名で呼ばれてるけど...彼氏にだったら、ん〜...
咲月 : 咲月って名前で呼ばれたいかな!
○○ : そ、そっか...じゃあ、咲月って呼ぶよ。
○○ : 俺も普通に名前で呼んでもらえれば...
咲月 : そ!じゃあ、一緒に帰ろ?○○。
○○ : へ?や、でも帰り道が一緒かどうか...
咲月 : ?彼氏なんだから家まで送ってってよ。
咲月 : それにだって、これから家に遊びに来ることだってあるかもしれないんだよ?
○○ : あ、あ〜...!それはまぁそっか......
咲月 : ほら!行くなら行くで早く行こ!
彼女は俺の手を勢いよくとって歩き出す。
俺は"初めて女子と手を繋いだ"っていう
その感覚があまりにも強すぎて
罰ゲームで告白したなんてとうに忘れていた。
それから、彼女と一緒に
電車と徒歩 合わせ20分かけて着いたのは...
○○ : え...?えっと......こ、ここ?
咲月 : うん?うん!そうだけど?
閑静な住宅街の中にある
ちょっと"場違いな"和風の大豪邸。
そのどこが"場違い"なのかというと
他の家に比べて
ただただ大きいってとこだけじゃなくて
○○ : ...なんかセキュリティすごくない?
他の家にはないのに
門の前だけで防犯カメラがもう7つもある。
いくら豪邸だからって流石に多すぎないか...?
咲月 : ん〜...そう?
咲月 : あんまり気にしたことなかったかな。
○○ : そ、そうなんだ...
咲月 : あ、今 門開くからちょっと下がって?
○○ : あ、う、うん。
言われた通り、ちょっと下がると
ガラガラガラガラと少しずつ門が開いていく。
そうして、門の中に見えたのは...
○○ : え......?
【御籤會 菅原】
そう書かれている表札と強面のデカい男2人。
その時点でなんか嫌な予感...というか
当たってほしくはないものの
何となくだけど察せてしまうものがあった。
咲月 : ただいま〜!
当然のように門の中へ入っていく彼女。
咲月 : あれ?どしたの?入んないの?
その場に立ち尽くしてしまっている俺に
彼女は振り返って、そう言ってきた。でも...
俺、本当にここに入っていいのだろうか...?
だってここ...見るからに......
ヤ○ザの家じゃん.........!
To be continued...
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