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夏、余り、嘘、ほんと.1





「ごめん。待った?」



『ん。当たり前でしょ。
自分から呼び出しといて来るの遅すぎ。』


『罰として、あとで飲み物奢り。』



「えぇ?まじ?」


「んまぁ...でも、飲み物くらいなら」



『じゃあ、コンビニでアイスもよろしく。』



「...ちょいまち、
俺、そんなに学校に金持ってきてな...」



『こんな暑っつい中。○○に呼び出されたから、屋上で待っててあげたんですけど?』



「だから、それはごめんって。」


「麻衣せんせの話。
これが、長くて長くて。全然終わらなくて...」



『はいはい。そういう言い訳いいから。』


『とにかく飲み物とアイス。よろしく。』



「......はいはい。わかったわかった。」



『それで?話って?』



「え...あ、あぁ...」



『なに?なんなの?早く言ってよ。』



「...うん」



「実はさ、俺、死ぬらしいんだよね。」



『...』



「...」



『...』



「...」



『...ふーん。あっそ。』



「...」



「え、それだけ?」



『それだけって?』



「いやいやいや、さすがに反応薄すぎない?」


「死ぬんだよ?俺。俺、死ぬんだよ?」



『はぁ...はいはい。そうですか。』


『で?』



「いや、だから...」



『なに、もしかしてそんなしょーもない嘘言うためにわざわざ呼び出したわけ?』


『...呆れた。暑いし、早く帰ろ。』



「え、あ...ちょっ!」



「ちょっと...待てって!飛鳥!」



『......はぁ。なに?』



「嘘とかそういうんじゃないから。だから...」


「だから、ちゃんと聞いてくれ。」



『......』



「余命半年。
つい、この前 病院でそう言われた。」


「でも、それも目安みたいなもんでさ
実際いつまで生きれるかわかんないって。」


「...で、多分それって何なら、
今日死ぬって可能性もあるわけで...。」



『......だから?』



「ごめん、飛鳥。」



「......」



「.........俺たちさ、別れよう。」

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