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告白罰ゲームから始まる、少し変わった恋。06






[それでは、ご注文がお決まりになりましたら
テーブルにあるボタンでお呼びください。]



咲月 : はーい。あ、じゃあ 注文いいですか?



[はい。]



咲月 : えーっと...ドリンクバー 2つで!



[ドリンクバーを お2つですね。かしこまりました。では、セルフになっておりますので。]



咲月 : はーい。


咲月 : っ...やぁ〜ごめんね?彩ちゃん。

咲月 : 結局、ファミレスになっちゃって〜...



"2人で話してみない?"

そう言って、彩ちゃんを連れてきたのは
駅の近くにあったファミレス。


ほんとは
お洒落な喫茶店とかがよかったんだけど...

...仕方ないじゃん!
私、そんなお洒落なとこ知らないんだもん!



彩 : ...い、いえ。全然。



くっ...心なしか ちょと引かれてる気する...!

後輩とか、年下とあんま接したことないのが
今ここで響いてきちゃってるな〜って感じが...


...じゃなくて!



咲月 : そ、それよりもさ!話戻るけど...


咲月 : さっき彩ちゃんが〇〇に言ってた、なおちゃん?と みくちゃん?って子って...

咲月 : もしかして、〇〇のことが...



彩 : ...はい。

彩 : その2人は お兄ちゃんのことが好きな人達なんです。



咲月 : んんー...や、やっぱり...?

咲月 : ...ま、さすがにあの話の流れからの彩ちゃんのあの言い方ってそういうことだよね。



意外と...ってほど、そこまで意外ではないけど

...意外とモテるんだ、〇〇って。



彩 : でも、ああいうふうに言っても お兄ちゃんはさっきみたいに全然気づかないんです。

彩 : 奈央も美空も、これまで散々お兄ちゃんにアピールしてきたから 普通なら気づいて ちょっとくらい意識しててもおかしくないのに。


彩 : それで...だから、お兄ちゃんは女の子に興味持ってないんだって、興味持ってないから それに気づかないんだって思ってたんですけど...


彩 : ...どうやら違ったみたいです。



咲月 : あぁ...は...はは...は...



その時、彩ちゃんにキッと睨まれた気がして
気まず過ぎた私は何とかそれを笑って流した。



彩 : ...あの、咲月さん。



咲月 : ん、ん?



彩 : お兄ちゃんは 咲月さんに一目惚れしたから 咲月さんに告白したって言ってました。

彩 : でも...それがほんとなら 咲月さんは きっと別に お兄ちゃんのことが好きってわけじゃないですよね?

彩 : なのに...どうして お兄ちゃんと付き合うことにしたんですか?



咲月 : え、あ、あぁ〜〜!んんー...とー.........



急に彩ちゃんにそう聞かれたから
その答えになるような理由を大急ぎで考える。


っていうか
前も似たようなことを誰かに聞かれたような...

...あ!アルノのパパに聞かれたんだっけ?

それで あの時は確か...

『よくわかんないや!
でも、なんかピン!って来たんだよね...



咲月 : っ......



...って!いやいや!そんな答えで
彩ちゃんが納得してくれるわけないじゃん...!

え、でもどうしよう...一応、言ってみる?

いや〜でもなぁ...



彩 : 咲月さん...?



うぅ...彩ちゃんが不思議そうに見てくる。


それで、早く言わなきゃってなっちゃって...



咲月 : ...あ!あぁ〜!そうそう!

咲月 : じ、実は...!実はね?その......



咲月 : わ、私も一目惚れしたんだ〜!〇〇に。



つい勢いで言っちゃった...

しかも、ほんと いっっちばんありえない理由。

だって、一目惚れして告白してきた相手に
一目惚れし返しちゃうなんてさ...そんな......

そんなことって...ある!?



彩 : な、なるほど...

彩 : お兄ちゃんも咲月さんもお互い一目惚れなんて そんなドラマみたいなことあるんですね。



咲月 : ...うん!うん!ねー?あるんだねー?



けど、彩ちゃんはそれで納得したっぽくて...
引くにも引けなくなっちゃった...

ほんとは ほんとにそんなことないのに......



彩 : ...でも そういうことならよかったです。



咲月 : へ...?



彩 : だって、お互いに一目惚れしたってことは お互い好き同士ってことですよね?

彩 : お互い好き同士で付き合うのって...それって、絶対に1番良いじゃないですか。



咲月 : う、うん。まぁ...まぁ......



それは確かに。
ほんとにお互い好き同士ならの話だけど...



彩 : 私...今日の朝 お兄ちゃんから彼女が出来たって話聞いた時、絶対に嘘だと思ったんです。

彩 : お兄ちゃんが女の子に興味持ってないって思ってたのも その理由の1つですけど...1番は


彩 : 一目惚れされた側の人が一目惚れした側をそんな一瞬で好きになるなんて、絶対ありえないって思ってたので。


彩 : ...だから、咲月さんがお兄ちゃんのことを好きだって知ることができて 安心しました。



彩ちゃんは、私が今まで見た誰よりも可愛い
とびきりの笑顔で言う。



彩 : こんなこと、私が言うのも変ですけど...

彩 : 咲月さん。お兄ちゃんをお願いします。



そして、それからゆっくりと頭を下げて
そう お願いされちゃった。

そしたらさ、そんなこと言われたらもうさ...



咲月 : ...うん!もちろん任せてよ、彩ちゃん!

咲月 : それに...

咲月 : 私の方こそ、よろしくね?



って、答えるしかないじゃん。ね...?



彩 : はい!へへへ...!

彩 : じゃあ 私、飲み物とってきます。



咲月 : あ、う、うん!



あぁぁぁ...彩ちゃんの笑顔で心が痛い。
こんな気持ちになるなら正直に言えばよかった

...言えなかったから、こうなってるんだけど。


〇〇のことを本当に好きになることができたら
今のこの気持ちもなくなるのかな...

なんて、そう思ったらなんか
逆に〇〇ことを好きになれなさそうな気が...

それに...



咲月 : はぁぁ......



彩 : どうかしたんですか?



咲月 : ふへっ!?



飲み物の入ったコップを持った彩ちゃんが
そう言いながら、席へと戻ってくる。

そんな彩ちゃんに私は



咲月 : ん、ううん!なんでもないよ!?



と、明るめの声で そう答えて



咲月 : そ...そういえばさ!〇〇と彩ちゃんって家に2人で暮らしてるんだよね?

咲月 : 家での〇〇って その...どんな感じなの?



全く別の話題に話を変えた。



彩 : 家でのお兄ちゃんですか?

彩 : 家でのお兄ちゃんは...とにかく優しくて、家のことならなんでもやってくれるんです。

彩 : 掃除とか、洗濯とか、料理も全部。



咲月 : え、それはさすがにすごすぎない?



そうして、彩ちゃんと話してるうちに

だんだん時間が過ぎてって、そしたら
さっきまでの罪悪感みたいなのもなくなって



彩 : お兄ちゃん。



〇〇 : ん?あ、彩。

〇〇 : 咲月。



咲月 : ふっ...!おまたせ〜〇〇。



〇〇と合流する頃には
また自然と笑顔でいられるようになってた。



〇〇 : ううん、全然!それより、その......

〇〇 : ...彩となに話した?



咲月 : うん?それは...



彩 : 咲月さん?しーっ...!です。



咲月 : あ〜...ってことだから、ごめん 秘密!



〇〇 : えぇ......でもまぁ、いっか。


〇〇 : それより 彩? 今日もう帰ってからご飯作んのめんどいから、食べて帰らない?

〇〇 : ちょい調べたら、近くに彩が好きな生トマト料理の専門店があるんだってよ?



彩 : ほんと? 行く!



〇〇 : ん。それで...咲月もどう?夜ご飯。

〇〇 : お金はもちろん、誘った俺が出すから。



咲月 : ん〜...ごめん!私、実はトマト苦手で...

咲月 : それに家にも帰らなきゃだし...



〇〇からの誘いは嬉しかったけど
今日はそれを断って、家に帰ることにする。

実際、ほんとにトマトは苦手だし
家にも早く帰らなきゃいけなかったから。



〇〇 : ...そっか!じゃあ 改札まで送るよ。



そうして、〇〇と彩ちゃんに
改札のすぐそこのとこまで見送られてから



咲月 : ただいま〜



いつもより少し遅く、私は家に帰ってきた。



[おかえり。咲月ちゃん。]

[帰り、随分と遅かったけど大丈夫かい?]



咲月 : あ、うん!ちょと彼氏と話してただけ...



[彼氏...?あぁー...
この前、うちに連れてきてた彼のことか......]


[...あのさ?咲月ちゃん。
彼のこと、総會長にちゃんと説明しなよ?]

[今は中西のアニキが口止めしてくれてるから
総會長にはまだバレてないけど...]


[...てか、彼と付き合う意味あるの?]

[咲月ちゃん、どうせ高校卒業したら...]



咲月 : っ...えーとさ?

咲月 : もう 行ってもいい?



[あ...あぁ、うん!
呼び止めて話してごめんね。咲月ちゃん。]



咲月 : ううん、ぜーんぜん!



言葉を何とかグッとこらえて
いつもみたいに作り笑顔で歩く。

そして、心臓がバクバク動き始めた。



咲月 : はぁーあ...



...にしても
みーんな よくもまぁそんな簡単に言うよね。



パパに〇〇のことを話した方がいいって。



そんなの話すわけないに決まってるじゃん。



だって、話したら
絶対に別れさせられるって決まってるのに。



でも...多分、みんなもそれが分かってて
そして多分、そんな私に同情してくれてるから

だから、〇〇のことをパパにはあえて黙ってて
私から言うようにって言ってるんだよね...



咲月 : はぁ...



優しいのか優しくないのかはわかんないけど、
結局 黙っててくれてるんだったら、好都合。


なら もうできるだけパパにバレないよう
〇〇との今の関係を続けられるようにしなきゃ


だって、きっと〇〇は...
私の人生できっと最初で最後の"彼氏"だから。




告白罰ゲームから始まる、少し変わった恋。

"彩のお兄ちゃんの彼女編" End

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