5期マネの俺はわからない。
〇〇 : ごめん!井上。
〇〇 : 上の人と話し込んでて遅くなった。
〇〇 : で、どうした?大事な話って。
和 : はい...!あの...その......〇〇さんって...
和 : どう...思ってくれてますか?私のこと。
〇〇 : は...?
今も尚ときめく日本のアイドル。乃木坂46。
そのメンバーになるのと同じぐらい
とんでもないくらい高い倍率を見事通過し
そして、
その5期生のマネージャーの1人になった俺は
メンバーである井上から
『大事な話がしたい』と伝えられ
仕事終わり
事務所の第2会議室に呼び出されていた。
〇〇 : どう思ってるって?ん〜...そうだな...
〇〇 : 頑張り屋で 責任感が強くて かっこよくて...あー、あと...4期の遠藤さんを大好きな...
和 : あっ...や!やっ!そ...!そういうことじゃなくて...ですね?その...
和 : ...異性として、私のことをどう思ってるのかが 知りたいんです。
〇〇 : ...は?
〇〇 : い、異性として...?
和 : はい...
〇〇 : え、えーっと...やぁ...
こういう時
いったいどう答えればいいのか、一瞬考える。
...ただ、俺はあくまでマネージャーなわけで。
だとするなら
俺は井上に、こう答えるべきだろうと答えた。
〇〇 : 異性としてなら 何とも思ってないよ?
〇〇 : てか、逆に思わないようにもしてるし。
うん。これぞIt's the 模範的回答。
男のマネージャーとして、間違いない答え。
のはずなのに...
和 : で、ですよね...
〇〇 : う、うん...
井上はどこか落ち込んだように、そう呟いた。
和 : ......
〇〇 : ......
えー...
完全に黙ってしまった井上と
どうすればいいのかわからず固まってる、俺。
お互いに無言の時間が流れる。
それで、その時間に耐えられなくなった俺は
〇〇 : っと...話 終わりなら、俺 行くね?
〇〇 : 明日 朝早くから中西につかなきゃだし...
自分の明日の予定を口実に、逃げようとした。
和 : ...や!あ、あの!待ってください!
が、それを井上に止められて。
和 : わ、わたし!その...!
和 : 〇〇さんのことが!すっ...好きなんです!
なんか急にいきなり、大声で告白された...って
〇〇 : へ?
告白された?今?俺が?井上に?
頭の理解が追いつかないことが起こっている。
〇〇 : なっ...冗談でしょ?
和 : じょ、冗談なんかじゃないです!
和 : 5期生のマネージャーとして〇〇さんが来た時に、その...私 今まで こんなことなかったんですけど...
和 : ...は、初めて 一目惚れをしてしまって!
和 : ずっと好きだったんです!
和 : それで だから...!ずっと...
和 : ずっと...〇〇さんと付き合いたいって...
和 : 思ってて...
〇〇 : えっと......そ...そっか?そうだったのか...
未だに全然理解が追いついてこないが
言葉を受け止めたように答えて、取り繕う。
〇〇 : んー...と......
そして一旦、頭の中で整理をすることにした。
正直、井上がそう思ってくれてたのは嬉しい。
...いや、ほんとに。
本来なら、即OKして付き合いたいレベル。
だが、しかし...そう。 "本来なら" だ。
井上は今をときめくアイドルの1人。
アイドルという職業のその特性上
俺は井上の気持ちに応えられない。
...いいや、応えちゃいけない。
だって、もし恋愛スキャンダルなんて出たら
井上のアイドル人生が壊れてしまうだろうし
俺自身も、マネージャーというこの仕事を
辞めざるを得なくなるだろうから。
だから、井上の気持ちを拒否するべき
なんだろうけど...
...え、でも もし断ったら
「なら 乃木坂辞めます!」とか言わないよね?
いつもの井上なら冗談でも言わないことも
今の勢いなら、
それくらい言ってきたっておかしくない。
で、そしたら結局
井上のアイドル人生も
俺のマネージャー人生も...The endo🌸
...いやいやいや ふざけてる場合じゃなくて。
けど、もしそうなるとしたら俺はどうすれば...
そうして、頭の考えがまとまらない中
井上にどう答えようかとモタモタしていると
「あ、ここにいた。和。」
4期生のチーフマネである橋本さんが
ガチャリと、会議室の扉が開けて入ってきた。
橋本 : あれ?山下くん、今日の分の仕事もう終わってなかったっけ?
橋本 : ここで2人で何してたの?
〇〇 : え?あーっと...ははっ、来週、乃木坂工事中の撮影あるじゃないですか?
〇〇 : それのアンケの相談のってました。
こういう嘘は、大して考えなくたって
あっさりとスラスラと言えてしまう不思議。
...とはいえ、橋本さんが来てくれて助かった。
だって、そのおかげで
もう一度 よく考える時間が出来たのだから。
井上 : ...
ふと、横目で井上の方を見ると
井上は気まずそうに 視線を下に向けている。
それを見たら
やっぱり少し...いや、かなり申し訳なくなって
橋本 : ふーん...?そ。
橋本 : あ、で、和?相談のってもらってるとこ悪いんだけど ちょっと来てもらってもいい?
橋本 : 明後日の配信中の撮影で使う衣装、一応どんなのか確認だけしといてほしいから。
和 : は、はい...!わかりました...
なるべく、前向きな形で答えてあげなきゃ
と、そう思った。
〇〇 : あ...じゃあ また。井上。
〇〇 : 困り事とか相談は いつでも任せて。
和 : あ、は、はい...お願いします...
〇〇 : うん。
〇〇 : ...あと、今日のとこはごめん。
〇〇 : さっき俺に伝えてくれたことについての答えは なるべく近いうちに必ず出すから。
和 : は、はい...!
和 : あ、あの...私はいつでも待ってるので...!
さっきの俯き顔から
少しだけ、井上の表情が明るい方へと戻る。
〇〇 : うん!
それを見て、ちょっとだけホッとした。
...にしても、改めてちゃんと考えないと。
井上からの告白に
いったい、俺はどう答えればいいのかを。
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