告白罰ゲームから始まる、少し変わった恋。04
「ん...んんぅ...んん......ん?」
気がつくと 俺は暗くて寒い所にいた。
「んっ!...?んんっ!んんんっ!」
口にガムテープか何かが貼られてるのか
口が塞がってて声が出せない。息も苦しい。
体は座ってる椅子に紐で縛られてるらしく
手首には手錠がつけられてるみたいだった。
「んんん!んーん!んんんん!」
いったい何がどうなってるのかわからないから
誰かを呼ぶように喚く。
すると、誰かが来たのか急に明かりがついて
そして、その明かりが俺の方に向けられて
その眩しさで思わず、俺は目を閉じた。
[よぉ...起きたか?小川○○。]
逆光と眩しさで まだ目は見えないが
確か この声は"中西"って人のだった気がする。
光に慣れて恐る恐る目を開けてみたら
そこには その"中西"と...咲月が立っていた。
「んっ?んんん!んん んんんんんん?」
どうして咲月がこんなところに?
ますます何がどうなってるのかわからない。
けど、とりあえず ガムテープを取って欲しいと
咲月に助けを求める。
そしたら、奇跡的に意味が伝わったのか
咲月が俺の目の前に来てくれて、そして......
俺の額に銃口をあてた。
「!?」
額に突きつけられた銃口は少し重く、冷たくて
おもちゃのやつじゃないのは明らか。
あまりの出来事に頭が混乱する。
その混乱状態の中、咲月は俺に向けて言った。
『ごめんね?○○。...でも ○○も悪いんだよ。』
咲月の その言葉の真意はわからない。
けど、咲月はそのまま
銃のトリガーのところに人差し指をかけて......
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ
○○ : はっ!
○○ : はぁ...はぁ...!はぁ......!はぁ......
けたたましく鳴る目覚まし時計を叩き止める。
カーテンの隙間からは朝の陽が零れていた。
○○ : 夢...?夢かぁ......
どうやら、さっきのは夢だったらしい。
それに気づいて心からホッとする。
しかしまぁ、何とも縁起の悪い夢だ。
まさか "咲月に銃で頭を撃たれる夢" なんて...
○○ : はぁ......
どうか 正夢になりませんように。
○○ : ......ん。
さて、夢の話は程々に ベッドから起き上がる。
朝ごはんを作る前に洗濯物やっとかないと。
両親が海外に行ってから 家事は俺の役目。
いつものように洗濯機で洗濯物を回し、干し
それから、朝ごはんを作っていたら...
彩 : おはよう、お兄ちゃん。
妹が...彩が2階から起きてきた。
○○ : おはよ、彩。
○○ : ご飯、もうちょいで出来るから。
彩 : うん。じゃあ 箸 運んどくね。
○○ : ん、お願い。
彩が箸を運ぶ間に 目玉焼きを皿に盛る。
あとはご飯と味噌汁と...で
なんやかんや朝ごはんが出来上がり
彩 : いただきます。
○○ : いただきます。
うちの今朝の食卓が始まった。
彩 : んっ、うまい。
味噌汁を一口飲んだ後の彩の一言。
○○ : ほっ...よかったぁ。
毎朝、この一言を待っている自分がいる。
彩 : でも、お母さんの味にはまだまだだね。
ただし、二言目の方は待ってない。
○○ : はぁ...今日もダメかぁ。
○○ : ったく、作り方は同じはずなのにな。
彩 : ん〜じゃあ 何が違うんだろうね。
○○ : さぁ?それ分かったら苦労してないよ。
○○ : ...そういや 彩さ?最近 身近で何か起きてない?例えば...怖い人に絡まれたーとか?
彩 : ん?ないけど...なんで?
彩 : てゆうか お兄ちゃん、最近 毎日同じ事 あやに聞いてきてない?
○○ : ん?んー?そーだっけ??
○○ : ...ま、何もないならいいのよ。
彩 : ...?変なの。
咲月と付き合ってから 約1週間が経った。
それはつまり
あの男の...中西...さんの言葉を借りるなら
あの人達の世界に片足を突っ込んでから
約1週間が経った...ということでもある。
なのに、俺の生活はあまりにも不変で平和だ。
あれだけ脅された割に 怖い人に会うことはなく
あれだけ脅された割に 何か起きたわけでもない
...いや、まぁそれが1番いいんだけど。
でも、それが逆に気味悪く感じ始めていた。
だって、本当に何も無いんなら
あの人があそこまで言うはずないと思ったから
彩 : んぁ。そういえば、お兄ちゃん最近 帰り遅そくない?なんで遅いの?
彩 : お兄ちゃん、部活にも入ってないのに。
○○ : え?あぁ〜、ええっとそれは...
咲月のことを、俺に彼女が出来たってことを
彩に言うか一瞬ちょっと迷う。
けど、黙ってたって仕方ないし...
○○ : 実は俺、最近 彼女できてさ。
結局、言うことにした。
○○ : それで帰り彼女と一緒に帰ったりとかしてるから、それで遅くなってるってだけ。
○○ : ...って 彩?
彩 : ...ん?んっ?なに?
○○ : いや、なんか急にボーッとしてるから。
○○ : 彩が聞いてきたんでしょ?なんで最近俺が学校から帰ってくるの遅いんだって。
彩 : う、うん...それで、なんで?
○○ : だから 彼女が出来たからだって。
彩 : ......か、彼女?
○○ : うん。
彩 : ......お兄ちゃんに?
○○ : うん。
彩 : .........
彩 : ......う、嘘はよくないよ。お兄ちゃん。
彩 : だって お兄ちゃんの学校、男子校じゃん。
彩 : 男子校ってことは...学校に女の子いないんだから 彼女なんてできるわけないでしょ。
○○ : あ〜、まぁそれは確かに?多分、普通だったらそうなんだろうけど...
○○ : うちの学校の近くに女子校があってさ?
○○ : それで...
彩 : ......どっちから告白したの?
○○ : ん?あぁ、俺から。
彩 : えっ......なんで?
○○ : えぇ?なんでって、そりゃあ
罰ゲームの告白...とは さすがに言えないし...
○○ : ひ...一目惚れ?的な?
彩 : 一目惚れ...
彩 : ......
彩 : ...写真
彩 : 写真見せて?その彼女の写真。
○○ : 写真?写真かぁ......
彩に咲月の写真を見せようとスマホをイジる。
けど、写真フォルダの中には
咲月が写ってる写真が1枚もなかった。
そういや 確かに写真撮った記憶ないな。
俺自身、あんま写真撮るタイプでもないし...
○○ : ごめん。写真ないわ。
彩 : んぇ?写真ないの?彼女なのに?
彩 : ...怪しい。
彩 : お兄ちゃん、ほんとに彼女出来たの?
彩 : あやを驚かすための嘘じゃないよね?
彩 : それか...その女に騙されてるとか...
○○ : はぁ?はははっ。
○○ : いやいや騙されてるって、んなわけ。
○○ : それに彩を驚かすためにわざわざこんな変な嘘だってつかないよ。
彩 : ふーん...
彩 : ...じゃあさ、今日の学校終わったら、あやをお兄ちゃんのその彼女に会わせてよ。
彩 : そしたら あやはお兄ちゃんの彼女見れるし、お兄ちゃんもあやに彼女のこと信じてもらえるし、一石二鳥でしょ?
○○ : ま、まぁ...?でも...
○○ : 彼女、家が完全にうちと反対方向だから いきなり今日会うってのは無理かな...流石に。
彩 : んー...なら、あやが学校終わってから お兄ちゃんの学校がある駅まで行くのは?
彩 : それなら文句ないよねぇ?
○○ : えぇ......あぁ...まぁ、うん。
○○ : でもさ、そこまでするほど気になる?
彩 : うん。当たり前じゃん。
彩 : だって、お兄ちゃんが一目惚れして告白した人なんでしょ?
彩 : そんなの気にならないわけなくない?
彩 : そもそも あや、お兄ちゃんは女の子に全く興味ないんだって思ってたし。
○○ : んぇ?マジ?どして?
彩 : それは......はぁ...
彩 : いい!わからないなら教えてあげない。
彩 : お兄ちゃんのバーカ。
○○ : はぁ!?バカとはなんだバカとは。
彩 : 実際バカじゃん!高校落ちたんだから。
○○ : (ぐぅ)......
急に即死級の言葉を使ってくる妹。
それ言われたら完全にこちらの負けです。
彩 : ごちそうさま。
彩 : じゃあ 駅に着いたら連絡するからね。
○○ : はいはい。
○○ : わかったからさっさと準備してきな。
食器を片した彩は学校へ行く準備をしに行く。
俺は未だにだらだらとご飯を食べてる。
あ、そうだ。今のうちに咲月に連絡しとくか。
○○ : 「おは」
○○ : 「あのさ、今日の帰りなんだけど妹に咲月のこと話したら妹が咲月に会いたいらしくて」
○○ : 「咲月は会っても大丈夫?」
咲月 : 「おはよ〜」
咲月 : 「うん!全然大丈夫!」
咲月 : 「むしろ妹いるって知った時から会いたくて会いたくてたまらなかったって感じだし!」
○○ : 「そっか!それならよかった」
○○ : 「じゃあ 今日の帰り楽しみにしてて?」
咲月 : 「うん!楽しみにしてる!」
○○ : ......
いや、既読&返信はっや...!
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